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確率0.00%の絶望を書き換える――バグだらけの世界で、俺だけが因果を絶断して最強の聖女たちを救う。  作者: 仁胡 黒


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第7話:異常《バグ》を呼ぶ転校生と、蝕まれゆく日常

セイラを救出し、学園に連れ帰ったカイ。

しかし、彼女の転入が、カイの日常と「世界」そのものに、新たな歪みをもたらしていく。

そして、カイの右目には、新たな『バグ』が映り込み始めていた。

 右目のノイズが治らないまま、数日が過ぎた。

 俺——東雲カイのクラスに、新しい転校生がやって来たのは、そんな不穏な空気の中でのことだった。

「今日からこのクラスに加わる、西園寺セイラさんだ」

 担任の簡潔な紹介に、教室中がざわめいた。

 教壇に立つ少女は、救出時の悲壮な面影はどこにもない。

 清楚な学園の制服に身を包み、まるで絵画から抜け出たかのような美貌。その儚げな雰囲気は、一瞬でクラスの男子生徒たちを釘付けにする。

「西園寺セイラです。……カイ様、やっと傍に居られますね」

 セイラは深々と頭を下げた後、俺にだけわかるように小さく微笑んだ。

 その瞬間、ガラガラと音を立てて教室の扉が開く。

「ちょっと! カイ! セイラさんが同じクラスなんて聞いてませんわ! ズルイですわよ!」

 息を切らして飛び込んできたのは、赤城レナだ。

 違うクラスのくせに、どう聞きつけたのか、顔を真っ赤にして俺とセイラを交互に睨みつけている。

「あら、レナさん。私はカイ様の『存在』を一番近くで支えるためにここに来ました。……レナさんこそ、授業はどうしたのですか?」

「なっ、なな……! わたくしだって休み時間になればすぐ来ますわ!」

 静かだった教室が、一気にヒロイン二人の火花散る戦場と化した。

【警告:修羅場継続中】

【レナの対抗心:92%】

【セイラの執着度:測定不能】

 ……本当に計算外すぎる。

 俺は頭を抱えながら、二人の言い争いをなだめようとした、その時。

 ——ズキリ、と右目の奥が焼けるように痛んだ。

「……っ」

 二人の言い争いが遠のき、視界がモノクロに染まる。

 窓の外。見慣れた学園の中庭が、一瞬だけ白黒の砂嵐に包まれるのが見えた。

【異常検知:低確率バグの発生源(微弱)】

【対象:不特定多数】

 今、何かが起きた。

 俺は二人の制止を振り切り、教室を飛び出した。

「カイ!? どこへ行くんですの!」

「カイ様……?」

 背後の声も気にせず、階段を駆け下りて中庭へ向かう。

 右目のUIが弾き出す警告ログが、不気味に視界を埋めていく。

 中庭の隅。人気の少ない場所で、俺は異様な光景を目にした。

 ひとりの男子生徒が、植え込みのレンガ壁に向かって、ゆっくりと歩き続けている。

 ゴン、ゴン、ゴン。

 一定のリズムで壁に頭をぶつけながら、彼はまるで意思のない人形のように同じ動作を繰り返していた。

「おい、大丈夫か……?」

 声をかけても反応はない。

 俺の視界(UI)が、その生徒を強制解析する。

【対象:一般生徒(山田 太郎)】

【エラー:魂のデータが欠損しています】

【状態:NPC化(動作ルーティン固定)】

 NPC化。

 まるで、ゲームのキャラクターが、バグで壁に引っかかっているみたいだ。

「……なんだ、これ……」

 教団の実験とは違う。これはもっと、世界の根幹に関わる『異常』だ。

 俺の視界の奥に、不気味な紫色のノイズが、静かに広がっていく。

 まるでこの世界自体が、誰かの手によって「書き換え」られているかのように。

第7話、お読みいただきありがとうございました!

セイラの転入で賑やかになるかと思いきや、学園には正体不明の「バグ」が忍び寄っています。

壁に向かって歩き続ける生徒。この不気味な現象の正体とは?

もし続きが気になったら、評価やブックマークをいただけると執筆の励みになります!

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