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確率0.00%の絶望を書き換える――バグだらけの世界で、俺だけが因果を絶断して最強の聖女たちを救う。  作者: 仁胡 黒


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4/8

第4話:消えた聖女と、黄昏《たそがれ》の潜入

海での休息を終えたカイたち。

しかし、日常に戻った彼らを待っていたのは、不穏なニュースでした。

ここから物語は一気に動き出します。

挿絵(By みてみん) 海でのバカンスから戻った翌日。

 カイとレナは、学園のカフェテリアで小金井ユズから緊急の報告を受けていた。

「——先輩、大変です。例の『西園寺セイラ』さんの居場所、割れましたよ」

 ユズがタブレット端末をテーブルに滑らせる。

 画面に映っていたのは、行方不明者リストと、一枚の隠し撮り写真だった。

 そこには、病院から連れ出されたセイラが、窓のない黒塗りのバンに乗せられる瞬間が映っている。

「これ……病院の防犯カメラか?」

「はい。私の独自ルートでハッキングしました。表向きは『転院』となってますが、これを見てください」

 ユズが画像を拡大する。

 セイラを運ぶ黒服の男たち。その胸元には、奇妙な幾何学模様のバッジが光っていた。

「このマーク、最近噂になっている新興宗教団体『アルゴリズム教団』のものです。警察も手が出せない聖域らしくて……」

 カイの脳裏に、病院で見たセイラの虚ろな瞳と、異常なステータス**【危険度:測定不能】**が蘇る。

 あれは病気じゃない。何らかの実験体として扱われていたのだとしたら——。

「……放っておけないな」

「ええ。私の目の届く範囲で、レディが不当に扱われるなんて許せませんわ」

 レナが紅茶のカップを強く置いた。

 カイはユズに向き直る。

「場所は?」

「旧市街の再開発地区。地下鉄の廃線跡を利用したシェルターです。……ただ、警備は厳重ですよ?」

「上等だ。……ユズ、お前はここでアオイと連絡役を頼む。現場には俺とレナで行く」

          ◇

 そして夕刻。

 廃墟の影が長く伸び、カラスの鳴き声が不吉に響く時間帯。

 カイとレナの二人は、教団のアジトがあるエリアへと潜入していた。

「……おい、レナ。その格好はどうにかならなかったのか?」

「あら、潜入捜査といえば『黒』でしょう? 完璧な変装ですわ」

 呆れるカイの隣にいるのは、全身を黒のゴシックドレスで包んだ赤城レナだ。

 確かに色は黒だが、レースやフリルがふんだんにあしらわれており、逆に目立って仕方がない。

「目立ち度:98%。……まあいい、俺の後ろを離れるなよ」

 カイはため息をつきつつ、視界のUIモードを**【探索スキャン】**に切り替えた。

 二人が目指しているのは、ユズが特定した地下施設の入り口だ。

 カイの虹彩に、デジタルなグリッド線が走る。

【周囲の敵性反応:なし】

【監視カメラ:3台(※死角ルートを検索中……完了)】

「右斜め前、45度。あのコンテナの影を通る。足音を立てるな」

「了解ですわ」

 カイの指示は絶対だ。

 彼には、監視カメラの首振り周期、警備ドローンの巡回ルート、風の音に紛れて足音を消せるタイミング——その全てが「数値」として見えている。

 まるで、出来レースのゲームを攻略するように、二人は誰にも見つかることなく最深部へと到達した。

 錆びついたシャッターの前。

 カイが手をかざすと、そこには肉眼では見えない魔法的なロックが掛かっていた。

【暗号強度:Aランク】

【解読予測時間:3600秒】

「……1時間も待ってられないな」

「私が焼き切りましょうか?」

「バカ、警報が鳴る。……確率をいじる」

 カイは意識を集中させた。

 パスワードの組み合わせは数億通り。だが、正解を入力できる確率はゼロではない。

 天文学的な低確率を、強引に手繰り寄せる。

『演算リソース、集中。——正解率ヒット・レート固定フィックス

 カチャリ。

 カイが適当に打ち込んだキーパッドが、緑色に点灯した。

「えっ? 今、何をしましたの?」

「運が良かっただけだ。……行くぞ」

 開いたシャッターの奥。

 そこには、学園都市の華やかさとは無縁の、冷たい無機質な空間が広がっていた。

 壁一面に並ぶサーバーラック。そして、その中央にある巨大な水槽のようなカプセル群。

「な、何ですの……これ……」

 レナが口元を押さえて絶句する。

 カプセルの中には、液体に浸された「人間」が眠っていた。

 いや、眠っているのではない。彼らの体には無数のチューブが繋がれ、微弱な生体電流が吸い上げられている。

【検知:生体電池バイオ・バッテリー

【状態:生存(意識レベル低下)】

「人間を……電池にしているのか……?」

 カイの拳が震えた。

 この都市の魔法科学を支えているエネルギー。その一部が、こうして「行方不明者」たちから搾取されたものだとしたら。

 これは、ただの誘拐事件ではない。世界の根幹に関わる「バグ」だ。

 その時、カイのUIが鋭い警告音を鳴らした。

【警告:高エネルギー反応、接近】

【種別:固有波長(西園寺セイラと一致)】

「……いたぞ」

 カイが奥の通路を指差す。

 その視界の先、分厚いガラスの向こうに、車椅子に座らされたセイラの姿があった。

 だが、彼女の様子はおかしい。

 虚ろな瞳で空を見上げ、その周囲には、通常の人間にはありえないほどの膨大な数値が渦巻いている。

【検知:西園寺セイラの固有波長】

【照合結果:99.8%(Match)】

【距離:300m / 深度:地下】

「……座標、確定フィックス。」

 カイが短く、冷徹に告げる。

 その声には、もはや迷いはなかった。

「この奥に、あの子がいる。……行くぞ、レナ。日が沈む前にケリをつける」

「ええ。わたくしの炎で、この悪趣味な場所ごと浄化してあげますわ!」

 ステルスは終了だ。

 ここからは、強行突破バトルの時間。

 カイとレナは、敵の本拠地である闇の奥へと足を踏み入れた。

海から一転、物語はシリアスな展開へ。

ユズの情報網とカイの能力で、敵のアジトを特定しました。

しかし、そこで見たのは人間を資源として扱う狂気のシステム。

次回、捕らわれの聖女セイラとの対面。

そして、彼女の隠された「能力」が暴走します。

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