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マリナたちと別れて

「いいのかマリナ?疲れてるんだろ」


「さっきも言ったが、視察の帰りにヴァリアブルレッドベアーに襲われたんじゃ。視察の結果を早く渡さんと宰相も困るじゃろう」


「でも、もうすぐ夕方だろ?明日でも一緒なんじゃ…」


「明日の仕事始めに資料があるかないかは違うじゃろ?」


「そりゃあそうだけどよ。そこまでやらなくていいと思うぞ?」


「お主はそういうが、父上や宰相はわし以上に忙しいんじゃ。あまり手を取らしたくないんじゃ」


「…マリナがいいならそれでいいけど、ちゃんと休めよ」


「もちろんじゃ!書ききったらすぐに休むわい」


「なら、何も言わねぇよ。ん?どうしたリタ?」


「いや、お前も人の心配をするのだなと」


「失礼な…。さっきまでは帰ったらすぐ休むと思ってたんだよ。こんな無茶するやつだとは思わなかったぜ」


「無茶でないといっとろうに」


「はいはい」


 む~、怒りにほほを膨らませるマリナだが、疲労がたまっているのは俺から見ても分かる。なにより、こんな小さいのに命の危険に出くわしたんだからな。この世界に危険が多いとしても、かなりのストレスだろう。


「俺から言えるのは寝るのも仕事だってことだ。頑張るのはほどほどにな」


「うむ。肝に銘じておく」


 それから直ぐにヴェルデが紙とペンを持って来た。流石にマリナの報告書は機密事項なので俺はここで部屋を出ることになった。


「では、隣のお部屋へ案内します」


「おう!」


「こちらです」


 案内された部屋に入って驚く。


「あのさ、この部屋広くないか?マリナの部屋とほとんど変わらない広さなんだが」


「ええまあ。マリナ様の隣の部屋になりますので、それなりの格が必要ですから」


 俺の質問ににべもなく答えるヴェルデ。


「そういうのはあんまり詳しくなくてな。おっと、言葉遣いがなってなくて悪いな」


「いいえ。ロウ様はマリナ様の命の恩人ですからお気になさらず」


「いや、そこまでじゃ…あるのか?」


「では、設備についてお話いたします。メイドも付きますが、おひとりの場合もあるかと思いますので」


「頼む」


 これは助かる。流石に一般庶民とは月とスッポンの環境だろうが、どういう生活をしているか分かるからな。


「まず部屋の明かりはこちらで。次に…」


 ヴェルデに室内の各設備を説明してもらった。簡単だが手洗い場もあり、生活はほとんど現代と変わらない。これも魔法を使ったものらしいけどな。


「ちなみにヴェルデさん…でしたっけ?」


「ヴェルデで結構です」


「ヴェルデに聞きたいんだけど、こういう設備は一般的なのか?」


「そうですね…明かりぐらいはついていると思いますが、それでも高価ですので夜を迎えれば真っ暗な家も少なくありません。王都でそういう家は少ないですが、農村であれば先程説明した通りかと」


「なるほどな。ありがとう、これからも色々聞くと思うからよろしくな」


「はい。では、私はこれで…」


「ああ」


 用事があるのだろう、ヴェルデは一通りの説明が終わると出ていった。


「さて、後は今後のことだよな。とりあえず、この壊れた鎧をどうするか」


 改めて鎧を見る。そういや、さっきまで気にしてなかったが、外してみると結構な恰好だったんだな、俺。


「鎧の前部分は爪でえぐられてるし、よく見ると胸元が丸見えじゃんか…こんな格好でも王宮に入れるもんなんだな」


 そんなところに感心しつつ、鎧を脱いでいく。


「持ってみると結構重いな。革のくせに一部には金属も使われてるからか?」


 関節部は革だが、ところどころ金属板がついている。これのせいで付けている時は感じなかったが、改めて持ってみると重い。


「でも、不思議だよな。これぐらい重いと俺じゃあんなに動けなかったはずだけどな?」


 新たな謎が生まれたが、まあそこら辺は異世界に飛ばされた影響で体に変化があったのかもしれない。


「どっちにしろ、俺からすればありがたいことだし、今は気にすることないか。それより気にするのは服の方だよなぁ」


 マリナは父上に説明するって言ってたし、マリナの親父ってことは国王だろ?流石に国王の目の前に半裸の男が出るのはなぁ。そう思っているとドアがノックされた。


 コンコン


「ん?誰だ?」


「ネリアと申します。入ってもよろしいでしょうか?」


「ああ、構わないぞ」


「では、失礼します」


 ネリアという女性が扉を開けて入ってきた。手には何やら持っているようだ。


「何の用だ?」


「あっ、鎧の方を外していただけたのですね。ヴェルデ様よりお着替えを手伝うようにと言づけを頂いております」


「本当か!いや~、実はさっきまで自分の格好に気付いてなくてな。助かるよ!」


 本当に助かったぜ。というか、自分の格好に気が付いたらネリアに見られるのもちょっと恥ずかしいが。


「いいえ、それだけ姫様をお守りいただくのに懸命であられたということですね。直ぐに着替えさせていただきます」


「あ、いや、そういうことじゃないんだけどな」


 俺が返事を返す間にもネリアは持って来た服をテーブルにかけて用意をし始めた。




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