秋 の 過 去
慄「…おっかしいなぁ…あいつ、昨日はあんなに元気にしてたのに」
る「そうねぇ…どこか具合でも悪いのかしら」
キーンコーンカーンコーン…
4限目の始業を知らせるチャイムが鳴り響く。
今日は月曜日。秋は休みだった。
慄(終わったらあいつの家行ってみるか…今日は部活も休みだし)
~昨日~
秋「あ、慄君!」
慄「ん、一緒に帰ろうぜ」
秋「うん!今日は……あ…」
2人の目の前には正面衝突した車。
たくさんのパトカー、消防車。そして街中だけあってたくさんの人々。
火は完全に消えているものの、車は2台とも完全にひしゃげてしまっている
そばには泣いている三歳位の女の子がいた
慄「あ~…事故ってる…あれ、どうした?」
秋は完全に血の気の引いた顔をしていた
慄「千草?」
秋「え…あ。ご、ごめんね。ちょっとぼーっとしちゃって。」
慄「それならいいけど…大丈夫?」
秋「うん!私なら全然大丈夫!ほらほら、早く!!」
慄「おいおい…」
~~~
なんだかんだで学校も終わり、慄は秋のマンションの部屋の前に立っていた
慄「124号室…っと、ここか。」
ピンポーン…
慄「出ないな…」
ピンポーン…
慄「おかしい…」
ガチャ
慄「あ…あいてる」
慄「…千草~?……」
「…く…ひっ…く」
慄「千…草…」
秋「り…つ…くん…?な…んで…」
慄「ばーか。」
そう言って軽く抱きしめた
慄「そういうお前こそ…なんで泣いてるんだよ」
秋「…聞いてくれる…?」
慄「あぁ。」
秋「じつ…はね…」
秋「私の親ね。十年前…私が三歳のときに、交通事故で死んだの。
昨日みたいに晴れ渡った日だったっけ…家を三人で出た時。
昨日のあの交差点ではねられて…親は私を助け出した後、亡くなってしまったの。
それに昨日泣いてた女の子。あの子…小さい頃の、写真で見た私と…瓜二つだった
思い出したわ…その日もあの子と似た服を着てた。同じように高い所でポニーテールしてね。」
慄「それで…」
秋「ごめんね。こんな顔…慄君に見せたくない」
慄「大丈夫だって!…親御さんは亡くなってしまったかもしれないけど。
いま、お前には俺がいる。庄がいる。椎野がいる。柚歩先輩がいて、由紀先輩がいる。
その他もろもろもいるっ!」
秋「ぷっ!」
慄「へ?」
秋「その他もろもろって…」
慄「…ま、いいや。とーにーかーく!おまえにはいっぱい仲間も味方もいるから。
安心してればいいの!」
秋「…うん!」
―ありがとう…
慄君―