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s i d e る い
苦しかった。
秋をあんな形で苦しめていたのが辛かった。
私もひっそり庄君の事が気になっていたから、
告白された時は嬉しかった。
でも…秋が涙を流した時、やっと私は秋の気持ちに気づいてやれた。
私が気絶したとき。夢をみた。
秋がいた。
慄君がいた。
それと、妖精みたいな女の子と
天使みたいな格好の女の人と
顔をベールで隠した人がいた。
私は…剣を持っていた。
目の前には、やっぱり剣を持った秋。
あの子は震えている。
私は黒装束の人に「秋を倒せ」と言われた。
体の自由が利かない。
喋れない。
どうしようかと迷っていた。
秋が…剣を置いた。
涙を…流した。
なんで…?
秋…?
気づけば秋に抱かれていた。
「私は幸せだから」
―ほんと?―…
自然に涙が出た。
秋を倒さずにすんだんだ。
よかった―本当に…よかった―…
秋。―アリガトウ―