戦 い
―午後2時…
天界と魔界の間の部屋―
リ「ルールは簡単だ。どちらかが消滅するまで戦うまでだ。」
ソ「分りました。こっちは秋が戦います。」
秋は、一応剣だけ持っていたが少し足が震えているのが分った。
慄(千草…)
リ「上出来だ。こちらは、彼女が戦う。入ってこい!!」
カーテンの向こうから現れたのは…
秋「る…い?」
そう、るいだったのだ。
ソ「相手がるい…考えましたね、リト。」
リ「さぁ、どうやって戦うのだ?心の優しいお前が友達を傷つけられるか?秋。」
秋「…」
秋は、黙って剣を床に置いた。
慄「千草…?」
秋「私は…戦いなんてしたくない。」
リ「な…」
秋「魔王さん。あなたは…何か原因があってこんな戦いをしようと…してるんでしょ。だったら…っ…直 接話せばいいんじゃない…っ…なんで戦おうとするの…?」
秋の目からは自然に涙が落ちていた。
リ「俺は…ずっと孤独だったんだ。誰にも相手にされず、むしろ嫌われていた。
この気持ち、お前らにわからんだろう!!」
秋「私にはわかる。」
リ「な…」
秋「私、交通事故で親が死んだときね。
ずっと一人ぼっちだった。ホントに孤独だったもの。」
秋はその涙を袖でこすると、急に笑顔になった。
秋「るい…ごめんね。私はもう迷わない!」
るいの元へ、秋は走っていった。
そして…るいを抱きしめた。
秋「るい…ごめんね。私はずっとあなたに辛い思いさせてたんだね。
私…幸せだから。庄君をとられたなんて思ってないし、むしろ今の様になって感謝してる。
るいに感謝してる。…安心して。1人じゃないから。」
るいは驚いた顔をしていたが、涙をうっすら浮かべた笑顔になり、
パンッという音と共に消えた。
るいが持っていた剣が残った。
その剣を、魔王に向かって投げた。
迷なんてちっともなかった。
ただ、るいを…大切な人を利用した事が許せなかった。
リ「くそっ…イヴ…許さんぞ…こうなったらお前も道連れだ!!」
魔王は、大きな波を投げつけてきた。
それは…秋に向かって…
当たると思った瞬間。
カシスが秋の身代わりとなって、その波に焼かれてしまった。
秋「カシス!!」