第二話
部室は別校舎で、そこへは渡り廊下をいく 。
能力別に別れていて、僕らは特級になる。
正直自分にそんな特別な能力があるとも思えないが、刀や剣の扱い 様々な武器が使えるので好きだ。
一年の時は触らせて貰えなかったので楽しみだ。 ほどなくして部室に担任であり顧問の御堂先生が入ってきた。
御堂先生は三十代後半だがそこまで老けて見えず目鼻立ちがハッキリしてる所謂イケてるおじさんだ かつて祓師をやっていて、今でも一線級の実力があるとか。
「よーしお前らこれから武器を扱うから慎重になー」
御堂先生の声は芯があって力強い。待っていた! やはりぼくは剣だろうか?
刀もいいな、 いや弓矢も紙?御札か?それにお米?
到底武器とは思えないような物もある、御堂先生曰く、これらは全て特別な製造法で特別な職人が作ったものだと聞かされた。
量産の品では霊力が込められにくいそうで材料は、ほぼこの土地で手に入るものだという事だった 。
ぼくは前々から決めていた刀を選ぶことにした 扱いは剣道部でも習えるしかっこいいからだ 。
「一通り決めたら練習に校庭裏の森に行ってもらうぞー」
これらの武器は実際の武器とは違って刃が入れられないので比較的安全に作られいる 。
ただ当たれば痛いので扱いは注意しなければならない。
ぼくら祓師は色んなところに溜まる淀みを浄化するため組織されている 、古くは平安時代から始まり今の形が出来たのが鎌倉時代だったとか。
先生らの説明によると、主に恨みや妬み、怒り、悲しみ、恐怖、そういった怨念が戦争や疫病を引き起こす。
それらを食い止める為に浄化する必要がある。
この裏庭の森は、学校レベルの怨念が溜まるのでここの生徒達には格好の練習の場になっている 。
ぼくは友幸と組になる事にした、他の人達も親しい人達と組んでいるようだった。
校庭の端から階段を下ると森になっているこの時期にしては澱みの暗いような気がする。
奥に進むにつれ、 他の組の祓師達の声もまばらになり時折影のようなものがチラッと横切るようになってきた、そしてその影は砂のようにさらさらと流れ渦を巻き立体的になってやがて獣や人に見える形に膨れ上がってきた。
友近は大丈夫大丈夫と念仏のように唱えている。
影は呻き声をあげて実体を伴って僕らに覆いかぶさってきた 。
恐らくここで怯えて動かなければ飲み込まれてどうにかなってしまうだろう、 ぼくは咄嗟に刀を抜いた同時に切り上げた 明らかに何か物体を斬った手応えがあって人型の影は霧散した。
友幸を見ると震えていたがなるほどと言わんばかりにうなづいた 。友近も剣を抜く 、辺りは既に数十体程の人型の影に囲まれいた。
遠くからは何組かの祓師の悲鳴や、逃げろと叫ぶ声が聞こえていた。
人型の影はジリジリと距離を詰め始め 、ケラケラ薄ら笑いを浮かべたり恨み言を気味の悪い声で放っている 。
逃げ道はない 完全に取り囲まれてしまった 。打開するには何処か一点に突破口を作るしかないだろう 、ぼくが突っ込んで道を示して友幸に助けを呼んでもらうか ?
万一それで友近が助かってもそうしている間にぼくは助からないだろうな、 だがこのままでは二人とも助からないだろう。