第一話
四月 第一話
ぼくはいつも通りに駅に向かう。
古都のこの道ももう二年目になるので通い慣れたものだ。
お土産で人気の焼き饅頭屋さんの甘い香り、新鮮で澄んだ空気を漂わせている花屋さんの交差点を渡ると駅がある。
路面電車で五つ程離れた高校に通学するためだ。
風は暖かく緩やかにくるりと円を描いてるように優しく吹き一片だけ薄い桃色の花を乗せていた。
ほどなくして路面電車はホームに滑り込んで来てキィイと音を立てる、ドアが開いてアナウンスが、
「かまくら〜かまくら〜」
と流れて乗客が一斉に降りて来ていた、 僕は少し足早に乗り込んで端の席に座った。
この高校に入ったのはまだ関東の田舎に住んでいた頃だ。中二の頃受けたテストがきっかけだった。
伏せられたカードになんて書いてあるかとか絵から何をイメージするかとかで、何の試験かさっぱりわからなかった。
放課後先生に呼び出されて再度休日に試験の続きを受ける事になった。
それが祓師の試験だと分かったのは三回目の試験の後だった。
そしてぼくには祓師の素質があると認められて、祓師養成学校に進学することに決めた。
ぼくの家は両親共働きで決して裕福ではなかったし何よりこの学校に入学すれば政府が、全額の費用と生活費を全て持ってくれるとの事で、少しでも助けてあげたかったのが大きい。
妹はとても寂しがったがその分妹も助かるだろうそれに知らない土地で一人暮らしちょっとワクワクする。
もう一年たってだいぶ慣れてきてすっかりこの街の住民だ、料理も少しは自炊できる。
こっちに来て一年を振り返るとそんな感じだ。
電車は住宅の合間をすり抜けて高校に着いた、後ろからぼくを呼ぶ声がした。
「優里 おはよー 今日も唐揚げだよな?!」
クラスメイトの上楽 友近だ 。
彼とは一年から同じクラスで、(と言っても二つしかクラスはないが)地元民との事もあって色々教えてもらってる、その辺を少し鼻にかけてる感じも否めなくは無いが、とてもいいやつだ 。
ちなみにぼくの作る唐揚げの大ファンでいつも今日のお弁当は何か聞いてくる。
友幸と駅から坂を登り学校に入った 、昨晩のオンラインゲームの活躍っぷりをずっと聞かされていた。
教室に入りいつも通りに授業を受ける、午前中は眠い。
この学校はほぼ授業は、普通の学校と変わらず国語数学理科社会を一通りやる。
内容は進学校並で正直勉強について行くのがギリギリだ。
午後から祓師の訓練及び座学をする 。
希望すれば部活もできる 。
一年の時は勉強に追いつきたかったのと生活に慣れるため帰宅していたが、今年は部活もやろうと思う。
祓には剣も使うので剣道がいいかななんてぼんやり思っていた。
昨晩詰めたおにぎりと唐揚げのお弁当の昼食を友幸と食べた。
友幸はよく喋っていた、ぼくは教室の隅で一人で小さな女子が教科書を盾にサンドイッチを食べてるのを少し気にかけていた。
たしか 、、、、風祭 菊花 っていったけなあの子 。
午後から祓師の訓練が始まる。