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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
05 カーボエルテ王国 王都2
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098 特級ダンジョン1


 特級ダンジョン制覇に向けて、A班のクリスタを先頭に進む。その後ろにオルガとリュリュが続き、遅れてB班のテッポ、ヤルモ、イロナが続く。


 クリスタはオルガと喋りながら歩き、リュリュはキョロキョロして歩いていたら、角を曲がったところで三匹のゴブリンジェネラルと遭遇した。


「わっ! せ、戦闘態勢!!」


 クリスタが焦りながら指示を出すと、オルガはリュリュと並んで次の指示を待つ。


「行くよ!」


 そう言ってクリスタは後ろも見ずに突撃。最初の戦闘が始まった。


 クリスタは三匹のゴブリンジェネラルを惹き付けて、盾で防御。チャンスがあれば下がりながら剣を振り、HPを削る。

 オルガはどうしていいか悩んだ結果、クリスタに支援魔法。あとはクリスタが怪我を負うたびに【ヒール】で治していた。

 リュリュもどうしていいかわからないので、とりあえずクリスタに支援魔法。そして、クリスタから離れてバランスが崩れたゴブリンジェネラルに【ウインドアロー】を放つ。

 しかしリュリュは低レベルなので、一桁しかダメージを与えられないようだ。


 クリスタの孤軍奮闘……


 イロナブートキャンプを受けていたのでレベルが上がっていたことと、地下でとんでもないモンスターとの戦闘を経験したことで、なんとか全てのゴブリンジェネラルを倒したのであった。


「はぁはぁはぁ……まだ一戦目だっていうのに疲れた……」

「さすがは特級ダンジョンってことですか」

「あ、あの……」


 クリスタが息を整えながらオルガと喋っていたら、リュリュが申し訳なさそうに声を出した。


「どうしたの?」

「あ、えっと……勇者様って、凄く強いんですね!」

「えへへ。やっぱり~? リュリュ君も、すぐに強くなれるよ」


 リュリュは言いたいことを変えたのだが、クリスタは気付かずに褒められて気分がよくなる。そうしてドロップアイテムを拾ったA班は歩き出したのであった。



 A班が歩き出したらB班も続き、テッポはブツブツと「勇者様におんぶに抱っこじゃないか」とリュリュを睨んでいた。

 もちろんイロナとヤルモも喋りながら進んでいる。


「酷いものだな……主殿から何か言ってやらんのか?」

「もうちょっと様子見だ。イロナもよく我慢したな」

「酷すぎて呆れていた」

「わはは。その調子で笑って見てようぜ」


 ヤルモは笑っているが、内心はひやひや。いつイロナが怒ってA班の獲物を奪わないか、ついでにクリスタに斬りかからないかと心配して見ていたのだ。

 しばらく喋りながら歩いていたら、クリスタがまた驚いたような声を出したので、ヤルモは前に出て剣と盾を構える。


「イロナは待機! テッポは俺が吹っ飛ばした奴を狙い撃て!!」


 二匹のオークジェネラルが目に入ったヤルモはすかさず指示を出して突撃した。

 オークジェネラルの金棒や槍は、ヤルモの剣と盾で防がれ、ケンカキックで吹っ飛ばされる。

 そこにテッポの【ファイアーアロー】。さすがは魔法アカデミーの首席ということもあり、動いていなければ外すことはなかった。

 その動作を四回も繰り返せば、ヤルモのケンカキックのダメージで、オークジェネラルはダンジョンに吸い込まれて行くのであった。


「勇者様! 見ましたか俺の勇姿を!!」


 A班より早くに敵を殲滅したこともあり、テッポは自慢するようにクリスタの元へと向かった。その間ヤルモはドロップアイテムを拾い、イロナと喋っていた。


「アイツの与えたダメージなんて一割以下なのに、よく喜んでいられるな」

「あの手のバカは、人の手柄を横取りするもんなんだよ」

「なのに、主殿は怒らないと……」

「後悔するのは自分だからな。気にしていても仕方がない。さて、行こうか」


 イロナは少し不機嫌になったのでクリスタたちに先を急がせ、しばらくしたらまた戦闘。A班がてこずっている内に、ヤルモはイロナに「あっちにモンスターがいる」と耳打ちして走らせていた。

 テッポはA班の戦闘を見ていてたので、イロナがオークジェネラルを10匹ほど狩って戻って来ても気付いていなかった。


 苦戦していたA班の戦闘が終わると、次の戦闘はB班にチェンジ。テッポは調子に乗って、ヤルモの指示した以外のモンスターに攻撃魔法を放って外しまくっていたが、すぐに終わるのでテッポの鼻は高々。

 その言い方が気に食わないのか、クリスタたちも無視するようになった。


 そんなこんなで偶然地下への階段を発見して、地下1階はクリア。地下2階もA班は苦戦し、その間にイロナは別行動でモンスター狩り。B班は余裕でモンスターを倒し、道に迷いつつも地下6階に辿り着くのであった。



「じゃ、リュリュとテッポは交代だ。一時間の休憩を取るから、30分で見張りを交代するぞ」


 たった5階進んだだけで、時刻は昼過ぎ。これは普通の冒険者の攻略速度と同程度なので、クリスタたちが悪いわけではない。しかしクリスタたちには疲労が見えるから、ヤルモは通路での休憩を言い渡した。

 本来ならば長い階段で休憩をするのが普通なのだが、今回はクリスタたちの勉強のために、通路での休憩にしたようだ。


 A班が食事をとる間、B班の三人は右と左の通路を見ながら見張り。イロナがいち早く気付いてダッシュで離れたと思ったら、スライムキングを担いで戻って来たのでヤルモが近付く。


「何も持って来なくてもいいだろ」

「ただの暇潰しだ。プルンプル~ン」


 どうやら見張りの時間が暇すぎるので、イロナはこんな暴挙に出たらしい。


「プルンプル~ン……あっ!」


 しかし、イロナの撫で回しを喰らったスライムキングは、早くも弾け飛ぶのであった。


「うそ……撫でてただけよね?」

「はい……イロナさんに愛でられてかわいそうに……」

「「あわわわわ」」


 イロナの常識の無さに、クリスタやオルガは憐れみの目を送り、テッポとリュリュは驚きを隠せないのであったとさ。


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