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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
04 カーボエルテ王国 王都1
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076 魔王討伐8


「いや~。ちょっと首を斬り落とすのにこだわり過ぎて、時間が掛かってしまったな。すまんすまん」

「「「お疲れ様です!!」」」


 カイザードラゴンを倒して上機嫌なイロナは謝罪するが、タピオたちはヤクザの組長を出迎えるが如く挨拶するしかない。

 だって、10メートル近くあるカイザードラゴンと空中戦を繰り広げ、首ばかりを攻撃して苦戦していると思っていたら、一刀両断で斬り落としたんだもん。

 コツコツ攻撃していたのは硬い鱗を削っていただけで苦戦とかじゃなく、ポリシーと気付いてしまって怖いみたいだ。


「では、次だ!!」

「「「は~い」」」


 上機嫌なイロナは、タピオたちを引き連れて次の部屋に移動するのであった。



「おお! デュラハンだ。あいつは騎士のくせに逃げようとした軟弱者だからな。我が尻を叩いてやろう!!」

「「「どうぞどうぞ」」」


 巨大な馬に乗り片手に自分の頭を持った騎士デュラハンとイロナの間で何やら因縁があるらしいので、タピオたちは譲るしかない。

 事実は、イロナが甚振(いたぶ)るような戦い方をしたからデュラハンが逃げ出しただけで、後ろから真っ二つにしたから因縁でもなんでもないんだが……


 イロナは凄まじい速さでデュラハンに接近したが、急ブレーキ。デュラハンが大剣を振ると(きびす)を返し、空振りさせて戻って来た。


「そういえば、主殿と勇者のレベルアップを忘れていた。わははは」

「イロナ!」

「後ろ後ろ!」


 イロナは笑いながら頭を掻くが、デュラハンは馬を走らせ迫って来ているので、タピオたちは指を差して騒ぐ。


「勇者だけでは厳しいと思うから、主殿も手助けしてやれ」

「いや、ちょっと……ぬおっ!」


 イロナはそれだけ言って消えるように横に飛んだので、タピオとデュラハンはいきなりの衝突。ギリギリ盾は間に合って、タピオは力一杯耐える。


「合図があるまで俺の前に出るなよ!」

「はい!」

「わ、私は……」

「聖女もだ!」


 いきなり戦闘が始まってしまったので、タピオは怒鳴るように指示を出し、デュラハンが振る大剣を盾で止める。


「ぐおぉぉ! 一撃だけだ。行け!!」

「はい!」


 タピオは大剣を力業で弾き返し、デュラハンがバランスを崩したところにクリスタを送り出す。クリスタは素早く出ると、デュラハンの乗る馬の足を斬り付けて離脱。タピオの後ろに戻る。


「あの……私は……」

「魔法の届くギリギリまで下がれ。絶対に俺の背中のラインを外れるな!」

「はい!」


 オルガはいまだ指示をもらっていなかったので再度問うと、少し余裕ができたタピオは答える。そうしてオルガがジリジリ下がるなか、デュラハンは体勢を立て直して大剣を振り回した。

 ガンガンガンッと、大剣と盾がぶつかる音が部屋に響き渡り、タピオはチャンスと見たら押し返してデュラハンのバランスを崩し、クリスタと一緒に前に出る。

 お互い馬の脚に一撃入れると元の位置に戻り、タピオは疑問を口にする。


「なんかダメージが多く入った気がする……」

「聖女様が光属性の支援魔法を使ってくれたのよ」

「ふ~ん。マジックアイテムを使わなくていいから安く済むな」

「こんなところでお金の話?」


 タピオは間の抜けたことを呟くのでクリスタはツッコム。ただ、何度もツッコムことをせずに次の行動を教えてもらおうとする。


「アイツ、馬から落とさないの?」

「馬だけでもかなり強いぞ。たぶん勇者のスピードじゃ、なぶり殺される」

「うっ……そんなに速いんだ」

「まずは馬を削って倒す。これがデュラハンの定石だから覚えておけ」

「はい!」


 これよりタピオとクリスタは馬を重点的に攻め、頃合いと見たタピオは前に出て、馬の胸に目掛けて剣をぶつけた。


「お前たちは待機!!」


 馬と一緒に倒れ込んだデュラハンに、タピオひとりで飛び掛かる。これは、大ダメージを与えるチャンスなので、レベル不足の者がいると邪魔になるからだ。

 馬がダンジョンに吸い込まれるなか、タピオは剣を何度も振り下ろし、反撃が来たら盾で受けて後ろに跳んだ。



「やっぱり私たちって邪魔?」


 タピオの背中についたクリスタは自信を無くしている。


「まぁな。でも、支援魔法は助かる」

「私だけ邪魔なんだ~」


 辛辣(しんらつ)なタピオの台詞で、クリスタはますますへこんだ。


「チャンスは作るから、俺と勝負だ」

「どゆこと?」

「すぐわかる。来たぞ!」


 デュラハンが前に出ると、タピオも前に出て大剣を盾で受けてからのカウンター。その剣撃は凄まじく、クリスタが入り込む隙間がない。

 クリスタではデュラハンの剣を捌けない速度なので、無理に割り込んだらあっという間にミンチにされるだろう。そう思ったクリスタは疑問が浮かんだが、口には出さずタピオの合図を待つ。


「これね!!」

「おう!!」


 戦闘に集中していたクリスタは、タピオの合図の前に飛び出した。そして、サッカーボールキック。


「あははは。頭だけじゃ、何もできないみたいね!」


 タピオの狙いは、頭と体の分離。タピオが頭を弾き飛ばした瞬間にクリスタは大きく蹴り飛ばし、二対二に持ち込んだのだ。


 タピオは胴体と剣撃を繰り広げ、クリスタは一方的に頭をタコ殴り。クリスタの攻撃は軽いが手数が多い。これで同時攻撃となって、デュラハンのHPはガンガン減って行くのであった。


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