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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
04 カーボエルテ王国 王都1
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074 魔王討伐6


 地下85階のマグマフロアに戻った一行は、三人ほど嫌そうな顔。それは何故か……


 ちょっとでも体積を減らそうと鎧を脱いだタピオの太い両腕に、クリスタとオルガが乗っているからだ。若干タピオは柔らかい物に触れて嬉しそうだけど……


「どうだ? 暑くないだろ?」

「うん。タピオさんの体温以外は……」

「暑くはないですけど、私は聖女なのに……」

「俺、めっちゃ暑いんだけど……」


 体温調整マントは横にしたらなんとか全員を包んでいるので、クリスタとオルガはギリギリ適温。しかし前が大きく開いているし足は全開なので、タピオは熱波を浴びているから暑そうだ。


「では、行くぞ!」

「だから暑いんだけど……」

「「あはは……」」


 イロナが走り出したからにはタピオも続くしかなく、ブツブツ言っていたらクリスタとオルガから乾いた笑いが起こるのであった。



 先頭を行くイロナは、マグマフロアのモンスターが珍しいらしく、出会ったモンスターは全て処理。そのせいで、タピオたちも攻撃を受けることとなるが、逃げ回っていたらイロナが倒してくれた。

 多少危険ではあるがタピオたちには攻撃は届かず順調に進んでいたら、イロナの意中の相手、炎を(まと)ったドラゴン、火竜が現れて一刀両断。

 フロアのレベルが高い分、火竜のHPは低かったらしく、イロナは思ったより手応えがなくて残念がっていた。

 でも、出て来た火竜は全て一刀両断していたので、タピオはクリスタたちに手を伸ばしてもらってドロップアイテムは全て拾っていた。


 こうして地下88階になると、マグマフロアは終わりを告げるのであった。



「うっ……服がビショビショ……」

「タピオさんの汗……クンクン……」

「すまん」


 マグマフロアを抜けた階段で、装備の変更。タピオは一人だけ熱波を浴びていたので汗だくとなり、クリスタとオルガの服を濡らしてしまったようだ。

 クリスタは嫌そうに服を着替えていたが、オルガは何故か嬉しそう。わりと匂いフェチなのかもしれないが服を着替えていたので、後ろを向いて着替えているタピオも謝らざる得ない。

 ただ、オルガの巨乳が目の前で揺れていたので、タピオの下はビンビン。イロナに見られそうになって必死に隠していた。


 皆の装備が整うと、元気よく前進。二人ほどタピオの匂いが残っているのか、クンクンしながら進む。

 地下88階は多少蒸し暑いけど普通のフロアだったから攻略は早いが、地下90階になると寒くなって来た。今までが暑かったから気持ち良く感じていた一行だが、地下に潜る度に寒くなって行き、手持ちのマントで耐える。


 そうして地下93階になると、一度上の階に戻ることとなった。


「ガチガチ。さむかった……」

「フロストフロアだ」


 クリスタが震えるなか、タピオの説明。床も壁も氷でできているフロストフロアは寒さが堪える。体温調整マントも二つしかないので、配分を考える必要がある。


「イロナは……」

「氷竜を斬るぞ!」

「だろうな」


 体温調整マントは予想通りイロナが手放してくれないので、タピオはクリスタとオルガを見る。


「無理!」

「私もHP減りました!」

「はぁ……動いていればなんとかなるか」


 当然、レベルの低いクリスタとレベルの低すぎるオルガも手放せないので、タピオが我慢するしかない。

 鎧の下に厚めの服を着て、冬用のマントを羽織ったら準備完了。クリスタとオルガが体温調整マントに包まれたら下の階に移動する。


 地下93階も、イロナが倒せなかったモンスターを倒せると息巻き、道を塞ぐ氷系モンスターを一刀両断。タピオも体温維持のためにモンスターを倒し、ドロップアイテムも走り回って拾う。

 クリスタとオルガの出番はないが、順調に攻略して進む。


 そうしてイロナ意中の相手、全身が凍り付いたドラゴン、氷竜も弱すぎて一刀両断。イロナだけ満足して、地下96階にてフロストフロアは終了となるのであった。



 またタピオだけ着替え、全員マントを羽織ったら出発。最下層間近とあってモンスターも巨大で強いが、タピオとイロナコンビの敵ではない。

 ただ、クリスタはたまにイロナから無茶振りが来るので、タピオを盾役にして頑張って倒していた。

 そんな中、一番レベルの低いオルガは、強そうなモンスターを間近に見て恐怖する一幕があった。クリスタが戦う際には必死に援護し、弱いながらも聖女の務めを果たそうとする。

 戦闘が終わればアイテムも集め、タピオはニンマリ。さすがは魔王発生間際とあって、かなりランクの高い武器防具が手に入ったようだ。



 順調に進み、地下99階に続く階段の中腹でタピオパーティはストップ。小休憩とアイテムを確認する。


「勇者の剣って、S級か?」

「いちおうSS級(ダブル)

「じゃあ、シングルが出たけどいらないな。盾だけ、シングルの少し大きいのに変えておけ。持てるだろ?」

「ありがとう!」


 クリスタにS級の盾を渡すと、重さを確かめて動きを確認する。


「聖女にはこっちな。使えそうな物はあるか?」


 タピオは僧侶が使えそうな装備や魔法の補助になるアクセサリーを並べる。


「何個か使えそうな物はありますが……せっかく出たアイテムを私たちが貰っていいのですか?」

「まぁ渋々ではあるが、いまはパーティメンバーだからな。多少の取り分は回してやる」

「では、お言葉に甘えさせていただきます」


 クリスタとは違い、オルガはアイテムを受け取ることを渋ったが、タピオから許可を得たので装備できるだけ装備するのであった。


「意外と遠慮ないヤツだな……」


 一度渋っていたから数個装備するだけだと思っていたタピオは、防御力の高い防具や杖、アクセサリーをじゃらじゃら付けたオルガに愚痴を言うが、オルガは目がハートになっていて聞いてないのであった。


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