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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
04 カーボエルテ王国 王都1
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070-1 魔王討伐2


 タピオパーティは、パーティを組んでいるのにも関わらず、勇者クリスタひとりをオーガジェネラルの群れに突撃させる。


 戦闘が開始すると、イロナは鬼教官らしく悪い微笑み。聖女オルガはひやひやしながら見守って、タピオはちらちらオルガの胸を見ながら観戦している。


「ああ! 危ない!!」

「そうでもないぞ。ちゃんと盾も使えている。あの短時間の説明で使いこなすなんて、勇者ってのは、本当に戦闘のスペシャリストだな」


 オルガがあまりにも心配しているので、タピオはクリスタを褒めて安心させようとしているようだ。


「でも、五匹相手なんて、普通無理ですよね?」

「普通の奴ならな。あの勇者、俺の戦い方も吸収している。もう少ししたら、ジェネラルは倒れそうだ」

「あ……」


 クリスタは力不足なので弾き返すとまではいかないらしく、攻撃した瞬間、自分が後ろに跳んで時間差を作っている。その時間差を使ってオーガジェネラルのHPをコツコツ減らし、一匹が倒れてからは雪崩のように次々と倒れた。


「な?」

「でも、まだあんなに大きなオーガが残ってます」

「多少苦戦はするだろうけど、勝てるはずだ」


 クリスタとオーガキングでは、ややクリスタが勝っているとタピオは見ている。本当ならば、五匹のジェネラルと戦って少し傷を負い、体力が減ったので勇者が不利。

 だが、クリスタの後ろにはイロナがいる。負けはすなわち死。たぶん助けてはくれるだろうが、そのあとも死。常に背水の陣のクリスタは死力を尽くすしか選択肢がないのだ。

 そのことを加味したら、クリスタの勝利は確実。タピオは正確な答えを導き出したが、心苦しさはあるようだ。


 そのクリスタはというと、傷を負い、吹き飛ばされようとも、鬼気迫る表情で剣を振るい、距離があくと攻撃魔法。ただ撃つでなく、オーガキングの隙を自分で作り出し、がむしゃらに特効している。

 そうしてからくもオーガキングの腹を掻っ捌き、クリスタは勝利を収めたのであった。



「ゼェーゼェー……」

(いささ)か時間を掛けすぎだが、及第点としておこう」

「あ、ありがとうございます!!」


 疲れきったクリスタに、イロナからのお褒めの言葉。クリスタは命の危機を脱して心底ホッとしている。


「治療と休憩は下でだ。歩けるか?」


 そこにドロップアイテムを回収したタピオが声を掛けた。


「もうちょっとだけ休んだら……」

「じゃあ担いでやるよ」

「贅沢は言わないけど、もう少し人間扱いしてほしいかな~?」


 クリスタはお姫様抱っこをしてほしいらしいが、タピオは無視。クリスタが気絶した時にお姫様抱っこをしたら、イロナからの蹴りが入ったからできないのだ。



 地下60階のセーフティエリアに着いた一行は、各々動く。クリスタはオルガに傷を治してもらい、タピオは夜営の準備。イロナはいちおうタピオを手伝っている。

 タピオたち用のテントを張り終わったら、クリスタたちはどうするのかと聞いていた。


「私たちも二人用のテントを張るよ」

「そっちは俺がやるから、料理を頼めるか? 俺たちは下手なんだ」

「聖女様の料理美味しいからね~。わかったわ」


 適材適所。朝食はオルガが作っていたと聞いていたので、タピオは美味しい物にありつけるチャンスを逃さない。イロナも料理の勉強に、オルガとクリスタが作る姿を睨んでいた。

 オルガたちはやや作りづらそうにしていたが、タピオから料理の仕方を学んでいると聞いて少し緊張は解けていた。「そんなに殺人鬼みたいな目で見なくてもいいのに」とか考えていたようだが……


 夕食ができると美味しくいただき、食後のお茶を飲みながら話し合う。


「確かここって地下90階のダンジョンだったよな?」

「うん。増えてなければ90階だよ」

「魔王が誕生したってことは、100階になっているんだろうな~」


 ダンジョンは、スタンピードが起こる度に階層が10階分増える。これは冒険者ギルドでも確認が取れているからタピオでも知っていた。さらに地下100階に達すると、魔王が発生する確率がグッと上がる。

 ここは学者の間でも意見の分かれるところだが、何度も魔王と対峙したことのあるイロナが頷いているところを見ると、イロナにしかわからない魔王特有のオーラでもあるのだろう。


「となると、次のセーフティエリアは80階。90階にあればいいけど、見込みは薄いな。20階を進んで、休みなく魔王と対決って流れになると思う」

「きつい……疲れたまま魔王か~」


 今後の話をするタピオの話を聞いて、クリスタはドサッと後ろに倒れた。


「だな。今日は八時間の休息の後、出発。明日はその倍の休息を取ろう」


 いちおうタピオは臨時のパーティリーダーなのだが、イロナを恐る恐る見る。


「かまわん。魔王に逃げ場はないからな」


 クリスタたちもイロナがなんと言うか心配だったが、許可が出て安心する。しかし、倒さなければならないはずの魔王が少しかわいそうに思うクリスタたちであったとさ。



 食事と話し合いが済めば、イロナのお仕事。


「さあ! 今日はどう気持ち良くしてほしいか言え!!」

「「「ブフゥゥーーー!!」」」


 性奴隷としての仕事だ。まだお茶を飲んでいた三人は、一気に吹き出した。


「ゲホッゲホッ……そういうことは、せめて二人きりの時に言ってくれ」

「おっと。気分が高揚していたから、人がいたのを忘れていた」


 魔王が発生してイロナの体は(うず)いているらしいが、タピオは困った顔。してもらいたいけど必ずHPは減るので、魔王戦まで禁欲したいと思うのであった。


「あの二人……こんな所でするつもりなのかな?」

「汚らわしい! 公衆の面前でそんなことを宣言するなんて、汚らわしいですわ!」


 もちろんクリスタとオルガは、コソコソと喋り続けるのであったとさ。


次話『 070-2 』は性的な描写が含まれていますのでアルファポリスにて『 R-6 』のサブタイトルで公開します。

18歳以上でもしも読まれたい方は、アルファポリスにてしばしお待ちください。

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