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321  トゥオネタルの魔王10


 イロナが協力してくれると約束してくれたので、ヤルモは各種補助アイテムの支給。

 イロナがボリボリ食ってゴクゴク飲んでいるうちに、ヤルモもつまみながらレジェンドマイナスの刀のチェック。少し痛みがあったので、一段強いレジェンドの刀【物干し竿】をイロナに渡していた。


「準備万端だな」

「不本意ながらな」

「んじゃ、上に戻るか」


 イロナはドーピングしたくなさそうだったが、ヤルモは無視して上を指差した。たぶん、イロナに運んでほしいのだろう。


「行くぞ!」

「う、うん……」


 するとイロナは了承。でも、ヤルモは首根っこを掴まれたので、「持ち方はなんとかしてほしいな~」と思いながら、空を駆けるイロナに身を任せるのであった。



「戻って来たか」


 床に開いた大穴からイロナが飛び出て華麗に着地し、ヤルモがドシャッと落ちた場所にはサタンが待ち構えていた。言葉から察するに、イロナたちが生きていると知っていたようだ。


「我の主殿は凄かろう?」

「その男か……確かに余の攻撃をいなしたことには驚かされた。マグレだとしてもな」

「マグレかどうかは、これからたっぷり教えてやろう」


 戻ってすぐに、イロナとサタンがヤルモを持ち上げるので、ヤルモも何か言わなくてはならない。


「さっきまでの俺と思うなよ。いまの俺は、戦女神を守る騎士だ。もう、イロナに指一本触れさせないからな」

「戦女神だと……」


 ヤルモが挑発すると、サタンは怒りの表情に変わる。


「どうりで強いわけだ! 今度は余が勝たせてもらうからな!!」


 サタン降臨はこれが二度目。前回の敗北を記憶していたサタンは、明らかに戦女神のイロナを意識して腕と羽を広げる。


「「かかってこ~~~い!!」」


 こうして、サタンVSイロナ&ヤルモの戦闘は、二人の息の合った掛け声でリスタートするのであった。



 先手はサタン。ヤルモ程度なら真っ直ぐ攻撃してもすぐに終わると思ったのか、突撃からの四刀流。


「支えてくれ!」

「おう!」


 パワー負けしていては、受けるに受けられない。ヤルモはイロナに背中を押してもらい、サタンの一撃目を受け止めた。


「ぐおぉぉ!!」


 全体重の乗った一撃目さえ止められたら、あとはヤルモのモノ。ナビと視界を共有しているので、サタンの攻撃もハッキリ見える。

 サタンは体の大きさが裏目に出ているので、動き出しまでハッキリ見えるから、ヤルモは今までの経験から体が自然に動くのだ。


 サタンの斜め上から振り下ろされる剣は、角度を付けた大盾を上に持って行って、滑らして回避。横から来た剣も大盾で滑らして上に流す。最後の逆からの横薙ぎだけは、体当たりするように大盾をぶつけて止めた。


「さすが主殿だ!」


 その一瞬の停止が命取り。すかさずイロナが飛び出し、サタンを連続で斬り付ける。


「羽をなんとかしてくれ!」

「わかった!」


 サタンが痛みに顔を歪めている隙に、ヤルモの指示。イロナがサタンの左羽に向かうが、サタンはそれを阻止しようとイロナにターゲットを移す。


「させん」

「それは俺のセリフだ!」


 しかし、サタンが横を向こうと体を捻るのに合わせて、ヤルモのバズーカフルスイング。サタンの回転を止めるには攻撃力が足りないが、イロナが片羽を斬り落とすには十分だった。


「ドンドン行くぞ!」

「おう!」


 地上に張り付けにさえすれば、二人の独壇場。ヤルモがサタンの動きを止めて、イロナのアタック。順調にダメージを積み重ねる。


「ぐっ……重くなった。ちょっと待った……」


 だが、四天王の一角がまた落ちて、サタンの力が上がる。スピードも上がったようなので、ヤルモはタイミングを計るためにイロナに支えてもらう。


「いまだ!」


 サタンの攻撃に慣れると、ヤルモはまた大盾でのいなし。サタンは力を込め過ぎていたのか、大きくバランスを崩した。


「喰らえ~~~!!」


 大チャンスに、イロナのスキル発動。サタンの足を斬り、そのまま飛び上がりながら縦に斬り裂き、上からの斬り付けに移行する。


「ナビ、ビームだ!!」

『はっ! ファイアー』


 その連続斬りはサタンに邪魔されそうになったので、ヤルモはアゴが外れない程度のビーム。前もって準備をしていた最速の攻撃で、サタンの攻撃を邪魔する。


「グオオォォ! 舐めるな~~~!!」


 イロナに、頭から腰に掛けてバッサリ斬られたサタンは怒り狂い、自分中心に黒い炎を出して、ヤルモたちを吹き飛ばした。


「魔法も強えな~」

「うむ。最初からそれをやっていれば、もっと楽しかったのにな」

「それは同意できないけど……いまのうちに回復アイテムとか飲んどこう」


 ここからは魔法も加わって難易度が上がりそうなのに、イロナは待ってましたと言わんばかり。もちろんヤルモは強くなって欲しくないので、ボヤキながら回復と補助アイテムを補給する。


「四天王はあと一体……いや、やりやがったな!?」


 黒い炎の鎮火を待ちながら周りを見ると、ちょうどトゥオネタル族が四天王を倒してしまったので、ヤルモは締めの言葉はストップ。最後の四天王が倒される前にサタンにダメージを多く与えようと言おうとしてたっぽい。


「これでさらに強くなるのか。クックックッ」

「チッ。あいつら……まぁいい! これで打ち止めだ。サクッと倒してやろうぜ!!」


 これでサタンの急激な力の変化はストップ。ヤルモはポジティブにサタンとの戦闘を再開するのであっ……


「ちなみに主殿の頭に乗ってる人形はなんだ? 巨乳になってるぞ??」

「いまいいこと言ってたんだけど……」

「やはり主殿は巨乳が好きなのか??」

「いま聞くことか??」

『元帥の好みに体が作られています』

「……とか言ってるぞ?」

「ナビはよけいなことを言うなよ~」


 いや、軍服巨乳人形ナビが気になったイロナの質問や、ナビがヤルモの潜在意識で具現化しているとチクるので、ヤルモの集中力が削がれるのであったとさ。


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