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315 トゥオネタルの魔王4


 時は(さかのぼ)り、ヤルモたちがサタンとの戦闘を始める少し前……


 トゥオネタル族によるモンスター相手の大立ち回りが行われるなか、トピアスたち四組のパーティが四天王に向かっていたが、イロナが追い抜いた。


「またあいつは勝手しやがって……イロナの元へは俺たちが向かう! 他に行け!!」


 トピアス家族はイロナを追い、その他は残りの四天王の元へと散り散りに動くしかない。

 トピアスの指示が行われた頃には、イロナは早くもドス黒くて巨大なダークベヒーモスを斬り飛ばした。


「クックックッ……前回は主殿と一緒だったから消化不良だったのだ。まさかまた出て来るとは有り難い」


 真っ先にダークベヒーモスの元へ向かったのは、消化不良解消のため。イロナはどうしてもベヒーモスと一人で戦いたかったみたいだ。


「ほう……我の一撃を喰らってもう治っているのか。これは楽しめそうだ」


 ダークベヒーモスとは、前四天王がトゥオネタル族に簡単に倒されたので、サタンが直々に召喚した悪魔。魔界から側近を召喚したこともあり、四天王全ての実力は、カーボエルテの魔王第二形態を軽く超えている。


「わはははは。そうだ! もっと我を楽しませろ!!」


 なのにイロナは無双状態。いや、魔王状態。ダークベヒーモスの攻撃は(かす)りもぜずに、一方的にダメージを与えている。


「イロナ! お前の相手はサタンだろうが!!」


 そこに追い付いて来たトピアスが大声で苦情。割って入るにもタイミングが難しいので、声でしか割り込めなかった。


「ムッ……しまった」


 イロナは失敗したとか言いながら、ダークベヒーモスを軽々斬り飛ばした。


「もう他のヤツらが我の獲物と戦っている! 急がねば!!」


 イロナの失敗発言は、戦闘ではなく横取りされると思っての発言。慌ててブッ飛んで行った。


「おい! たく……せめて一声掛けろよ~~~!!」


 もう行ってしまっては仕方がない。トピアスは注意事項だけ怒鳴って、家族に視線を向けた。


「前のヤツと明らかに雰囲気が違うぞ。気を付けて()れ~~~!!」

「「「ヒャッハ~~~!!」」」

「はいは~い」


 こうしてトピアス家族は、気を付けろと聞いていたのに、各々好きに動いてダークベヒーモスに最大攻撃をぶつけまくるのであった。



「しばらくもらうぞ!」

「「「「「ええぇぇ~……」」」」」


 次の獲物に向かったイロナは、ドス黒くて巨大なダークデーモン。攻撃中のトゥオネタル族の隙を突いて、一気にブッ飛ばして一声掛けた。いちおうトピアスの声は聞こえていたのかも?

 いきなりダークデーモンを取られたパーティは嫌そうに声を出していたが、自分たちが総出で苦戦していた相手を一方的に斬り付けるイロナに苦情すら言えない。


「わははははは」


 めっちゃ笑っているイロナが怖いから。こんなイロナの邪魔をしたら、あとが怖いと思ったのかもしれない。

 アークデーモンの最上位種に位置するダークデーモンもイロナが難なく斬り刻んだら、一気に斬り飛ばした。


「ふむ。こいつもうまかった。次はどいつを喰ってやろうか……」

「「「「「ええぇぇ~……」」」」」


 楽しむだけ楽しんだら、あとは放置。イロナが走って行くと、トゥオネタル族パーティはなんとも言えない顔をするのであった。



「近付かないなら我がもらった!」

「「「「「ええぇぇ~……」」」」」


 次にイロナ被害にあったのは、ドス黒くて巨大なダーク悪魔呪術師。遠距離攻撃に乏しいトゥオネタル族が、強力な攻撃魔法を避けながらMPが尽きるのを待っていたら、イロナに横取りされた。

 ダーク悪魔呪術師が強力な魔法を継ぎ目無しに連発できると言っても、イロナには継ぎ目はガバガバ状態。イロナにしか見えない隙を掻い潜ってガンガン斬りまくり、しまいには立たせない状態まで追い込んだ。


「なんだ。てこずっていたからこっちに来たのにザコではないか。来る必要なかったな」


 遠距離攻撃主体の敵は、イロナのお眼鏡に適わず。イロナはボヤキながら消えたのであった。


「「「「ええぇぇ~……」」」」

「呆けるな! いまがチャンスだ! 突撃~~~!!」

「「「「ヒャッハ~~~!!」」」」」


 斬るだけ斬って去って行ったのでは、トゥオネタル族もやる気が失せるってもの。しかし、ダーク悪魔呪術師が倒れているのなら、ダメージを稼げる。

 トゥオネタル族パーティは気を取り直して、ダーク悪魔呪術師に襲い掛かったのであった。



 最後の獲物はドス黒くて巨大なダーク悪魔騎士。イロナは硬そうな鎧の上から蹴り飛ばし、戦っていたトゥオネタル族パーティから横取りした。


「なんだか主殿みたいだな。練習ぐらいにはなるか?」


 ダーク悪魔騎士は重装備なので、イロナはヤルモに見立てて戦う模様。練習なんて必要ないぐらいヤルモを圧倒しているのに……

 いちおうイロナは大盾や大剣を警戒して戦っていたが、ダーク悪魔騎士もイロナのお眼鏡に適わなかったみたいだ。


「チッ……つまらん。主殿のほうが数段強いぞ」


 ダーク悪魔騎士の戦法は、ただのゴリ押しでは厄介さが足りない。ヤルモよりスピードがあり防御力もちょい上。HPに至っては圧倒しているのに、それだけでは面白くないようだ。

 でも、ダーク悪魔騎士の鎧の隙間にロングソードを入れて斬りまくっているから、甚振る趣味は忘れていないみたいだ。


「ま、なかなか楽しめたか。そろそろメインディッシュを喰らうとしよう」


 こうしてイロナは、楽しむだけ楽しんでサタンに向かうのであった。


「「「「「ええぇぇ~……」」」」」


 最後の最後まで、トゥオネタル族パーティを引かすイロナであったとさ。


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