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283 ヤルモ先生再び2


 カイザーグリフォンがダンジョンに吸い込まれると、クリスタパーティはドン引き。ヤルモはたいしたアイテムが出なかったので、肩を落として入口に戻って来た。

 それからボス部屋から外に出ると、ダンジョンボスが復活するインターバルの間に、ヤルモはクリスタに拉致られて質問攻めにあっていた。


「ないわ~。ダンジョンボスを撫でるだけで倒すなんて、ないわ~」

「うっせぇな~。俺に聞かれても知るか。本人に聞け」

「ないわ~。聞けるわけ、ないわ~」


 あんな倒し方をしたイロナが怖すぎて聞けないクリスタ。下手に聞いても撫でられたら死ぬと思っているので、ヤルモに聞くしかないのに答えてくれないのでは、クリスタも諦めるしかなかった。

 ただし、元の席に戻ったら、オルガたちとコソコソ「ないわ~」と言い続けていたけど……



 インターバルが終われば、次はクリスタパーティの出番。イロナ以外の全員で、祈るようにダンジョンボス部屋に入って行った。


「やった! ドラゴンじゃない!!」


 そう。ドラゴンではイロナに横取りされるから、皆は祈っていたのだ。


「でも、アレはなんというモンスターなのでしょう?」


 しかし、頭に牛のような角が生え、でっぷりとした体で尻には尻尾、手には三つ又の槍のような物を持つ見慣れないモンスターだったので皆で話し合うが、誰からもいい返事が無かったので、オルガはヤルモ先生に質問していた。


「俺も攻略本情報しか知らないけど……たぶんアレは、アークデーモンじゃないか?」

「うむ。それで間違いない」

「あ、やっぱイロナは倒したことあるんだ」

「ただのザコだからな」

「ふ~ん……」


 イロナからも確認が取れたので、ヤルモはクリスタたちを集めてコソコソ喋る。


「これからお前たちは初見のラスボスと多く戦うことになるから、俺はアドバイスはしない」

「こいつで練習しろってことね」

「そうだ。ただし、イロナが言っていたザコってのは信じるなとだけアドバイスしておく。気を引き締めていけよ」

「てことは……あっ! だからコソコソ話していたのね。わかったわ」


 イロナの言葉を否定するのは怖かったヤルモ。クリスタもそのことを汲んで、仲間と軽く打合せしてから前進するのであった。



  *   *   *   *   *   *   *   *   *



 クリスタパーティは、パラディンにジョブチェンジしたパウリと勇者クリスタを先頭にジリジリ前進。すると、アークデーモンからの初手が来た。


「炎! 聖女様お願い!!」

「はい!」


 アークデーモンの口から放たれた炎のブレスは、オルガのシールド魔法で防御。強力だが回数制限のある空色の盾のスキルは温存する作戦のようだ。


「つぎ、魔法来たよ! パウリ!」

「はっ!」


 アークデーモンから風の槍が飛んで来たら、ここは壁役のパウリの出番。しっかりと大盾でガードする。しかし、アークデーモンの攻撃はそれだけでは終わらないみたいだ。


「範囲展開!!」


 アークデーモンから連続して放たれる遠距離攻撃魔法は、クリスタの持つ空色の盾のスキル【絶対防御】で一時待避。皆を集めて話し合う。


「かなり厄介な敵ね」

「ええ。多彩な遠距離攻撃を放たれては近付くのは難しいですね」

「ヤルモさんが注意するわけだ。問題は接近戦も強そうってとこね」

「しかし、遠距離からの攻撃に乏しい私たちでは近付くしかありません」

「だね。ここはいつもの手で行くよ!」

「「「「はい!」」」」


 クリスタとオルガの話し合いが終わればリスタート。【絶対防御】の途切れる瞬間に、クリスタは右から。ヒルッカは左から飛び出した。


「うおおぉぉ~~~!!」


 その瞬間、オルガとリュリュを背に隠したパウリは大盾を叩きながら前進。スキルも使い、アークデーモンの標的を外れないようにクリスタとヒルッカを援護する。


「ホーリーアロー!」


 さらに、リュリュが断続的に悪魔系が苦手な聖魔法を放ち、パウリがターゲットから外れないように援護。

 その結果、アークデーモンの遠距離攻撃はパウリに集中する。



 アークデーモンのターゲットが外れている内に、クリスタとヒルッカは大きく弧を描きながら走り、直線上になった頃に同時に急接近。今までの戦闘経験のおかげで速度も息もピッタリだ。

 しかし、ヒルッカは少し減速。その頃にはアークデーモンも二人に気付き、キョロキョロして近いほうにターゲットを移した。


「喰らえ~!」


 ファーストアタックは、勇者クリスタ。少し出遅れたアークデーモンを斬り付けたが、三つ又の槍で防御されてしまった。


「もらった!」


 そこに、ヒルッカのナイフでひと突き。アークデーモンの背中を刺して一撃離脱。この隙を付くために、ヒルッカは速度調整していたのだ。


「くっ……」


 ヒルッカにターゲットが移らないようにクリスタは剣を振り、アークデーモンの攻撃を空色の盾で受けるが、連続して突かれる三つ又の槍を捌くには、今現在のレベルではギリギリの模様。

 なのでヒルッカが助けに行こうとしたが、アークデーモンの尻尾が振るわれたので後ろに飛ぶしかなかった。


「うおおぉぉらぁぁ!!」


 ただし、これも時間稼ぎ。クリスタにターゲットが移った瞬間にパウリはダッシュしていたので、アークデーモンに近付いて大振りの剣で一太刀入れた。


「けっこう速いし力あるよ!」

「はい!」


 アークデーモンの実力を測ったクリスタの指示。クリスタとパウリでターゲットを取り合うように攻撃や防御を繰り返し、クリスタパーティの戦闘は続くのであった。


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