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271 特級ダンジョン2(ユジュール王国)


 地下40階のセーフティーエリアでは、冒険者が多すぎるのでヤルモはあまり眠れず。だが、脅しとユジュール王の書状があったから一組しかテントに近付いて来なかったので、ヤルモもそこそこ眠れたようだ。

 ただし、朝食を食べていたら集まる冒険者たち。勇者オスカリが魔王を倒した話を聞きたいみたいだ。


 しかし、イロナがオコ。冒険者のせいで昨日はヤルモに性的奉仕ができなかったから機嫌が悪い。また殺気を解き放って追い払っていた。

 もちろん魔王率アップしてたけど……



 地下40階を立った二人は、今日もすっ飛ばし。モンスターがいまだに弱いからだ。

 ここからはさすがに冒険者の数が減ると思っていたが、5フロア進んだところで冒険者が増えて行き、変な目で見られていた。


 そうしてたった二日で地下80階のセーフティーエリアについたヤルモたちが夜営の準備をしていたら、ここでも冒険者に囲まれていた。


「もう()ってしまっていいか?」

「殺さないようにしろよ~」


 モンスターは弱いわ冒険者がうっとうしいわでは、イロナの苛立ちは爆発。せめて強い冒険者がいないかと、素手でブッ飛ばしまくっている。

 そんなイロナを横目で見つつ、ヤルモは食事の準備。準備が終わると、冒険者を追い回してボコボコにしていたイロナを呼びに行く。


「もうわかっただろ? 死にたくなかったら俺たちに関わるな。あと、俺たちはユジュール王からの依頼でここに居るから、チクッても無意味だからな。あとから来たヤツにも言っておいてくれ」

「「「「「はい……」」」」」


 ついでに脅すヤルモ。ほとんどイロナの恐怖のおかげで、ゆっくり休める二人。

 この日もヤルモは冒険者が多いからイロナの性的暴力を拒否したが、イロナが求めて来ていたので合体のみを一回。お互い気持ち良くなれたので、イロナも納得して眠ってくれた。



 地下81階からは、さすがに冒険者は減ったが、モンスターはジェネラル級しか出ないので、ここも120階までスキップ。

 ヤルモは宝箱を回収したかったようだが、イロナの舌打ちが凄いので止まるに止まれなかった。


「「またか……」」


 地下120階のセーフティーエリアでも、冒険者に絡まれるヤルモたち。少なからず戦闘の邪魔をしたのだから、冒険者は文句を言いに集まってしまうのだ。


「イロナ。やっちゃってくれ」

「う~む……あいつらだけじゃ面白くないから、主殿も向こうについてくれ」

「なんで!?」


 ここもイロナの恐怖を刷り込まそうとしたが、ヤルモまで生け贄。イロナブートキャンプの生徒には拒否権がないので、ヤルモは渋々冒険者側に立つ。


「んだオッサン? 俺たちはオッサンに文句言いに来たんだぞ」


 ヤルモが大盾とバズーカを構えると、リーゼントでキメた若者が絡んで来たが、ヤルモは振り返りもしないで応える。


「んなもん、もうどうでもいいんだよ。死にたくなかったら、俺より前に出るな」

「あ? オッサンこそ、俺に背中を見せていいご身分だな~。おおう?」

「来たぞ!!」


 リーゼントが(すご)んだ瞬間、イロナの突撃。イロナの模擬刀がヤルモの大盾に接触した瞬間、激しい金属音と服を揺らす衝撃波が発生した。


「な、何してんだ!? お前ら仲間じゃないのかよ!?」

「いいから下がれ! うおおおお!!」


 手加減抜きのイロナの攻撃に、ヤルモも本気で受けるしかない。


「「「「「すげえ……」」」」」


 二人の戦闘は異次元すぎて、ここに集う冒険者ではレベル違いなので、ただ見ているしかできずに後退(あとずさ)る。


「なんだってんだ……うお! こっち来た!?」

「「「「「うわ~~~!!」」」」」


 あのヤルモでも本気のイロナ相手では簡単に押し込まれ、四方八方に吹き飛ばされて地面に(わだち)を作るので、冒険者は巻き込まれないように逃げ惑うのであったとさ。



「ふう~……スッキリした」


 ヤルモがブッ倒れると、イロナは笑顔。冒険者たちは何人か巻き込まれて倒れているけど……


「ゼェーゼェー……食事の準備は、ちょっと待ってくれ。ゼェーゼェー……」

「まぁ主殿の頑張りに免じて待ってやろう」


 これほどのイジメをしておいて、イロナは偉そう。ヤルモの頭側に腰を下ろし、頭を撫でている。


「しかし主殿以外、誰も向かって来なかったな。その点はガッカリだ」

「確かに……オスカリほどじゃなくとも、一組ぐらい手伝えるヤツが居てもいいのに……」


 イロナの文句に、ヤルモも乗っかる。勇者オスカリが強かったから、それに近い実力者が居たら楽ができると思っていたみたいだ。


「はぁ~。そろそろメシの準備するか~」


 ヤルモは体力が少し戻ったら、テントの準備をしていた場所にイロナと戻り、夕食の準備。今日はもうしんどいので、温めるだけでいい携帯食を選んでいた。

 そうしてマジックコンロでお湯を沸かしていたら、また冒険者が集まって来たのでヤルモは睨む。


「「「「「すいませんでした!」」」」」


 どうやら絡んだことを謝りに来たみたいだ。さらに「これ、食べてくださいッス!」とか言って、ヤルモに食料を渡して行く冒険者。

 ヤルモは何事かと思ったが、帰り際にこんな声が聞こえて来たので納得する。


「魔王……こえぇぇ~~~」


 魔王イロナから守ってもらった感謝の証だと……


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