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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
11 アルタニア帝国 帝都2
263/330

263 友情8


 オスカリVSイロナが終わると、次はヤルモVSイロナ。ヤルモは左手に呪いの大盾を構え、右手にはバズーカを握った。


「ん? 主殿はそれを使うのか??」

「なんか俺に装備できるみたいだから……レジェンドだからけっこう頑丈だろ」

「ほう。主殿専用の武器か。それは面白そうだ」

「使い方はいまいちわからないけどな。やるだけやってみる」

「その力、見せてみろ!」


 軽く言葉を交わしたら、先手はヤルモから。イロナから言われては、ヤルモも攻めないわけにはいかないのだ。


「んじゃ、遠慮なく」

「おっ?」


 ヤルモの一手目は、バズーカ発射。しかし、ロケット弾はイロナに簡単に斬り裂かれた。


「こっちはどうだ?」

「おお~」


 次の攻撃は、バズーカから飛び出す青い炎。高火力のガスバーナーだ。これはイロナに素早く避けられたので、ヤルモは振り回してイロナを追いかける。


「う~ん……一秒ぐらいしか出ないのか」


 これらの攻撃は、MPをバズーカに補充することで発射できる。言うなれば、重戦車のスキルを武器が代替してくれる物。この装備は、正真正銘、重戦車専用装備なのだ。


「クックックッ。いい武器を手に入れたではないか」

「そうか~? 飛び道具なんて慣れないんだけどな~」

「まぁ主殿の真骨頂は、接近戦だからな。それも見てから次に行こうか」

「手短にな」


 ここからは、イロナが斬り付けてヤルモが守る。盾だけでなく、バズーカも盾のように使うので、ヤルモの防御力はさらに上がっている。


「ふんぬ~!!」


 バズーカは盾だけでなく攻撃に転用。イロナの斬り付けに合わせて、ヤルモは力いっぱいバズーカを振り回した。


「ぐっ……」


 その攻撃で、イロナの使っていた模擬刀は粉砕。それを見て両手で防御したイロナを弾き返したのであった。



「大丈夫だよな?」


 イロナが防御体勢のまま止まっているので、ヤルモは不思議に思いながら声を掛けた。


「ああ……」

「なんか変だな。どうかしたのか?」

「手が痺れた……」

「イロナがか!?」

「その武器、見た目より攻撃力がありそうだ。クックックッ」

「そ、そうなんだ……」


 まさか丸太のような武器でイロナがダメージを負うとは思っていなかったヤルモは驚いたが、イロナが笑っていたのでちょっと怖くなっていた。


「まぁ準備運動はこんなところだな。そろそろ本番と行こうではないか!」


 イロナがオスカリパーティに向かってそんなことを言うので、ヤルモは下がろうとしたが……


「主殿。どこに行こうとしている?」

「え……出番は終わったから……」

「数分しか戦っていないのだから、疲れてないだろ。勇者パーティと一緒に、主殿も我を楽しませるのだ」

「はい……」


 残念ながら、オスカリパーティプラスヤルモが、イロナの本番。ヤルモは逃げることも許されず、トボトボとオスカリパーティの元へ歩いて行くのであった。



「お前の女……ホント無茶苦茶だな」


 オスカリパーティと合流したヤルモは、オスカリにからかわれる。


「まったくだ。なんで俺まで……」

「それを言うなら、俺たちもだ。マジであの嬢ちゃん何者なんだ? 本当に魔王とかじゃないんだよな??」

「魔王ではないと思う。確証は持てないけど……」


 ヤルモはイロナのことを詳しく知っているのに、自信は無い模様。全ての情報を足しても、魔王のほうが近いと思っているようだ。


「まぁあの化け物を楽しませないと俺たちは死ぬだけだし、死ぬ気で行くぞ!」

「「「「「おう!」」」」」


 お喋りはここまで。オスカリが音頭を取り、オスカリパーティプラスヤルモは気合いを入れる。


 こうして人族最強といっても過言ではないオッサンたちは、イロナに向かって行くのであった。



 それから一時間……


 オスカリパーティプラスヤルモはイロナに甚振(いたぶ)られ続けて、最後に立っているのはヤルモとオスカリのみとなっていた。


「クックックックッ。ここの魔王も面白かったが、レベルの上がったお前たちもなかなかのものだ。クックックックッ」


 イロナも珍しくHPを減らしていたので、お褒めの言葉。


「もう限界だかんな。次が最後の攻撃だ」

「名残惜しいが、一撃で(ほふ)ってやろうではないか!」

「いや、殺さないでくれよ」


 テンションの上がっているイロナの言葉は、冗談とは受け取れないオスカリ。ここはヤルモ頼りだ。


「防御を捨てて攻撃すっから、頼んだぞ」

「イロナの攻撃を耐えろってか……無茶言うな~」

「それしか手がないんだよ」

「チッ。しゃあねぇ。今回だけだからな」


 ちょっとした打ち合わせをしたオスカリとヤルモは、雄叫びをあげながらの突撃。


「「うおおぉぉ!!」」


 先頭はオスカリ。全力の会心の一撃を放とうとするが、イロナは剣で迎え撃つ。


「おらぁ!」


 イロナのカウンターは、割り込んだヤルモの大盾に阻まれるが、イロナの一撃で大盾は吹き飛ばされてしまった。


「まだだ!!」


 イロナの次の攻撃は、バズーカを振って剣を弾き飛ばそうとしたが、これも不発。逆に吹っ飛ばされてヤルモは素手となる。


「ぐおおぉぉ!!」


 それでも、ヤルモの真骨頂は防御力。イロナの次の斬撃は片腕で受けて、もう片方の手で握った。


「どおおりゃああぁぁ~~~!!」


 その最初で最後の隙に、オスカリの会心の一撃。イロナは肩口から斬られて、吹っ飛ぶのであった……


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