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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
11 アルタニア帝国 帝都2
262/330

262 友情7


 三度目のダンジョンボスのお宝はレジェンドアイテム。強力な光のオーブが出たのだが、ヤルモはブーブー言っていた。バズーカより値段が付きそうだから交換して欲しかったのに断れたからだ。


 それから特級ダンジョンを出た一行は、その足で冒険者ギルドに向かい、成果の報告と隠蔽工作。

 いちおうギルマスには、二組でダンジョンボスを三回も倒してしまったと本当のことを説明したら、英雄特権でお(とが)めは無し。魔石も普通に買い取ってもらえた。

 ただし、事情が事情なので、記録からは抹消。カーボエルテ王国の使者が裏で売り払うらしい。


 ここでヤルモも交渉。サキュバス魔王の魔石の件は一筆書いてもらい、ギルド職員から安値で買い叩かれそうになったバズーカの査定アップのお願い。

 しかしいくらレジェンド装備でも、誰も装備ができないし使えない、美術品としても微妙な物は、英雄特権があったとしても数%の上乗せがギリギリと言われて、販売は保留となった。

 ヤルモはカーボエルテで売れば、「あるいは……」とか思っているっぽい。



 冒険者ギルドでやることをやったら、酒場に繰り出して宴会。相変わらずヤルモは嫌そうな顔をして参加していた。

 気分が良くなって来たら、お開き。オスカリパーティはコソコソ外に出たのだが、イロナとヤルモがついて来ていたので振り返った。


「なんでついてくんだよ」

「娼館に行くのであろう?」


 どうやらオスカリたちがスケベな顔をしていたから、イロナに勘付かれた模様。


「ちげぇよ! 二軒目に行くだけだ!!」


 本当は娼館に行こうとしていたのだが、イロナに同伴されてはイクにイケない。結局はハシゴ酒をして、宿泊場所に帰るオスカリパーティであった。



 特級ダンジョンから戻った翌日は体を休め、次の日からはヤルモは旅立ちの準備。イロナと共に買い物デートを楽しむ。


 それからニコパーティが特級ダンジョンから帰って来て数日……


「では、貴様らから見てやろう!」

「「「「「ええぇぇ~……」」」」」


 イロナブートキャンプの始まり。わけもわからず訓練場に連れて来られていたニコパーティは、当然の如く嫌そうにしていた。

 しかし、イロナから「戦わないと殺す」と言われたからにはやるしかない。必死に剣を振り、魔法を放ち、死力を尽くして戦うニコパーティであった。


「おお~。いい動きになってる」


 その戦闘を見ながら、ヤルモはのん気なモノ。


「脅されたからだ。そりゃ必死になるぞ」


 逆にオスカリたちは心配そうな顔。このあと自分たちもイロナの生け贄にされるから気が気でないのだ。


「しっかし、さすがは勇者様が見出(みい)だした奴らだな」

「気持ち悪い言い方するな。お前、俺のこと勇者だと思ってないだろ?」

「いや、思ってるぞ」

「嘘つけ」

「マジだって。勇者なんて、弱いクセにめちゃくちゃ偉そうなヤツがやる職業だと思っていたからな」

「お前の認識、酷すぎないか??」


 ヤルモは残念勇者しか会ったことがないので、この認識しか持てない。


「出会った勇者はそんな奴しかいなかったんだから仕方がないだろ」

「じゃあ、俺と出会って認識は変わったわけだ」

「ああ。強くてガサツにな」

「どっちみちひでぇ!? 少しぐらい尊敬しろよ!!」

「わはははは」


 ヤルモとオスカリがオッサンどうしでチチクリあっていたら、ニコパーティの戦闘は終了。全員地面に倒れて動けなくなるのであった。



「さて……次はどう楽しんだものか……」


 心配して見ていた戦おかんクラーラが、ニコパーティの屍を訓練場の端に移動している間に、イロナは舌舐めずりしながら背筋を正してているヤルモたちの前を行ったり来たりしている。

 ちなみにいつも逃げ出していた賢者ヘンリクは、オスカリたちにつかまって縄でぐるぐる巻きにされたので、観念して座っている。


 そのイロナの行動にヤルモたちは、全員で一気にしないのかと不思議に思っているが、口には出せないようだ。


「うむ! ここは勇者だな!!」

「俺だけ!?」


 その答えは、イロナの趣味。レベルの上がった勇者オスカリとタイマンで楽しみたいらしい。


「プッ……頑張れよ」

「おまっ! 笑いやがったな……覚えておけよ」


 ニヤニヤしているヤルモに送り出しされたオスカリは、ギャーギャー言いながらイロナに挑むのであった。



「ふむ……なかなかよかったぞ」


 五分ほどオスカリを甚振(いたぶ)ったイロナは、お褒めの言葉。いちおう今までより激しい剣劇を繰り広げられたので、イロナは楽しかったようだ。


「はぁはぁ……もう終わりか?」


 オスカリは肩で息をしているが、まだまだやれる。


「これ以上やると、パーティ戦で楽しめないだろうが」

「チッ……そういうことか。でも、ちっとは休みをくれよ」


 死ぬまで戦わなかったのは、次の布石。結局オスカリは助かっていないので、せめて休憩がほしいと訴えた。


「もちろんだ。次、主殿だ!」

「俺もやるの!?」


 なので、繋ぎはヤルモ。オスカリはニヤニヤしながら下がって来た。


「わはは。俺を笑った罰だ。神様は見てるんだな」

「お前……覚えてろよ」


 立場は逆転。今度はヤルモがオスカリを睨み殺さんばかりに睨んで、イロナの前に立つのであったとさ。


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