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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
11 アルタニア帝国 帝都2
259/330

259 友情4


 ヤルモと殺人ロボがロケット弾を撃ち合っていたら、イロナが両方のロケット弾を持って来たので、オスカリたちは逃げて行った。


「情けない……フンッ!」


 その姿を見たイロナはキレていたが、両手に持っていたロケット弾を遠くに投げ捨てた。

 ロケット弾が変なところで爆発すると、オスカリたちは戻って来てギャーギャー文句……を言いたかったところだが、イロナが怖いのでやんわりとした文句に変える。


「危ないだろ。そういうのは、せめて言ってからやってくれよ」

「爆発が広がる前に投げるのだから、危険などあるはずがなかろう」

「ん? 爆発が広がる前って……破裂してから投げたのか!?」

「そう言っているのだ」


 ありえない動体視力と反射神経の為せる(わざ)。イロナはロケット弾が裂けるのを目で確認してから遠くに投げていたのだから、オスカリパーティが驚きすぎてもおかしくない。


「もう一度持って来るから逃げるなよ? 逃げたら……わかってるな??」

「「「「「はい……」」」」」


 イロナに殺気を放たれて脅されたら、オスカリパーティはイエスと言うしかない。その返事を聞いたイロナはダッシュで、ヤルモと殺人ロボが放ったロケット弾を持って来るのであった。



「どうだ?」

「どうと言われても……似てるとしか言いようがないな……うおっ!?」


 オスカリたちにロケット弾を見比べさせたが、早くも爆発。その前にイロナは遠くに投げたので、勇者パーティは驚くだけであった。


「こっちはどうだ? ちょっと潰れているが」


 イロナが次に取り出したのは、弾丸。右手にヤルモ、左手に殺人ロボの弾丸が乗っている。これも素早くキャッチした物だ。


「これも似てるな……つまりヤルモは、モンスターの職業に就いたってことか?」

「それはわからん。だが、何かに似ていると思っていた謎が解けた」

「あ~……その確認で、あんな危険なことをしたのか」


 オスカリ納得。どうやらイロナは、前々から殺人ロボとヤルモの攻撃方法が似ていると思っていたが、たまにしか出現しないからなかなか思い出せずにモヤモヤしていたようだ。


「しっかし、ヤルモもよく一人で戦えるな。俺でもそんなしんどいことやらないぞ」


 イロナの確認が終わると、ヤルモVS殺人ロボの戦闘に目を戻したら接近戦となっていたので、オスカリは仲間内で喋っている。


「あの程度なら、お前でもいけるだろ」


 しかしその会話はイロナに聞かれており、話にも入って来たのでオスカリは嫌な汗が出て来た。


「いや、ほら、勝てるけど、冒険者ってのはパーティで戦うモノだから……」

「ということは、ラスボスと一対一で戦ったことがないのか……」

「あるぞ! 何度かある!!」


 オスカリは嫌な予感が働いたので、嘘をつく。いや、本当は中級辺りのダンジョンボスとは一対一で何度か戦ったことがあるので、嘘ではない。


「ならばいけるな?」

「えっ……」


 しかし、イロナにはどっちでもいいこと。オスカリの首根っこを掴んだ。


「待った! 心の準備が~~~!!」


 というわけで、オスカリはイロナに引きずられて殺人ロボの前に連れて行かれるのであったとさ。



「主殿。交代だ」

「ん?」


 ヤルモが渾身の一撃を放って殺人ロボを後退させ、大盾を構えて一息ついていたら、イロナの声が聞こえたので振り向いた。


「あとはイロナがやってくれるのか?」

「我ではない。こいつだ」

「よっ……」

「お前……」


 イロナがオスカリの首根っこを掴んだまま持ち上げると元気なく挨拶。その顔を見て、ヤルモはすぐに答えがわかった。


 イロナがオスカリひとりに戦わせようとしていると……


「ま、お前なら大丈夫か」

「そこは心配して止めるとかないのか?」

「俺がイロナを止められると思っているのか??」

「無理を承知で言ってんだよ!」

「知るか! さっさと行け!!」

「お前……あとで覚えてろよ!!」

「俺に言うな!!」


 二人でギャーギャー言い合ったら、オスカリひとりで突撃。ヤルモはジリジリ後退し、イロナと共に戦闘を楽しむのであった。



  *   *   *   *   *   *   *   *   *



 オスカリはヤルモの後ろから飛び出すと、殺人ロボがヤルモをロックオンしている内に横に回り込み、剣を振りかぶる。


「Vスラッシュ!!」


 からのスキル発動。オスカリの会心の一撃は、殺人ロボをVの字状に傷付けて吹っ飛ばした。


「まだまだ~!!」


 距離が開いてしまうと遠距離攻撃が来るので、オスカリは直ぐさま地面を蹴って殺人ロボに斬り付け。横に移動し、回りながら剣を振り続ける。

 その攻撃は、殺人ロボの常に左側から加えられるので、左腕の機関銃を使えずに戦いにくそうにしている。しかしながら殺人ロボも馬鹿ではないので、フェイントを入れ始めた。


「おとなしく喰らってろ!」


 その場合は、オスカリは力業(ちからわざ)。会心の一撃でフェイントを捩じ伏せ、常に優位に戦い続けるのであった。



  *   *   *   *   *   *   *   *   *



「おお~。イロナほど華麗じゃないけど圧倒してるな」


 オスカリVS殺人ロボの戦闘を見ていたヤルモはイロナと喋っていた。


「うむ。これぐらいやってもらわねば我が困る」

「かわいそうに……」


 イロナが困る理由はまったくないのだが、ヤルモは察して哀れんだ目をする。オスカリとタイマンで殺し合いをしたがってると気付いて……


「おっ。発狂だ……。おお~。すんげぇ。殺人ロボの懐から離れないように戦ってる」


 殺人ロボはヤルモと戦っていたことでHPがかなり減っていたので、攻撃力の高いオスカリが攻撃したことで早くも【発狂】に突入。

 自分の持つ武器を乱発してはちゃめちゃな攻撃をしている殺人ロボだが、オスカリはその攻撃を当たらない場所に位置取りながら、ずっと剣を振り続けている。


「勘か……いや、経験か。それなりの死線は越えているのかもな」

「どうだろうな~……」


 イロナの発言に、ヤルモは考えてしまう。もしかしたらその死線は、イロナと戦った時に(つちか)った物ではないかと……


「終わりだ」

「さすがは勇者。俺ではこんなに早く倒せん」


 こうして殺人ロボは、勇者オスカリに斬り裂かれ、ダンジョンに吸い込まれて行くのであった。


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