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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
11 アルタニア帝国 帝都2
258/330

258 友情3


 地下140階のセーフティーエリアを立ったヤルモとイロナは『ガンガン行こう』。勇者パーティは『みんながんばれ』。交互にモンスターを倒して進む。


「おい、ヤルモ……肩からなんか出てたぞ?」


 さすがに下層となるとイロナブートキャンプの難易度が上がっているので、ヤルモもあまり見せたくない部分変型モードを使わなくてはならないから、オスカリたちは驚いている。


「気のせいだ」

「まだ頭に人形が乗ってるんだから、ごまかせるわけないだろ!」


 それに軍服少女人形を頭に乗せているところも見られてしまっては、オスカリの言う通りごまかせない。仕方がないので、ヤルモはお昼休憩の時に説明すると言って先送りにした。

 そうして地下151階に下りる階段でお昼休憩に入り、ムシャムシャ食べ終えるとヤルモは立ち上が……


「説明は!?」

「チッ……覚えてたのか……」

「ひでぇ!?」


 先送りにして忘れさせる作戦は失敗。オスカリがギャーギャー騒ぐから、ヤルモも諦めて情報を出す。


「俺の職業は【重戦車】って言うんだ。たぶんレア職業なんだと思う。なり方も事故でなったからわからん。魔王討伐の時に見た遠距離攻撃がスキルだ。さっきの人形もスキルだな。狙いを定めたり勝手に撃ってくれたりする」


 珍しく自分の情報をペラペラ語るヤルモ。何度聞いても喋らなかったヤルモを見て、オスカリたちも呆気に取られて口を挟めないでいる。


「あとは~……接近戦は戦士より強くなってるな。もしかしたら、パラディンより強いかもな」

「な、なるほどな~。レア職業な~」


 ヤルモが喋り終わって飲み物に手を伸ばしたところで、オスカリが復活した。


「てか、今まで喋らなかったのに、言ってもよかったのか?」

「ま、お前らならな。秘密にしてくれるんだろ?」

「お、おう! 誰にも言わないと誓う!!」


 オスカリ、嬉しそう。ようやくヤルモが信用してくれるようなことを言ってくれたので、オスカリだけでなく、勇者パーティ全員がニヤニヤしている。


「ちなみに嬢ちゃんは?」

「調子に乗るな」

「チェッ。いまならポロッと言うと思ったのにな~。がっはっはっ」

「フッ……」


 イロナの秘密は隠すヤルモ。オスカリは冗談で言っただけなので笑い、ヤルモもそれに気付いて顔を崩すのであった。



 昼食を終えたら、オスカリパーティも『ガンガン行こう』。ヤルモが心を開いてくれたのが嬉しいのか、テンションが上がっている。


「しかし、珍しいこともあるのだな」


 大型モンスターの群れと戦っているオスカリパーティを見ていたイロナの声に、隣に立つヤルモが首を傾げる。


「なんのことだ?」

「職業のことだ。我以外に喋ったのは初めてじゃないか」

「そうだったかな? ……ま、あいつらなら大丈夫だろ」

「ちょっと妬けるぞ」

「いや、痛いんだけど……」


 男の友情に嫉妬するイロナ。かわいくツンツンしているように見えるが、その指は凶器。それも鎧の隙間を狙うので、ヤルモのHPはジリジリ減って行くのであったとさ。



 そうこうダンジョン攻略を進めていたら、大詰め。ダンジョンボスの部屋に辿り着いた一行。


「んじゃ、俺たちからだな」


 ボス部屋の前で冒険者が同時に鉢合わせた場合のルールに(のっと)り、クジ引きでヤルモパーティからとなったので、二人はボス部屋に入った。


「殺人ロボか……そういえば、ヤルモってあいつに似てるよな?」


 すると、ゾロゾロと続いた勇者パーティがちゃちゃを入れる。


「お前な~。ボス部屋は、ひとパーティで入るのがマナーだろうが」


 ボス部屋は基本、扉に鍵は掛からないので誰でも簡単に入れる。しかし揉め事が起こりやすいので、もしも先に人がいたら扉を閉めて待つのが冒険者のマナーなのだ。

 ちなみに撤退も自由にできるのだが、扉を開ける時に焦って手間取ると、ボスに追いつかれて痛手を負うので気を付けないといけない。


「合同パーティみたいなもんだからいいだろ。それに俺たちしか入ってないんだから、バレねぇって」

「勇者がそれでいいのかよ」


 マナー違犯もルール違犯も気にしないオスカリを説教したい気持ちになるヤルモ。


「最後に、嬢ちゃんの華麗な戦闘を見せてくれ」


 オスカリとしては、イロナVSダンジョンボスの戦闘が楽しみで入って来たようだが……


「主殿。気になることがあるから、ヤツと戦え」

「う~い」

「「「「「ええぇぇ~……」」」」」


 イロナは拒否。ヤルモはいつものことなので二つ返事。オスカリパーティはガッカリするのであった。



 ヤルモは呪いの大盾を前に構えて、剣を握っている右手を後ろに引き気味の体勢で前進。

 右腕は剣、左腕には機関銃が一体となり、両肩にはバズーカ砲が乗った巨大な鉄の塊、殺人ロボに近付く。


 先手は、殺人ロボ。左腕の機関銃から無数の弾丸を発射する。だが、ヤルモの大盾には効くわけがない。

 なので、次の攻撃。肩に乗っているロケット砲からロケット弾の発射。「ドッカーン!」とヤルモに着弾するが、これもダメージ無し。一ミリも下がっていない。


「ナビ。10発撃て」

『ラジャー』


 ここで、後手、ヤルモの攻撃だ。ヤルモもロケット弾を放ち、殺人ロボにダメージを与える。

 そこからはロケット弾合戦。お互い撃ち合いながら距離を詰めるのだが、その間を素早く何かが横切るのであった。



「こっちが主殿で、こっちが殺人ロボのだ。どう思う??」

「なに持って来てんだ!? すぐ捨てろ! 逃げろ~~~!!」


 ヤルモたちの戦闘を横切ったのは、イロナ。両手に持ったふたつのロケット弾を見せて来るので、オスカリたちは逃げ惑うのであったとさ。


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