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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
11 アルタニア帝国 帝都2
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256 友情1


「ほんじゃ、行きますか」

「おう!」


 勇者就任の儀式の終わった数日後、ヤルモとイロナは特級ダンジョンに潜るべく、宿泊場所を立った。


「つけるぞ!」

「「「「おう!」」」」

「「「「「はい!」」」」」


 それを見送ったオスカリパーティ+ニコパーティ&クラーラもつけて行った。


 そうしてヤルモたちが特級ダンジョンの地下1階に辿り着くと……


「ヤベッ! もう走り出した。お前たちはゆっくり追いかけて来い! 20階で合流な!!」


 ヤルモを先頭に走り出し、オスカリパーティはニコパーティを置いて走り出した。


「おいおいおい。モンスターを撥ねても全然スピードが落ちねえぞ」

「どうりで早いわけだ」


 どうやらオスカリたちは、ヤルモたちのダンジョン攻略方法を見ようとつけていたらしい。そこで見た物は、ヤルモが大盾でモンスターを撥ね飛ばす姿。その後ろで、イロナがたまにモンスターを斬り捨てている姿。

 その二人を追うオスカリパーティは、ヘンリクの隠蔽魔法によって姿を消しているので、楽してドンドン地下へ進んで行く。


「はぁはぁ……大丈夫か?」

「な、なんとか……はぁはぁ……」


 しかし、地下15階にもなると、前衛のオスカリたちは大丈夫だけど、後衛のヘンリクとリストの疲れが見える。


「くそっ! 全然スピードが落ちねぇじゃねぇか!!」


 鈍足のヤルモのペースで走っているからそこまで速度は出ていないが、長距離ではオスカリパーティのスタミナが持たない。


「もいいい! ここまでだ!!」


 なので、地下20階のセーフティーエリアで追跡の終了。全員、座り込んで息を整える。


「チッ。昼か……マジで40階まで一日で走破しているみたいだな」


 攻略速度を逆算したら、ヤルモの言葉は正しいと察したらオスカリ。ここで昼食を取って体を休め、ニコパーティと合流すると夜営に突入する。


「えっ……オスカリさんたちを置いて、今頃40階のセーフティーエリアにいるなんて……」

「マジだ。あの二人、どうかしてるぜ。だからお前たちはマネするなよ? どっちも前衛職だからできるだけだ」


 勇者パーティでも追いつけないのは、人数と職業のおかげだとオスカリは説明。というか、そうでも言っておかないと自分たちの立つ瀬がない。

 もしかしたら、パラディンのトゥオマスとオスカリだけでなら一日で地下40階まで辿り着けるかもしれないが、そこから最下層まで辿り着くのはしんどすぎるのでやる気もないみたいだ。



 それから数日、ヤルモたちは特級ダンジョンを制して宿泊場所で休んでいたら、オスカリパーティとニコパーティが帰って来た。


「ふ~ん。今回は一緒に進んでたんだ」


 ヤルモが質問すると、オスカリは今回の成果を語る。地下20階まではごまかしていたけど……


 地下20階まではそこまでモンスターが強くないから、ニコパーティにクラーラがいるから楽勝。クラーラの出番も数えるほどだったらしい。

 合流してからは、オスカリパーティとニコパーティで交互に戦闘をこなしていたから、ニコパーティのスタミナを温存できたとのこと。


 ちなみに勇者と聖女の転職は、元の職業レベルが引き継がれて補整もあるからパーティレベルが底上げされているので、前回よりは楽に進めたらしい。

 しかし後半になると前衛陣に限界が来たので、クラーラが盾役とアタッカーを兼ねて、ニコパーティをサポートしたみたいだ。


「まぁラスボスは、次回試してみる予定だ」

「へ~。カーボエルテの勇者パーティより、頼りになりそうなパーティだな」

「そいつらは気になるけど、おばちゃんがいるからだ。あのおばちゃん、ホントつえぇぞ」

「クラねえか……」

「お前らと同類じゃね?」

「俺たちは普通だ」

「どこをどう見たら普通って言えるんだよ!」


 クラーラの活躍はヤルモも信じられないようだが、オスカリのツッコミには上手く対応できない。見てもいないんじゃ仕方がないのだろう。


「ところで、今回の成果はどうだった?」

「レジェンドのマントが出たぞ。俺も欲しかったんだよな~」

「はあ!? 俺たちなんてレアボスも出たのに、宝箱も出なかったんだぞ!」


 またしても、オスカリパーティに美味しいアイテムが出ているのが納得できないヤルモ。勇者パーティが二組もいるせいで出ないのではないかと、めちゃくちゃ睨んでいたのであった。



 しばし宿泊場所で休息を取ったら、ヤルモとイロナはオスカリたちより先に出発。その数日後にはオスカリたちも特級ダンジョンに潜ってクリア。

 ニコパーティにクラーラを加えるとダンジョンボスでも余裕で倒していたので、次回からはさっそく別行動となっていた。



 月日が流れ、相も変わらず特級ダンジョン攻略を続けていたある日、地下40階のセーフティーエリアでオスカリパーティが夜営の準備をしているところに、ヤルモパーティが追いついてしまった。


「おお! こんなところで一緒になるなんて珍しいな」


 すると、オスカリは嬉しそうにヤルモたちに近付いた。


「いや、わざとここで合流するように宿を出ただろ?」

「なんのかとかな~??」


 オスカリパーティのこれまでの攻略ペースを考えると、今回はヤルモたちより一日遅れで出発しているのが通常。それなのに無理して早く出発していたのだから、そりゃバレる。なのに、オスカリはとぼけ続けてやがる。


「ま、まさか……俺たちのテントを覗こうとしてやがんのか!?」

「どうしてそうなんだよ!!」


 どうしてもこうしても、オスカリたちには前科があるからヤルモに疑われても仕方がない。

 本当はヤルモたちと一緒にダンジョン攻略をしたかっただけなのに、「オスカリパーティはエロ親父の集団」と、不名誉なレッテルをヤルモに貼られてしまうのであったとさ。


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