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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
11 アルタニア帝国 帝都2
248/330

248 第三回特級ダンジョン攻略3


「まぁいいや。そろそろ俺たちは行くな」

「おう。いらぬ心配かもしれんが、気を付けろよ」


 勇者パーティですら勝てない魔王を倒したイロナには必要ない言葉であったが、オスカリが声を掛けるとヤルモは手を振って応え、地下へと潜って行くのであった。


 地下141階からも『ガンガン行こう』。ヤルモとイロナは危なげ無く、ダンジョンボスも倒したのであった。


「おい~。宝箱じゃないのかよ~」


 ダンジョンボスはそこそこ強かったのに、ドロップアイテムはたいした物じゃ無かったので、ヤルモはボヤキながら地上に戻るのであったとさ。



 それからヤルモたちから遅れること一日半、勇者パーティが宿舎に戻って来たので、ヤルモはオスカリたちの成果を聞いていた。


「モンスターが強いだけあって、うちのダンジョンと全然違うな。レジェンド装備がふたつも出たぞ」

「はあ!? 俺たちゼロだぞ!!」

「うっせぇな。俺に言うな」


 ドロップアイテム運が悪いヤルモはオスカリに噛み付くが、これはオスカリの与り知らないところ。

 そもそもユジュール王国では冒険者の数もダンジョン探索頻度も多いので、ドロップアイテムのランクも低い。レジェンド装備も滅多に出ないお宝なので、年に数度当たればいいところ。

 今回はレアボスも落としたので、こんなことがあるのかと逆に質問されたヤルモ。


「魔法陣から出て来るボスの話をしただろ。そいつもたまに落とすらしいぞ」

「ふ~ん……そんなこと、攻略本に載ってなかったのに詳しいんだな」

「俺の時には落とさなかったのに……なんでお前たちばっか……」

「知るか! その目をやめろ!!」


 ヤルモの目は、恨みのこもった感じ。いつも勇者にいいアイテムを持って行かれるからブツブツ言っている。そのおかげで、オスカリからの詮索は無くなっていた。



 それから宿泊場所でわいわいと休息を取った数日後のお昼。大寝坊したわりにはすっきりした顔の勇者パーティが食堂に入って来た。


「なんだその顔……つるんつるんだぞ??」


 ヤルモの表現ではよくわからないが、勇者パーティは血色がよくなっていると言いたいのかも?


「まぁな~。溜まっていたからな~。おっと。嬢ちゃんの前でする話じゃなかった」


 上機嫌でオスカリがこんなことを言うので、ヤルモは察して目を逸らしたが、ガツガツ昼食を食べていたイロナが目を光らせた。


「娼館に行って来たのだな!? どんなプレイを受けて来たのだ??」

「あ……え??」

「だから何をされて来たのかを聞いているのだ!」

「いや、若い子の前でする話じゃないし……」

「問題ないから言え!!」

「ええぇぇ~……」


 どうやら性奴隷であるイロナの前では気遣いはいらなかった模様。ただし、そんなに興味津々で聞いて来られた勇者パーティは、恥ずかしさのあまり詳しく説明できないのであった。


「それでお前はどう感じたのだ?」

「もう勘弁してくれ~~~!!」


 それでも詳しく聞いて来るイロナに負けて、オスカリたちの泣きが入るのであったとさ。



「フゥ~。男側の意見なんて聞いたことがないから、いい勉強になった」


 娼館利用者から生々しい話を聞いたイロナは大満足。逆に勇者パーティは、仲間にも隠していた性癖を暴露させられて放心状態。

 イロナから肉体的に暴力を受けるわ精神的にも壊されたのでは、もう逆らえないのであろう。


「主殿。今日は勇者がやっていた赤ちゃんプレイってのをやってみるか?」

「ぐはっ!?」

「かわいそうだから口に出してやるな」


 さらに追い討ちするものだからオスカリは血を吐いて倒れ、ヤルモはやっていると思われたくないのでオスカリを哀れみた感じで止める。ちょっと楽しそうだとは思っているみたいだが……



 それからまた夜に食堂に集まったのだが、勇者パーティはダンジョン帰りより明らかに疲れているように見える。イロナの精神攻撃がまだ尾を引いているようだ。


「今日はどんな店に行くのだ?」

「いや、今日は……飲みに行くだけかな??」

「なんだつまらん。見学させてもらおうと思ったのに……」

「ついて来んなよ!!」


 さすがにここまでされると、イロナに(おび)えているオスカリでもツッコンじゃった。ついでにヤルモまでツッコム。


「ほら? こんなオッサンがバブバブ言ってるとこ見たいか??」

「う~む……想像したらキモイな」

「がはっ!?」


 ヤルモとしては、いい止め方だったと思ったらしいが、その発言はオスカリの息の根を止めるには十分だった……


 この日のオスカリはしこたま飲んで、勇者パーティに慰められるのであったとさ。



 翌昼、ヤルモとイロナが食堂でイチャイチャ食べていたら、二日酔いで頭を押さえた勇者パーティが入って来て、チビチビと食べていた。

 そうして食事の終わったヤルモ達が席を立とうとしたら、オスカリに予定を聞かれたのでその場で話す。


「明後日に潜る予定だ」

「明後日か~……ちょっとズラせないか?」

「どうしてだ??」

「ここって勇者がいないだろ? ちょうどいいヤツらがいたから、一緒に潜ろうと思ってな」


 オスカリ(いわ)く、上級ダンジョン攻略の際に才能のあるパーティがいたから、勇者にする最終試験をするために特級ダンジョンに連れて行きたいらしいが……


「なんで俺たちが……そっちで勝手にやれよ」


 ヤルモは冷たい。しかし……


「ほう……それは面白そうだな。明日、連れて来い! 我が相手してやろう!!」


 イロナのテンションが高い。


「いやいやいやいや……嬢ちゃんに見せたら死ぬかもしれないし……」

「いいから連れて来い!!」


 オスカリが止めても、イロナは言い出したら聞きゃしない。これでは誰も止められないので、勇者候補生は死んだと思うヤルモたちであったとさ。


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