243 第二回特級ダンジョン攻略1
地図の作成をイロナの女王様プレイで邪魔された翌日、朝食の席だというのにヤルモは股間を擦っている。
「すまなかった……今日は違うプレイで楽しませてやるからな」
いちおうイロナもヤルモの股間を踏み潰して気絶まで持ち込んだことを反省しているようだけど、ヤルモとしては違うプレイが気になる。というか、やってほしくない。
「どんなことを教わったか、先に教えてくれないか?」
「ん? これを読んだらわかる」
イロナはプレイ内容を書き記したノートを渡して来たので、ヤルモは「秘密にしてないんだ……」と思いながら受け取った。
そのノートはイロナが書いた物だと思っていたけど、筆跡が違う。どうやら娼館のオーナーが書いた物らしい。
「えっと……この店って、特殊すぎない??」
ムチの打ち方、縄の結び方、人の吊るし方、ロウソクの使い方、罵り方が綴られているのでは、ヤルモの思っていた娼館と掛け離れている。
「そうなのか? オーナーは、帝都を滅ぼされる前は一番売り上げがあり、貴族が足繁く通っていたと言っていたぞ」
「それって……ここの貴族が変な趣味を持ってただけで、売り上げが凄かっただけなのでは?」
「ということは……我は騙されたのか……」
「わっ! 何ひとつ嘘は言ってないから殺したらダメだ!!」
イロナ、オコ。たまたま入った店が悪かっただけなので、ヤルモは必死に止めるのであったとさ。
朝食が終わると自室に戻って、ヤルモは途中だった地図の作成。イロナはベッドに寝転んでSMノートを読んで、何か使えるモノはないかと探しているよ。
時々ヤルモに「これなんかどうだ?」とか尋ねていたが、ヤルモは拒否。放置プレイなんて高度すぎるらしい。
特級ダンジョンから帰って来てからチマチマと書き足していたので、お昼には地図の作成は終了。この日は半日ベッドの上で過ごし、体を休めるヤルモであった。
「これなんてどうだ?」
「いや、ぜったい痛いから。普通でよくない?」
SMプレイが気になるイロナに性的暴力を振るわれながら……
その翌日は、整備に出していた装備品の受け取り。イロナが刀を抜いて笑っていたので、ヤルモは恐怖していた。
帰りには娼館に寄って、皆を困らせていた。そりゃ、女同伴で来る男なんて「どんな変態だよ」と思われる。だが、積極的に質問するのはイロナだったので、娼婦も何がなんだかわからなくなって、きちんと受け答えしていた。
何もしていないのに正規料金を取られたヤルモは涙目。また、「女は信用ならん病」が再発していたけど、そのおかげてイロナがノーマルなプレイになったので、複雑な顔をしていた。
もちろんどんなプレイでもヤルモは痛いので、この日もそんなに休めないのであったとさ。
次の日は、宿泊場所でのんびり。料理人に料理を教えてもらい、ヤルモとイロナは夜の勉強をし、その次の日は特級ダンジョンに潜る。
「40階まで一気に行くか?」
「うむ! 走るぞ!!」
一度制覇したダンジョンなので、道もモンスターの強さを把握した二人は、いきなりショートカット。ヤルモの大盾でモンスターを撥ね飛ばしながら、ダッシュで地下40階のセーフティーエリアへ。
予定通り一日で着いたので、ここで夜営。ヤルモが料理を作り、二人で批評。痛いことをしてほしくないヤルモは、積極的にイロナを攻めてから就寝となった。
清々しい朝を迎えた二人は、ここからは『ガンガン行こう』。モンスターを蹴散らし、宝箱を漁り、罠を乗り越えて進んで行く。
セーフティーエリアに着いたら、休息とあんなことやそんなこと。たまにヤルモから悲鳴があがるが、どんどん地下へ地下へと下りて行く二人。
地下140階のセーフティーエリアでは、温泉を堪能してから、誰もいないことをいいことにやりたい放題。
そしてガンガン行っていたら、早くも地下159階へと辿り着くのであった。
「おお~。ドラゴンニュートだらけだぞ」
「四天王がいなくなったら、必ず何かの巣窟になるのかな?」
そこは、立ち上がったトカゲのような姿をしたドラゴンニュートの巣窟。カーボエルテ王国で見た魔王ぐらい大きな個体から子供ぐらいの身長の個体もいて、様々な武器や防具を装備しているので、どう見ても危険地帯。
それなのにイロナは喜び、ヤルモは他のダンジョンと比べてのん気なモノ。
「では、行って来る!」
「あ、一人で行くんだ……」
ドラゴンニュートはわりとイロナの好みらしいので、一人で突っ込んで無双状態。次々と首を斬り落とされたオブジェが作られている。
ヤルモもサボっているわけにはいかず、ドロップアイテム拾い。ダンジョンに吸い込まれる前に拾わないといけないから大事な仕事だ。
もちろんドラゴンニュートはヤルモにも襲い掛かるので、呪いの大盾や剣で弾き返し、ロケット弾も飛び交う。余裕ができたら宝箱も探して、ヤルモはニンマリ。けっこうな額になりそうだと喜んでいた。
そうこうしていたらドラゴンニュートはほとんどイロナが狩り尽くし、二人は腕を組んで長い階段を下りて行くのであった。