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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
10 アルタニア帝国 帝都1
239/330

239-1 帝都のその後3


「うっせぇな~。これぐらいお前たちでもできるだろ」


 勇者パーティがヤルモの地図を見てギャギャー騒ぐので、ヤルモは言い訳してみたが、賢者ヘンリクでもできないとのこと。そのせいでヤルモも異常だと決め付けられていた。


「てか、宝箱も無視か??」

「上層はな。イロナがモンスターが弱いとか言うから……」

「嬢ちゃんにそう言われたら、無視するしかないか……」

「中層辺りから漁って来たから、それを待て。でも、宝箱の中身は覚えてないからな」

「まぁ、それはいい。ただな~……ヤルモって、どんだけダンジョンに潜ってんだ? 俺たちより多くないか??」

「覚えてるわけないだろ」


 オスカリも覚えてないからこの言い訳は通用したが、ヘンリクは覚えていたから数を聞くと、ヤルモが思っていたよりは少なかった。


「ま、俺の場合、無駄な仕事が無かったからな。マッピングなんてご苦労だね~」

「そうそう。アレが一番面倒くさい。そういえば昔は、上層は真っ直ぐ抜けようとしていたことがあったか」


 ヤルモの嫌みから、勇者パーティは若かりし日を思い出して話が弾む。料理が並べば食べながら昔話を続け、酒の(さかな)にする。

 ヤルモはその話を食べながら聞いていたが、ボッチ生活が長かったので、仲間がいることを少し羨ましくなっていた。


 勇者パーティのネタが尽きると、ヤルモの魔王談。サキュバスだったと聞いた勇者パーティの圧は凄かったが、第二形態を聞いてガッカリしていた。

 やはり、ゴリラでは()えるようだ。なので、自分たちの倒したサキュバス談で場を盛り上げていたら、ヤルモは席を立った。


「なんだよ。盛り上がってきたとこだろ」

「もう寝る。勝手にやってろ」


 オスカリが引き留めるが、ヤルモは素っ気ない返事。本当はめっちゃ聞きたいのだが、イロナが睨んでいたから怖かったみたいだ。



 イロナと自室に戻ったヤルモは、部屋のお風呂が使えると聞いていたのでさっそく湯を溜めて入ろうとしたのだが、イロナが続かない。


「なあ? 昨日からどうしたんだ??」


 いつもなら頼みもしないのにお風呂までついて来て、サービスと言いながら性的暴力を振るうイロナが昨日から何もして来ないのでは、さすがにヤルモも気になり出した。


「別に……」

「別にってことはないだろ? ひょっとして、何か俺が怒らすことをしたのか?」

「いや……」

「じゃあ……やっぱ、こんなオッサンに奉仕するのは嫌になったのか??」

「そういうわけでは……」


 ヤルモは思い付く限りの質問をするが、イロナの歯切れが悪い。


「何かあるなら言ってくれ。そうじゃないと、俺にはわからないんだ。頼む!」


 ヤルモが頭を下げると、イロナはようやく重たい口を開く。


「主殿は……」

「うん。俺がなんだ?」

「我のことを愛しているのか??」

「あ、い??」


 イロナが顔を赤くしてそんなことを言っても、ヤルモにはなんのことだかわからない。


「サキュバスと喋っていた時に言っていただろ」

「そんなこと言ったか??」

「なんだと……忘れているだと……」

「わっ! 待った! いま思い出すから、暴力はやめような? な??」


 完全に忘れていたヤルモは、とんでもない殺気を放ったイロナに恐怖して必死に思い出す。この行為もイロナの怒りに火をつけたのか、ヤルモを待つことなくゆっくりと近付いた。


「あっ! 思い出した! 言ったぞ!!」


 イロナが拳を振り上げた時点でヤルモは思い出せたので、いまのところ振り下ろされていない。


「アレは、咄嗟(とっさ)に出た嘘だ。変なこと言ってすまない!」

「うぅぅ~そぉぉ~だぁぁ~とおおぉぉ……」

「あ……逆だったの!? いだ~~~い!!」


 残念なヤルモ。「愛している」という言葉は、性奴隷には禁句だと思ってのミス。イロナはさすがにヤルモを殴り殺す気はなかったので、人差し指でツンツンして怒りを収めるのであった。

 ヤルモは体中に穴が開いたようなダメージを受けていたけど……



「えっと……つまり……どういうことでしょうか?」


 結局イロナの怒りの理由は、女性経験が少ないヤルモにはわからないので聞くしかない。


「主殿からそんなことを言われたことがないから驚いたのだ!」

「いてっ!」


 するとイロナは正しくツンデレ。鉄板でも簡単に貫く指でツンとしてデレているから、ヤルモとしてはたまったものじゃない。


「いや、その……正直、愛とかそういうのはよくわからないんだが……」


 悲しきヤルモ。女性から騙され続けたせいで、愛するという感情をどこかに捨ててしまったのでは、女性を愛することができない。

 だが、目の前にヤルモを殺そうとしているイロナがいるのでは、(つたな)い言葉でも何か伝えなくてはならない。


「ただ、ひとつだけ言えるのは、イロナを手放したくない。誰かに抱かれている姿を想像しただけで嫌になる。俺だけの性奴隷でいてほしい」


 やはり残念なヤルモ。最後の一文は「俺の女でいてほしい」が妥当だろう。そんなことを言ったら、さらにイロナの怒りが……


「フッ……フンッ。そこまで言われては仕方がないな。主殿だけの性奴隷でいてやろうではないか」


 いや、なんか上手く落ち着いた。そういえば、イロナも愛とかには無縁の人でした~。たんに初めて聞いたから、困惑してたっぽい。


「顔が赤いけど、大丈夫か?」

「か、風邪だ!」

「それ、大丈夫じゃないヤツだけど……いてっ! うわっ!? 血が出てるって~!!」


 イロナ、ツンデレ復活。ヤルモの肌を指だけで貫いたらしい……


「今日はヤリまくるぞ!!」


 そして、性奴隷の仕事も復活。昨日休んだこともあり、この日はすんごいことになるのであったとさ。


次話『 239-2 』は性的な描写が含まれていますのでアルファポリスにて『 R-22 』のサブタイトルで、明日更新します。

18歳以上でもしも読まれたい方は、アルファポリスにてしばしお待ちください。

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