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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
10 アルタニア帝国 帝都1
225/330

225 特級ダンジョン3(アルタニア帝国)


 中ボスを倒し、地下80階のセーフティーエリアにて夜営の準備を済ませたら、料理の開始。ヤルモはイロナに作らせようとしていたが、蹴られて自分で作ることとなった。


「ちょっと味が薄かったか?」

「だな」

「こないだは上手くいったのにな~……適当に塩を足して食ってくれ」


 見た目は少しよくなっていたヤルモ料理だが、その分、味が悪くなっていたので調味料の追い足し。ある程度、料理の批評が終わったら、ヤルモはダンジョンの話をする。


「やっぱり、このダンジョンおかしいと思うんだよな~。モンスターは強いし宝のランクも高い。それに前回潜った時は、中ボスは69階にいたんだよな~」


 ヤルモは気になることを羅列してイロナに助言をしてもらいたいのだが、料理をムシャムシャしていて聞いているかわからない。


「イロナは何か気付いたことはないか?」

「いま聞くのか?」

「あ、なんか知ってるのか?」

「だから、聞いてしまうのか??」


 質問に質問を返すイロナを見て、ヤルモは嫌な予感が働く。


「え……マジで!?」


 そして、あからさまに驚いた。


「チッ……気付いてしまったか。もっと下で驚かせようと思っていたのに」

「ち、ちなみに、イロナはいつから知ってたんだ??」

「ダンジョンに足を踏み入れたときだ」

「なんでそのとき教えてくれないんだよ~~~!!」


 ヤルモ、ガックシ。


「嘘だろ~。また魔王かよ~~~」


 そう。連荘(れんちゃん)で魔王が発生していたからだ。


 イロナは何度も魔王の発生したダンジョンに潜っているので、独特の雰囲気を肌で感じ取れるから、地下1階で嫌な笑い方をしていたのだ。

 しかし、そこで教えてしまうと面白くないのでヤルモに伝えなかった。せめて四天王と当たるまでは秘密にして、ヤルモを驚かせようとしていたのだ。


 それをヤルモは、自分の経験から違和感に気付いた。


 イロナの笑い方はいつものことだったので気付けなかったが、ダンジョンチェンジがあったことに不思議に思い、モンスターの強さ、アイテムのランク、極め付けは中ボスの移動で確信に近付いていた。

 そこでイロナに尋ねたところ、逆に質問で返されたので、完全に魔王が発生したと気付いてしまった。


 ちなみに魔王二連荘目は、帝都がヴァンパイア魔王に乗っ取られている時に起こったので、人間は誰ひとり気付けなかった。スタンピードが起こってもすでに地上に魔王が出ていたので、モンスターは魔王軍に加わるだけであったのだ。

 二代目魔王が地上に出たとしても、ヴァンパイア魔王が力を見せ付けて傘下に加えていたはずなので、その前にヴァンパイア魔王を倒せたのは、人間からしたら奇跡に近い幸運だったのだろう。



 そんな考えに行き着かないヤルモは、文句タラタラ。


「1階で言ってくれたら勇者(アイツ)も連れて来たのに……」


 勇者クリスタならばあまり戦力にならないからノーサンキューだが、勇者オスカリならば楽ができるから、ヤルモは連れて来たかった模様。冒険者ならば「楽して稼ぐ」が基本なので、口から出てしまった。


「ふむ……奴らに戦わせて、それを見るのも面白かったかもしれんな」


 ヤルモは失言したかと思って構えていたが、イロナは意外と乗り気。


「魔王をダンジョンから引きずり出すか??」


 それよりめっちゃ怖いアイデアでヤルモを引かす。外に出た魔王が強かったから、イロナはまた戦いたいのだろう。


「いや、そんなことしたらスタンピードが起こるかもしれないし……ほら? 上にいっぱい人がいるから、危ないことはしてほしくないな~?」


 魔王外出が人の手によるものでは洒落にならない。それも魔王より強いイロナがやってしまっては、「どっちが魔王?」ってなるのは確実。

 最悪、「アレって真なる魔王じゃね?」ってなる可能性が大きいので、イロナが世界を滅ぼす姿が見えてしまったヤルモであった。


「冗談だ。我が魔王を誰にも譲るわけがあるまい」


 ヤルモが必死に説得していたら、イロナは折れてくれる。ただ、その言葉は「自分は魔王って言っているのか?」と思うヤルモであったとさ。



「さてと、腹もいっぱいになったし、今日はいっぱいしてもらいたいな~」

「任せておけ!!」


 イロナの興味をできるだけ魔王から逸らしたいヤルモの一言。こうしてヤルモが体を売ることで、未曾有(みぞうう)の危機第二弾は防がれたのであった。


「も、もう限界……パタッ」


 イロナサービスに耐え切れずに気絶したヤルモのおかげで……



 翌日は、ヤルモはお寝坊。二日続けて気絶したからには、疲れが抜けていないようだ。なので栄養ドリンクを一気に飲み干してから気合いを入れた。


「なんだそれは? おっきくなってるぞ??」


 夜の為に買っていた栄養ドリンクは、ヤルモの下腹部にも作用。ズボンの一部にテントを作り出したのでイロナが興味津々。


「いや、これはその……体を元気にする飲み物だから……」

「ふむ。それがあれば、回数が増やせるわけか……」

「体って言ったよね? あくまでも、体が元気になるだけだよ~??」

「クックックックッ」


 昨日はアレだけヤッたのに、ヤルモのヤルモが起立していれば、今日も地獄がやって来る。薬を飲めばいくらでもヤルモが元気になると知って、今宵も性奴隷の仕事が完遂できると喜ぶイロナであった……


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