表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
10 アルタニア帝国 帝都1
223/330

223 特級ダンジョン1(アルタニア帝国)


「さてと……行こうか」

「おう!」


 お疲れ様会から二日、装備の整備は終わり、ヤルモとイロナは特級ダンジョン制覇に挑む。

 いまのところ冒険者ギルドは営業していないので、ポーション等の回復アイテムは補給できなかったが、ヤルモが持っている物で足りると判断し、どうせこれから増えるから関係ないと割り切っていた。

 携帯食だけがろくな物がないので、そこは食堂で貰ったレシピでヤルモが作るみたいだ。


 特級ダンジョンの入口は現在、四方を囲む壁が破壊されているので、アルタニア軍が急ピッチで建設作業をしている。

 それを横目に見ながらヤルモたちは、申し訳なさそうに置かれたテーブルの前に立つ兵士に入る旨を伝えて、サインしてから地下へと向かう階段を下りて行く。


「どうかしたか?」

「いや、なんでもない」


 階段を下りていたらイロナが笑っていたのでヤルモは質問していたが、はぐらかされたので聞くに聞けない。元々その笑い方が怖かったから……


「前に入った時とは壁の配置が変わってるな……ダンジョンチェンジがあったみたいだ」


 少し進んだところでヤルモの記憶と違っていたから、ストップして話し合う。


「モンスターも強いだろうから一気に下りるのは少し面倒だな。150階もあるし、今回はゆっくり行こうぜ」

「致し方ない。まぁ主殿なら、真っ直ぐ下りられるだろう」


 ヤルモは経験から、めったに道に迷うことなく次のフロアの階段に辿り着けるので、イロナからの信頼は厚い。特に不満を言われることもなく、ヤルモたちは歩き出したのであった。



 特級ダンジョン地下1階は、誰も入っていなかったこともあり、モンスターはそこそこ強い。

 しかしイロナからしたら、ザコ。ヤルモも前回潜ってから急激にレベルが上がっているので楽に倒している。


「「お~。もう1階が終わった」」


 地下へと向かう階段に着いたら、同時に同じことを口走る二人。ヤルモは前回、足手まといだらけだったので、イロナが頼りになるからの言葉。イロナは、ヤルモの道案内が素晴らしいからの言葉だ。


「ドンドン行こうぜ」

「うむ!」


 こうしてヤルモとイロナはモンスターを蹴散らして、次々とフロアを下って行くのであった。



「予定よりめちゃくちゃ早くに着いたな……」


 地下20階のセーフティーエリアで夜営をする予定だったが、現在は14時前なので、ヤルモはイロナに意見を聞く。


「どうする? 無理して先に進むか??」

「当然だ」

「だよな~」


 聞くだけ無駄。ヤルモもイロナの答えはわかっていたので、大盾を下ろすこともせずにそのまま歩き出した。


 またモンスターを蹴散らして進んでいたら、夕食時。昼食と同じく階段に座って、消費期限が近い携帯食を腹に入れる二人。

 軽い食事と30分の休憩で気分のリフレッシュをしたら、再び『ガンガン行こう』。


 20時過ぎには、地下40階のセーフティーエリアに辿り着いたのであった。



 ヤルモはせかせかとテントは張って、イロナはちょっとだけお手伝い。寝床の準備が整ったら、ヤルモクッキングの開始。

 レシピを見ながらフライパンを振るい、鍋に食材をぶち込む。イロナはそれを興味津々で見ていたが、獲物でも見るような目だったのでヤルモが怖がっていた。


「う~ん……レシピ通り作ったのに、なんか違うな」


 結局できあがった物は、ザッツ男飯。肉が焦げていたり、煮すぎて食材が崩れていたりしているので、見た目は悪い。


「まぁ冷めたらマズくなりそうだし、食ってしまおうぜ」

「うむ」


 ヤルモは味にも自信が無いので、早く食べるように促したら、イロナはシチューから口に入れた。


「おっ! なかなかいけるんじゃないか?」

「マジか?? あ……うん。見た目はアレだけど、作ってもらった味に似てる」


 見た目は確かに残念だけど、調味料の量は概ね合っていたので、そこそこ美味しいシチューとなっていた。

 なのでイロナはステーキにも手を伸ばし、批評。こちらは焼き過ぎで硬かったみたいだが、ソースは貰った物だから美味しかったので、まずまずのできのようだ。


「もうちょっと練習したら、もっと美味しくなるんだろうな~」


 ヤルモがパンをシチューに浸して口に入れると、イロナもマネをする。


「前に食べた主殿の料理と比べれば、天か地かってほどだ。そのメモを見ていただけなのに、こんなに腕が上がるのだな」

「まぁ一番簡単で手っ取り早い料理を教えてもらったからな」

「その通り作れば、我でも作れると思うか?」

「俺でもできたんだから、イロナでもできるだろう」

「そうか……ならば、明日は我が挑戦してやろう!!」

「楽しみだな~」


 もう忘れているヤルモ。イロナの料理でノックダウンしたことをヤルモは忘れ……いや、記憶から消していたので、イロナを止めずに楽しそうにするのであった。


「その前に、我の仕事だ!!」

「あ、はい。お手柔らかに……」


 そして今日もイロナサービスで、HPを減らしてから眠るヤルモであったとさ。



 8時間の睡眠を取り、昨日の料理の残りを平らげたヤルモとイロナは、今日も『ガンガン行こう』。

 しばらく放置された地下150階もあるダンジョンなので、ダンジョンレベルが上がっていることもあり、地下41階からすでにモンスターが強くなっている。

 だが、カーボエルテの特級ダンジョンの下層程度のモンスターなので、二人に取ってはたいして変わらない敵。しかし、質、量ともに倍増しているので、昨日よりダンジョン攻略が遅くなっている。


 といっても20階進むのに、一時間遅くなっただけ。15時過ぎには、地下60階のセーフティーエリアに辿り着くのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ