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191 ムオニノの町2


 町に突撃したヤルモとイロナは、多くのザコモンスターに囲まれている。弱すぎると二人がボヤいていても、ザコモンスターは待った無し。いきなり襲い掛かって来た。


 ゴブリン、オーク、ウルフ、オーガ等々……


 これらが二人に飛び掛かったが、一蹴。ヤルモは剣の腹や大盾、ケンカキックで吹き飛ばし、他のモンスターにぶつけて同時に命を奪う。

 イロナの動きはまったく見えない。それなのに目の前のモンスターが次々と小間切れになっている。


「もう始めてやがるのか!」


 そこに勇者パーティが合流。


「イロナの前に出るなよ!」

「わかってるわ!!」


 いちおうヤルモが注意事項を述べたが、この数日でイロナに恐怖を刷り込まれたオスカリたちが、そんな怖いことをするわけがない。

 オスカリはツッコミながら、戦闘に参戦する。


「ザコばっかだな」

「ああ。もう先に行っていいか?」

「好きにしろ……ていうか、お前の女、もう行ってるぞ?」

「マジで!? うおおぉぉ~!!」


 イロナが心配というわけではなく、ヤルモはイロナに怒られる心配をして、慌てて追いかける。

 それを見ていた勇者パーティは……


「嬢ちゃんも化け物だが、ヤルモも大概だよな?」

「うん……俺が一番の盾役だと思っていたのに……」


 勇者パーティで盾役をしているパラディンのトゥオマスがへこんでいた。だってヤルモは、群がるモンスターの攻撃を無視して、盾も武器も使わずに電車道を作ってるもん。


「まぁアレだ。俺たちは俺たちの仕事をしよう。リスト、合図だ」


 勇者パーティが大魔導士リストを囲んで守りながら戦っていると、リストは空に赤い炎を打ち上げる。

 これは、モンスターの強さを表す合図。赤い炎はザコしかいないから、アルタニア軍が突入して良しとなっている。


 モンスターは多いながらも、勇者パーティが倒しているとアルタニア軍が突入して来たので、オスカリは位の高い者を呼び寄せる。そうして「ここは任せる」と言って、町の中央に向けて勇者パーティは駆け出したのであった。



 その少し前、町の中央に向かっていたイロナにヤルモが追い付いた。


「ジェネラル級ってところか」

「弱すぎる……」


 中央に近付くにつれてモンスターは強くなっていたようだが、ゴール間近でもたいして強くないので、イロナが不機嫌になって来た。

 その怒りはモンスターにぶつけられ、飛び掛かって来たオークジェネラルがサイコロステーキのようになって地面に落ちる。


「これって消えないけど食えるのかな??」


 ダンジョンから出たモンスターは、死んでも粒子状になって消えずにその場に残る。

 ドロップアイテムが出ない代わりに食料となっているのではないかと偉い学者が言っていたのを思い出したヤルモは、オークジェネラルのサイコロステーキを見て食欲が湧いて来たらしい。こんな血塗れの戦場なのに……


「うちでは食ってたぞ」

「ジェネラル級をか……」


 外に出たモンスターは基本、交配して増えるのだが外は魔力が少ないせいか、代が替わる度に徐々に弱くなっていく。最低ランクまで弱くなると低下は止まるので、学者の間では繁殖力が強いところで止まると噂されている。

 ということは、トゥオネタル族はオークジェネラルをダンジョンから生きたまま連れ出して食料にしていると気付いたヤルモ。


「今日のメシは、うまい物にありつけそうだな」


 トゥオネタル族の文化が怖くなったヤルモは現実逃避。食事についての話に戻した。


「うむ。食後の運動もうまそうだ」

「運動には味がないと思うな~?」


 イロナはヤルモを舌舐めずりしながら見ているので、今日も勇者パーティと一緒に暴力を受けると受け取った。とっておきのデザートとして……

 当然、ヤルモの訴えはイロナの耳に入らないので、どうか強敵が出ますようにと神に祈りながら戦闘を続けるのであった。



「ここはランクが上がっているな」


 そうこうしていたら勇者パーティが追い付いて来たので、ヤルモはオスカリに視線を向ける。


「イロナがお怒りだ」

「おお……あの変な気配は、やっぱり嬢ちゃんか……」

「そろそろ賢者も訓練に参加できないのか? あいつが撒いた種だろ」

「確かに……てか、それでもヤルモは抜けられないと思うぞ」

「お前たちがもっと頑張ればいいだけだ!」

「それを言ったら、お前が止めろよ!」


 ヤルモとオスカリが責任の押し付け合いをしながら戦っていたら、イロナが走って行ったのでヤルモ続くしかない。

 そうして後方ではオレンジ色の炎が空に上がり、アルタニア兵がゆっくりと前進する。



 数の有利と勇者パーティの活躍で、町を占拠していたモンスターは着々と減るなか、イロナとヤルモは町の中央にある領主邸へと辿り着いた。


「もしかしてだけど……あれって四天王じゃね?」

「うむ……揃い踏みとは、なかなか……クックックックッ」

「助かったかも??」


 そこに待ち構えていたのは、モンスターの上位種、カイザーミノタウロス、カイザードラゴン、カイザーオーガ、カイザーウィザード。


 普段単体でしか出ない四天王の登場でイロナは不適に笑い、ヤルモは「今日のデザートにならないかも?」と、神に感謝するのであった。


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