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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
07 カーボエルテ王国 王都4
152/330

152 おさらい2


「アレって……普通の戦い方なのかな?」

「さあ? 人形を端から壊してるだけにも見えますね」


 ヤルモVSオリハルコンゴーレムの戦闘は、オリハルコンゴーレムの右足首がもげてからは雪崩の如く。ヤルモは各パーツの関節を無理矢理曲げてへし折っているので、クリスタとオルガはブツブツ言っている。

 ただ、この戦闘方法は自分たちのためになるかは見ていてもわからないらしく、イロナ先生にも恐る恐る尋ねていた。


「イロナさんは、あの戦闘方法は普通だと思う?」

「普通だな。トゥオネタル族では、普通のゴーレム対応だ」

「普通なんだ……」


 普通ではない種族のイロナに聞いた自分がバカだったと気付いたクリスタは、周りを見たら首を横にブンブン振っていたので、やはり自分は普通の人間だと自覚した。


「ちなみに、イロナさんならどうやって倒すの?」

「関節辺りを蹴る」

「へ~。蹴るんだ~」


 『斬る』でもなく『蹴る』ではまったく参考にならない。「誰もマネできないよ!」とツッコミたいが、グッと(こら)えたクリスタ。


「私たちでも倒せる方法はないかな~?」

「ふむ……あいつ相手だと、関節に集中攻撃するしかないだろうな。我は魔法が使えないからなんとも言えんが、魔法なら有用な攻撃方法があるかもしれん」

「へ??」

「魔法だ。あいつは鉄の塊のような物だから、そこに効く魔法があれば楽に倒せるのではないか?」

「あっ! うん! 考えておく!!」


 意外にもイロナがまともな教えをしてくれるので、クリスタは一瞬思考停止。リュリュたちを交えて攻撃方法を模作するのであっ……


「さっきの話……どう思った??」

「「「「「普通でした……」」」」」


 いや、イロナが初めて普通に見えたらしく、しばらくはコソコソやっていたのであった。



 そんなことをやっていると、ヤルモの戦闘は最終段階。オリハルコンゴーレムの【発狂】が始まった。


「う~~~ん……なんか目がチカチカしてるけど、なんだろ??」


 始まったのだが、オリハルコンゴーレムは四肢を根本からちぎられているので身動きが取れない。なのでヤルモは【発狂】が始まっても気付けないのだ。


「あとは頭をもげば死ぬかな?」


 最後の締めだというのに、ヤルモはぬるっとラストアタックを始め、オリハルコンゴーレムの頭をガシガシ右に左に動かしてちぎり取るのであったとさ。



「もっと苦労して倒すと思っていたのに残念だ」


 オリハルコンゴーレムがダンジョンに吸い込まれるなか、いつの間にかヤルモの隣に立っていたイロナはボヤいている。


「ああ。意外と弱くて助かったよ」

「チッ……このダンジョンは、もう我が楽しめないかもしれんな」

「そうか~? いい感じに稼げるダンジョンだと思うんだけどな~」


 強者を欲するイロナと、安全に利益を欲するヤルモの意見の相違。話が噛み合っていないが、そこに駆けて来たクリスタも話に加わる。


「ヤルモさんはさっきの戦い方以外に、オリハルコンゴーレムの倒し方ある!?」

「なんだ藪から棒に……」

「だってヤルモさんの倒し方、できそうにないんだも~ん」

「そういうことか……確かにあんな変な倒し方するヤツなんていないな」

「変って自覚あったんだ!?」


 クリスタ勘違い。桁違いの戦闘をこなすヤルモはイロナと同類だと思っていたようだ。トゥオネタル族のゴーレム対策を教えたらヤルモは呆れていたので、常識人だと再認識されていた。


「まぁ俺もイロナと同意見かな? 魔法使いの爆裂魔法なんて効くようなことを聞いたけど……専門じゃないからな~」

「「「「「普通だ……」」」」」

「お前らは、ダンジョンの普通のことも知らないってのを忘れるなよ??」

「「「「「あ……あはははは」」」」」


 クリスタたちが信じられないって表情をするので、ヤルモは反撃。なので笑って誤魔化すクリスタたちであったとさ。



 そんなことをしていたら、オリハルコンゴーレムはすでにダンジョンに吸い込まれていたので、ドロップアイテムの確認。


「くそっ! なんで俺が一人で戦ったら宝箱が出ないんだよ!!」


 ヤルモ大荒れ。今回のドロップアイテムは、大きな魔石とそれより大きな鉄の塊が落ちてあるのみでは仕方がないのであろう。


「そういえば、トゥオネタル族の里ではこんな言葉があるぞ」

「言葉??」

「物欲センサーと言ってな。欲が深いヤツは神とやらのセンサーに引っ掛かって、欲しい物が出ないんだとな」

「プッ……ヤルモさんにピッタリの言葉ね。あははは」


 クリスタが笑うと、また一同大笑い。ヤルモはそんなクリスタを恨めしそうに睨みながら鉄の塊を両手で持ち上げる。


「嘘だろ……これ、全部オリハルコンだ!? 神様、ありがと~~~う!!」


 神をも睨み殺しそうな目をしていたヤルモは手のひら返し。巨大なオリハルコンの塊を抱いて喜んでるよ。


「さっきまで不満そうな顔してたのに……ヤルモさんって金の亡者なのかな?」

「でしょうね。でも、本当に何に使っているのでしょう?」


 こうして第4回特級ダンジョン攻略は、少しだけ余裕の出て来たクリスタとオルガに、ヤルモが金の亡者と決め付けられて終わるのであった。


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