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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
06 カーボエルテ国 王都3
138/330

138 合同チーム1


 国王の謁見を終えた勇者一行は、数日後には特級ダンジョンに潜っていた。


「今回は勇者パーティと俺たちとの合同チームとして進むからな。勇者パーティが先行して進み、戦闘は交互に行う。質問があるなら聞け。俺からも気付いた点があれば知らせる。それじゃあ行こうか」

「「「「「はい!」」」」」


 勇者パーティは元気よく前進。ヒルッカとクリスタが先頭を歩き、モンスターや罠の警戒をする。

 中央にはオルガ。地図を見ながら指示を出し、たまに何かを書き込んでいる。

 最後尾にはパウリとリュリュを置き、モンスターからのバックアタックを警戒する。


 そのあとを追うのがヤルモとイロナ。パウリたちの警戒が無駄になっているが、二人は特に警戒して歩いてはいないので必要な仕事。

 ぶっちゃけ二人はいつものことなので、警戒していないように見えて警戒しているから、パウリたちのようにキョロキョロしていないだけだ。


「ようやくそれっぽく見えて来たな」

「ああ。ちょっと緊張しすぎているヤツはいるがな」


 イロナとヤルモが勇者パーティを評価しながらイチャイチャ歩いていると、ヒルッカがモンスターの報告を入れ、クリスタがパーティを集めて作戦を言い渡す。

 それからモンスターの群れに突撃した勇者パーティは、危なげなく勝利を収めたのであった。


「ヤルモさん。いまのどうだった?」


 ドロップアイテムを拾っているところをヤルモとイロナが見ていたら、クリスタが嬉しそうに近付いて来た。


「まぁ……普通かな?」

「うっ……完璧だと思ったのに~」

「ダメージがないから普通だと言ったんだ。怪我をしないでいかに早く進んで行くかが冒険者の普通だからな」

「てことは……褒めてるの?」


 ヤルモの言い回しでは褒めている感がなかったので、クリスタは口にしてほしいようだ。


「褒めてない。まだ上層なんだから、ちょっとぐらいのダメージは許してパウリとヒルッカに経験値が行くように戦えよ。なのに、なに勇者とリュリュで倒してるんだ」

「しゅん……わかったよ」


 褒めてほしそうなクリスタには細かい小言で突き放すヤルモ。それから前進していたら、イロナがヤルモに質問していた。


「主殿はさっきまで褒めていたのに、どうして意見を変えたのだ?」

「いや、別に……調子に乗りそうだったからかな?」

「まぁ確かに我の見立てでは、褒めるところはないな」


 ヤルモが褒めなかった理由のひとつに、戦闘を見ていたイロナが「まだまだまだまだ」と言っていた点が大きい。なので「よくやった」と言えないヤルモは、お茶を濁したのだ。

 それでもクリスタが褒めてほしそうにするから、イラッときてお小言を言ってしまったのだ。



 イロナとヤルモがイチャイチャしていたら次の戦闘。最強ペアであっという間にモンスターの群れを蹴散らした。


「すげぇ~……で、あります……」

「あ、パウリはヤルモさんたちの戦闘は初めてだったわね。あんなの序の口だから、いちいち驚いていたらキリがないよ」

「まだ本気を出していないんですね……」


 パウリがヤルモたちの戦闘に驚愕の表情を浮かべているので、クリスタは肩をポンッと叩いてから先へと進む。

 そうしてまた勇者パーティの出番となると、ヒルッカとパウリを主体にして経験値を稼ぐ。二人に多少ダメージが入るが、オルガの出番も増えるので、経験値は均等に入っているようだ。


 戦闘は危なげなくこなし、ヒルッカも罠を解除して進めば、地下10階の小ボスとの戦い。これも勇者パーティが危なげなく倒すと、ヤルモが声を掛けていた。


「聖女のMPの減りはどうだ?」

「あ、はい。いまは……半分より少し上ってところです」

「勇者。この場合どうする?」

「う~ん……ちょっと減りが早いかも? パウリの出番を少し減らすってのでどうかな??」

「正解だ」

「やった!」


 ヤルモが褒めるような言葉を掛けるとクリスタは喜ぶが、ヤルモは姑みたいな小言を続ける。


「俺が聞く前にMP管理しろよ。リーダーだろ」

「うっ……そうだった」


 クリスタはしゅんとしたが気を取り直して、リュリュからもMP残量を聞き、他のメンバーからも体調を聞いていた。ヤルモは、言われたこと以外のことに気付いたクリスタに感心していたが、声を掛けずに先へと進む。



 交互に戦闘を繰り返し進めば、今日の夜営地点、地下20階のセーフティエリアに到着。先に休んでいた冒険者からクリスタたちがチヤホヤされている内に、ヤルモとイロナは人がいない場所に陣取る。


「もう! 先に行かないでよ~」


 遅れてやって来たクリスタから苦情が来ると、ヤルモは面倒くさそうに返す。


「いや、俺たちには関係ないし……てか、もっと離れたところにテントを張れよ」

「仲間なんだからいいでしょ~。どうせ食事の時には集まるんだし」

「お、俺が困るんだよ……」


 ヤルモが顔を赤くすると、クリスタも顔を赤くしてモジモジ質問する。


「えっと……ヤルモさんの夜の過ごし方をどうこう言いたくないんだけど、ダンジョンの中でそういうことをするのは普通なの?」

「そういうことってなんのことだ!?」

「私に言わせないでよ~~~!!」


 もうバレバレなのにヤルモは焦って聞き返すので、クリスタは逃げて行くのであったとさ。


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