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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
06 カーボエルテ国 王都3
133/330

133 別行動5


「ドラゴンか~~~」

「いつもイロナさんに取られちゃいますもんね」


 中級ダンジョン地下40階に鎮座するダンジョンボスは、そこそこ大きなドラゴン。一度も戦ったことのないドラゴンの出現で、クリスタは嫌そうな顔をし、オルガはいつものことを思い出している。


「どうやって戦います?」

「う~ん……イロナさんはすぐに倒しちゃうからな~……ヤルモさんなら……」


 クリスタはヤルモならどう戦うかを考えて個別に指示を出す。


「私とパウリで耐えるから、まずは翼を狙おう。リュリュ君、お願いね」

「はい!」

「聖女様はパウリの回復に努めて。私は大丈夫だから」

「わかりました」

「ヒルッカちゃんは少し待機。飛べなくなったら参加してもらうからね」

「はい!」


 クリスタは最後にパウリの腰を叩く。


「たまに前に出るから、その時は頼んだよ」

「はっ! 任せてください!!」

「さあ、ドラゴン退治の始まりよ!」

「「「「「はい!」」」」」


 気合いを入れた勇者パーティは、ドラゴンとの戦闘を開始する。


 クリスタとパウリが真っ直ぐ前進すると、ドラゴンに気付かれた。ドラゴンは翼を羽ばたかせ、いまにも飛ぼうとするのでリュリュの【ウィンドランス】が多数放たれる。


「パウリ、ダッシュ! 【ホーリーランス】!!」


 ドラゴンが手間取っている内に、クリスタは走りながら攻撃魔法を放つ。リュリュとクリスタの攻撃魔法に(さら)されたドラゴンは飛ぶことは難しいからか、接近戦に切り替えた。

 クリスタたちが走ったことによって、早くもドラゴンの間合い。ドラゴンの爪が飛んで来ると、パウリが大盾を構え、歯を食い縛って耐えるが衝撃でHPが減る。

 そこに、クリスタが前に出ての斬り付け。その間もリュリュの攻撃魔法がドラゴンの翼を傷付け、オルガの回復魔法がパウリを癒す。


 ドラゴンは攻撃を受けて痛みで下がるので、クリスタはパウリと共に追い、盾で守りながら剣を振り続ける。


「グギャアア~~~!!」

「ブレス来るよ!!」

「「「はい!!」」」


 翼が使い物にならないぐらいのダメージが入ったら、ドラゴンはどっしり構えてからのゼロ距離ブレス。

 オルガとリュリュのシールド魔法に包まれたクリスタとパウリは盾を構えて力いっぱい耐える。


「ヒルッカちゃん、出番よ! 私に合わせて!!」

「はい!」


 ここからはタコ殴り。パウリに攻撃が集中したらクリスタが前に出て斬り付け。ドラゴンの意識がクリスタにいったところでヒルッカの一撃離脱。ナイフで斬り付けてすぐにパウリの後ろに隠れる。

 パウリもチャンスがあれば剣を振るってドラゴンを斬り付け、自分のHPが減ればすかさずオルガに治される。リュリュも負けじと攻撃魔法の発射。クリスタたちの攻撃の合間を埋める。


 皆の息の合った攻撃もそうだが、立役者はやはり勇者クリスタ。守りに接近戦、中距離攻撃とマルチに動き、ドラゴンへのラストアタックもきっちり決めるのであった。



「ふぅ~~~……勝った……勝ったよ~!」


 ドラゴンがダンジョンに吸い込まれるなか、クリスタは大きく息を吐いて勝利に喜ぶ。


「完勝でしたね……私たちだけでもできました……」


 クリスタに近付いたオルガも、うっすらと涙を浮かべて喜んでいる。今までヤルモにおんぶに抱っこだったので、自分たちでもできるのだと実感を持てたようだ。


「楽勝と言いたいけど、時間は掛かったね。イロナさんなら一発なのに」

「まぁ初めてのドラゴンでしたし、イロナさんは化け物なんですから比べちゃダメですよ」


 またパウリの知らない実力者が話題に出て来たので、リュリュとヒルッカに話を聞いてみたが、あんな細腕の女性がドラゴンの首を一太刀で()ねることは信じられないようだ。


「ま、ヤルモさんが言った通り、教えを守ったら余裕でクリアできた。ヒルッカちゃんとパウリのレベルもけっこう上げられた。最高の結果報告ができるわね!」

「はい! 地上に戻ってヤルモさんの帰りを待ちましょう!!」


 こうして勇者パーティの中級ダンジョン攻略は、二日と半日で終わり、ヤルモが帰って来るのを首を長くして待つのであった。



  *   *   *   *   *   *   *   *   *



 一方、特級ダンジョンに潜ったヤルモとイロナは……


「牛?」

「牛だな」


 地下100階でダンジョンボスと対峙していた。


「あれって暴れ牛の上位種だよな? 馬鹿デカイけど」

「うむ。馬鹿デカイけどハズレだ」

「そんなのあるの??」

(まれ)にあるのだ。場違いなヤツがボスになることが」

「あんなのがラスボスなら、冒険者としては楽ができるんだけどな~」


 たいした攻撃手段がないボスならば危険を減らせるので、ヤルモはいつもこいつが出てくれたらいいのにと思ってしまう。


「ならば、一人で相手してみるか?」

「いや、俺って、火力が低いから……」

「火力なら、我よりいいものを持ってるじゃないか。うりうり」

「ちょっ……痛いからぐりぐりしないで。変形するから~」


 イロナに人差し指でぐりぐりされたらヤルモの頬に穴が開きそうなので、期待に応えるしかない。


「戦車モードに移行」

『オッケーマスター。戦車モードニ移行シマス』

「おお~! それだそれだ!!」


 いつも通り機械音の復唱が聞こえ、ヤルモの体が変形するとイロナの目が輝く。

 そしてキャタピラを回転させて突っ込んで行ったヤルモから無数の弾丸やロケット弾、レーザービームが発射されると、ギガント暴れ牛は何もできずに倒れるのであった。


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