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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
06 カーボエルテ国 王都3
132/330

132 別行動4


 地下60階で夜営をしたヤルモとイロナは、ここからはゆっくり進み、モンスターを狩り尽くしてから地下80階のセーフティエリアに到着。

 ここはまだ冒険者への浸入が許されていないし、地下40階以降はモンスターが強いから無理に進む者もいないので、二人の貸し切り。

 なので、温泉の近くにテントを張って食事や温泉を楽しむ。さらには、あんなことやそんなことも……



 翌日は、あんなことやそんなことをやりすぎた二人は寝坊。昼頃まで寝てしまったが、ゆ~~~っくりと出掛ける準備。何やら二人で「ハァハァ」言っていたから、昼からお楽しみだったのだろう。

 このままもう一泊しようかとの話になったが、イロナがモンスターのことを思い出してしまったので、ヤルモ案は却下。肉欲は満足したから殺戮欲求を満たしたいらしい……



 装備を整えたヤルモたちは、『ガンガン行こう』。巨大なモンスターたちを薙ぎ倒して前進。マグマフロアとフロストフロアはモンスターが弱いので駆け抜け、宝箱を漁りながら進んで行く。


「フフ……」


 巨大なドラゴンの首を刎ねたイロナは不敵に笑うので、ヤルモはブルッと震える。


「どうかしたか?」

「ん? ああ……主殿と一緒に戦うと楽だと思ってな」

「それは俺のセリフだ。イロナがすぐに倒してくれるからめちゃくちゃ楽だぞ」

「主殿だって、我が戦いやすいように動いているのだろう?」

「まぁ、それが盾役の役割だからな」

「我とここまで合わせられる者は誰一人いなかったのだ。普通、何度か同士討ちしているぞ」

「いや……」


 ヤルモは同士討ちが普通なのかとツッコもうとしたが、その先は言葉が出なかった。きっと、イロナの仲間が血塗れになっていることを想像したのだろう。


「ま、(いささ)か楽すぎるのは物足りないがな」

「あ~。俺の出番、もう少し減らそうか?」

「いや、いい。ドラゴンだけはもらうからな」

「は~い」


 ヤルモはいい返事をしてイロナに続く。本当はヤルモも「たまにはドラゴンと戦いたいな~」とか思っていたけど……



 ヤルモとイロナの息の合った攻撃で、巨大モンスターは次々と撃沈。地下99階は、今回はオーガエンペラーの巣窟となっており、ドラゴンじゃないとイロナは肩を落としていた。

 そのわりには、イロナは元気ハツラツ。人型で武器を持つモンスターとの戦いは楽しいらしく、攻撃を掻い潜りズバッと一閃。

 ヤルモは無難に正攻法。大盾で守りを固め、押し返し、崩し、剣を振るう。イロナが後ろにいる場合は合図を出したりと、命を大事に戦っていた。


 そうこうしていたらオーガエンペラーも湧いて来なくなったので、地下100階へと向かうヤルモとイロナであった。



  *   *   *   *   *   *   *   *   *



 一方、中級ダンジョン攻略中の勇者パーティは、地下20階のセーフティエリアを出たら『みんな頑張れ』。クリスタが守りを固め、ヒルッカとパウリ主体でモンスターを倒す。

 しかし中級とはいえ下層になるとモンスターが強くなっているので、早くもパウリに疲れが見えて来た。


「ちょっと休憩しよっか」


 ヒルッカも疲れているように見えたクリスタは、通路で15分の休憩を言い渡し、リュリュと一緒に見張りをしながら、これからのことを話し合う。


「さすがにパウリには厳しくなって来たわね」

「じ、自分はまだいけます!」

「いいから座って休んで。休むのも仕事よ」


 パウリが立ち上がろうとするので、クリスタは頭に手を置いて立たせない。


「こんなところで脱落なんて不甲斐ないです」

「脱落じゃなくて、休み休み行くよ」

「でも、それじゃあ攻略速度が……迷惑かけられません!」

「なに言ってるのよ。こんなの迷惑なんかじゃないわ。ね?」


 クリスタはオルガに話を振る。


「ええ。私たちなんて、ヤルモさんにどれだけ迷惑をかけたことか」

「いま思ったら、ヤルモさんって凄いわね。足手まといを何人も引き連れていても、誰も死なさないって……」

「本当に……なんだかんだ言って、丁寧に教えてくれますし」

「そうそう。人に教えたことがないとか言うわりには、教え方が上手いんだよね」


 クリスタとオルガが「キャッキャッ」とヤルモについて喋っているので、パウリはついていけないから質問する。


「あの戦士の人は、そんなに強いのですか?」

「強いなんてものじゃない。どんな攻撃でも一歩も下がらないのよ」

「経験も豊富ですよね。それに(たくま)しくて安心できます」

「ムフ……聖女様は筋肉フェチだもんね~」

「勇者様だって、頭ポンポンされて嬉しそうにしてたじゃないですか~」


 またキャピキャピし出したクリスタたちについていけないパウリは、リュリュやヒルッカに質問してヤルモの人となりを聞き出していた。



 15分の休憩の終わり際に、作戦会議をするのを忘れていたと気付いたクリスタは、5分の延長を言い渡す。それから出発した勇者パーティは、ヒルッカとパウリを温存しながら戦闘を繰り返す。

 そのお陰で二人の疲労は少なくなり、パウリから称賛の声があがってクリスタは苦笑い。ぶっちゃけ、ヤルモの作戦を丸々パクっていたから褒められたもんじゃないのだ。


 クリスタ、オルガ、リュリュだけで戦闘した次は全員参加。パウリとヒルッカに疲れが見える場合は二回の休みだったりと、ヤルモメニューをこなせば効率的に先に進める。

 これで移動スピードも落ちずにパウリとヒルッカにも経験値が入り、万全の状態でダンジョンボスとの戦闘に挑めるのであった。


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