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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
06 カーボエルテ国 王都3
128/330

128-1 マッピング10


 スカルドラゴンから放たれた猛毒のブレスが晴れると、一から攻撃をやり直すヤルモたち。スカルドラゴンの足をくじき、ヤルモがアゴに攻撃を入れていたら、またブレスが放たれる。


「エネルギー波だ! 勇者は少し下がって待機!!」

「はい!」


 今回は毒ではないので、エネルギー波を大盾で耐えるヤルモ。ヤルモの体以上に大きなエネルギー波であったが、盾に当たった瞬間二手に分かれたので、その後ろにいるクリスタたちに被害はない。


「俺の攻撃のあとに続け!」

「わかってるよ!」


 ブレスが途切れると、またスカルドラゴンの両前足は治っていたので振り出しへ。ヤルモが指示を出したら、クリスタは一呼吸置いて攻撃を開始する。

 そうして前足の破壊、ブレス、破壊、ブレスと繰り返していたらパターンが変わった。


「発狂だ! 全員、俺の後ろにつけ!!」


 スカルドラゴンの前足が治ったと思ったら、ブレスの乱射。ヤルモは大盾を前に出してドッシリ構え、クリスタは逃げ惑いながらヤルモの後ろに退避した。


「これじゃあ近付けない。どうする?」

「近付く方法ならある。問題は聖女たちだ。そのせいで俺が攻撃に出れない」

「となると、イロナさんが助けてくれたら……」

「余裕なんだけどな~。助けを求めたほうが怖いことになりそうだろ?」


 ヤルモが大盾で耐えながら苦笑いで振り返ると、クリスタも笑う。


「あはは。このまま魔王との二戦目に突入しそうね。それじゃあどうする?」

「俺がお前の射程範囲まで連れて行く。狙いはアゴの付け根だ。たぶんそこを壊せば、ブレスは止まるはずだ」

「オッケー。勇者らしい仕事になって来たじゃない!」

「調子に乗って死ぬなよ」

「わかってるって~」


 作戦が決まると、オルガとリュリュも呼び寄せてヤルモの後ろにピッタリつくように指示を出し、ありったけの支援魔法をしてもらう。


「さあ、トドメまで行くぞ!」

「「「はい!!」」」


 ヤルモは声を張り上げると、ブレスの切れ目にダッシュ。三人も続き、ブレスの直撃が来たら大盾を構えてジリジリ前進。そしてダッシュと繰り返せば、スカルドラゴンの懐に潜り込めた。


「行くよ!!」

「聖女! リュリュ! 撃ちまくれ!!」

「「はい!」」


 クリスタが飛び出すと、ヤルモに守られているオルガとリュリュの攻撃魔法。多少は効くので、クリスタへの援護として使える。

 その間クリスタは、大ジャンプ。スカルドラゴンの前足を何度も蹴って、なんとか上肩甲骨に到着。クリスタは揺れに耐え、足早に上肩甲骨を渡り、アゴの付け根を見上げる位地に着いた。


「喰らえ! ブレイブスラッ~~~シュ!!」


 ジャンプと同時にスキル発動。クリスタの剣は光輝き、スカルドラゴンに接触。その会心の一撃でアゴの付け根は綺麗に斬られる。それで終わらず大きな斬撃が飛び、逆側の付け根にも到達した。


「くっ……もう一回! わっ!?」


 残念ながら切断まで至らず。もう一度攻撃しようとしたが、着地をミスッたクリスタは上肩甲骨を踏み外して落下。そこにスカルドラゴンのブレスが迫る。


「どおおおりゃああぁぁ!!」


 スカルドラゴンがクリスタを狙おうとアゴか下がったところに、ヤルモの渾身の一撃。この攻撃でアゴは吹っ飛んで行き、ヤルモは鈍足で必死に駆けてクリスタの落下地点に滑り込んだ。


「ふぅ~。骨に異常はないか?」


 滑り込みセーフ。ヤルモは胸に乗るクリスタに問う。


「あ、ありが……」

「動けるならさっさと下りて攻撃しろ」

「フフ。行くわよ~~~!!」


 礼を言おうとしたクリスタを、ヤルモはぶっきらぼうに突き放す。クリスタはその優しさに気付き、スカルドラゴンに突っ込んで行くのであった。



 ヤルモとクリスタで骨という骨をバッキバキに砕いたら、ようやく戦闘の終了。スカルドラゴンであった骨がダンジョンに吸い込まれて行くと、イロナがヤルモの元へと近付いて来た。


「アレを使えば楽勝だったのに、また使わなかったな」

「ひょっとして、見たかった?」


 ヤルモは戦車モードを使わなかったから苦情が来ると思ってビクビクしている。


「まぁな。でも、いいモノが見れた」

「あ~……勇者だろ? ホント、嫌になるぐらい戦闘の天才だ」

「クックックッ……思ったより早く、我を楽しませてくれそうだ。クックックッ」

「その笑い方、怖いんだけど……」


 クリスタの成長は二人とも喜ばしい限りのようだが、イロナは妖しげに笑うのでヤルモは恐怖するのであった。



  *   *   *   *   *   *   *   *   *



 戦闘が終わった直後、クリスタは動き疲れて横になっており、そこにオルガたちが駆け寄って輪になっていた。


「勇者様、お疲れ様です。立てますか?」

「いまはムリ。水が飲みたい」

「せめて体を起こしてください」


 オルガが手を差し出してクリスタを起こすと、リュリュから水筒を渡される。そうしてキャッキャッと勝利を喜んでいたら、クリスタだけがカチンコチンに固まった。


「勇者様、どうしました?」

「お、悪寒が……」

「悪寒? 全身凍り付いているように見えますが……」


 どうやらイロナから放たれた異様な気配は、悪寒を通り越して瞬間冷凍されるほど。もうしばしクリスタは動くことができないのであったとさ。



  *   *   *   *   *   *   *   *   *



 スカルドラゴンを倒してしばし休憩していた勇者一行は、宝箱に近付いて何が出るのかとわくわくしていた。


「また宝箱とはラッキーだったな」

「開けるよ~?」


 ヤルモが目を輝かせ、クリスタが皆に確認を取って宝箱を開けると……


「くっ……槍か」

「でもレジェンドっぽいよ?」

「まぁ予備の武器としては使えるか。今回は俺が貰うからな」

「わかってるよ~」


 契約通りダンジョンの品はヤルモの物。大きな魔石はクリスタの物となった。その時、クリスタは魔石を嬉しそうに抱き締めていた。今回は自分も貢献できたので嬉しいようだ。


「さてと、帰るか~」


 こうして第二回特級ダンジョン攻略は、勇者パーティに大きな自信を付けて終わるのであった。


「まったく役に立てませんでした~」

「ヒルッカは悪くないよ~? アメちゃんあげるから元気出してね~?」


 ヤルモに慰められるヒルッカ以外……


次話『 128-2 』は性的な描写が含まれていますのでアルファポリスにて『 R-14 』のサブタイトルで、明日更新します。

18歳以上でもしも読まれたい方は、アルファポリスにてしばしお待ちください。

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