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前科三犯、現在逃走中のオッサンは老後が心配  作者: ma-no
06 カーボエルテ国 王都3
126/330

126 マッピング8


 勇者一行は順調にマップを埋め、戦闘もこなしていたが、地下70階にもなるとドーピングしたヒルッカの攻撃はモンスターに通じなくなって来た。かなりへこんでいるのでヤルモは機嫌を取り、アメなんかもあげていた。


「アメよりも、何かアドバイスが欲しいのですが……」

「ナイフならいいのが出たんだけどな~。近接戦は一撃で死にかけないから我慢してくれ」

「うぅぅ……ごめんなさい」

「ぜんぜん悪くないよ~? ヒルッカを連れて来たおっちゃんが悪いんだよ~? あ、そうだ。このナイフあげるからね~??」


 ヒルッカが泣きそうになったのでヤルモが機嫌を取るが、クリスタたちは気持ち悪く思っている。


「子供にアメや物で釣るって……」

「完全に誘拐犯の発想ですね……」

「ヒーちゃんが誘拐されてしまいます……」


 クリスタ、オルガ、リュリュのコソコソ話はヤルモには届かず、先を進むのであった。



 ヒルッカが罠の発見や解除を無難にこなし、ヤルモが大袈裟に褒めたり戦闘したりしていたら地下80階のセーフティエリアに到着。ここではいつも通り長時間休息を取るので、夕食後は皆で温泉に浸かっていた。


「どうだ、主殿?」

「いいな~。イロナは何を着ても似合うな~」


 温泉では水着着用のルールになっているので、今回は全員水着を着て疲れを落としている。

 新調したイロナの水着姿にヤルモはデレデレ。鼻を伸ばして見ている。それを見ていたヒルッカは、何やら羨ましくしていた。


「いいな~。あんなにスタイルがよかったらモテモテなんだろな~」


 ヒルッカがボソッと呟くと、クリスタが自虐的に慰める。


「ヒルッカちゃんはこれからよ。私なんて、もう手遅れなんだよ?」

「勇者様だって綺麗じゃないですか」

「そ、そう?」

「はい。わたしも小さいので、勇者様を目指して頑張ります!」

「ヒルッカちゃんにも貧乳って言われた~~~」

「そんなこと言ってませんよ~~~」


 ヒルッカは本心から褒めていたのにクリスタには伝わらず。ヒルッカたちから慰められるが、巨乳のオルガの声はまったく聞こえないクリスタであった。

 ちなみにリュリュはガールズトークに入って行けず、皆の水着姿が刺激的なのか、顔を真っ赤にしていたのであった。


「どうだ? ムラムラして来たか?」

「今日は立ちません!!」


 ちなみにちなみに、ヤルモは水着姿のイロナに誘惑されていたが、昨夜は死ぬほど奉仕を受けたので断っていた。文字通り死にかけたので、イロナの水着姿で反応していた股間を必死に隠すヤルモであったとさ。



 地下80階のセーフティエリアで長時間の休息を取った一行は出発する。今回の班分けは、ヒルッカだけシングルパーティ。索敵と罠の解除だけを任せる。

 これは、ヒルッカの攻撃力では経験値が入って来ないので仕方がない配置なのだ。ヒルッカはまた肩を落としていたが、巨大なモンスターの数々を見て「戦えなくてよかったかも?」と、ちょっと安心していた。


 そんなヒルッカを他所に、イロナは『ガンガン行こう』。ヤルモたちは『命を大事に』。同じパーティでもイロナは制御不能なので、好きにさせているようだ。

 今回はリュリュたちの攻撃も少しは通るようになっていたので、ヤルモたちは協力して倒している。ヤルモが止め、クリスタがアタッカー。そしてリュリュの攻撃魔法、オルガの支援魔法。

 ヤルモが攻撃に手を抜いていたからか、クリスタたちにも経験値が多く入ったようだが手数も多いので、早くも限界。その場合は、イロナとヤルモペアでモンスターを蹴散らす。

 マグマフロアとフロストフロアに入ると、パーティを再編。イロナ以外で協力して倒し、ヒルッカにも経験値を稼がせる。


 そうして地下99階。前回、ドラゴンの巣窟だったのでイロナは意気揚々と入ったのだが、今回はアンデットモンスターの巣窟となっていたのでガッカリしていた。


「くっ……何故、種類が変わっているんだ……」

「まぁドラゴンゾンビなんかも居るかもしれないぞ」

「あいつらは首を斬り落としても動くからな~」


 イロナがガッカリしていると誰かに被害が行きそうなので、その筆頭のヤルモが宥めるが、いまいち乗り気にならない。

 それとは打って変わって、オルガがノリノリ。


「私の出番ですね!」

「まぁそうだけど……MPポーションの配分は気にしろよ」

「任せてください!」


 ヤルモの忠告を無視するオルガはMPポーションをグビグビ飲んで聖女無双。……とまではいかないが、イロナとヤルモが斬り刻んだアンデットモンスターに聖魔法を放って消滅する。

 クリスタも負けじと剣や聖魔法で攻撃。いつもよりダメージを与えている。リュリュも頑張ってはいるが、炎魔法ではそこまでダメージは与えられないようだ。

 その間、ヒルッカは安全になった場所でドロップアイテムを拾っていたが、ゾンビが苦手なのか「キャーキャー」走り回っていた。


 このフロアをくまなく歩けば、全てのマッピングは終了。地下へと向かう長い階段で少し休憩して、地下100階のダンジョンボスの部屋へと足を踏み入れるのであった。


「くそ~~~!!」


 その瞬間、イロナが悔しがるのでヤルモが宥める。


「アレもいちおうドラゴンだろ? イロナの好きな」

「あんなの我はドラゴンと認めない! ただの骨だ!!」


 ダンジョンボス部屋に鎮座していたモンスターは、体高20メートルを超えるスカルドラゴン。ヒルッカを筆頭にあわあわしているのに、イロナには物足りないらしい……


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