エピローグ
その後、俺は1つやりたかった夢を叶えられた。
「「運命の、ダイスロール!」」
実体化した《バトルヒロイン》でやるカードバトルだ。オーガミという負けても敗北以上の害がない同志を得たことで、初めて俺は、誰に遠慮することもないカードバトルをやることが出来た。
今まではずっと、テンションが高いなりにつっかえのようなものが胸にあった。
今、これを楽しんでいいのかという棘のようなものが胸にあった。
そういったものがない思う存分のカードバトルはとても楽しいものだった。
何せ愛用のカードたちが実体化し、台詞を話したりしてくれるのだ。ゲームのようなパターンが決められたものではなく、俺の思い出を元にしたオリジナルの台詞を。
「俺の先行! チャージして、『聖銀の女騎士』を召喚!」
「おまかせください、我が主殿!」
「……ずいぶん珍しいカードを使ってるな」
ちなみに、救出した女性たちのケアは万全だ。
『お掃除メイド ウォッシュ・サイクロン』の洗濯機で汚れを落とし。
『白衣の天使』の癒しの力で傷を治し。
『混沌の魔女 スキュラ』で脳をいじってトラウマを完全消去した。
これで、彼女たちが被害にあった事実はないも同然だ。
何せ盗賊団のメンバーも全員回収した後、脳をいじってその辺りの記憶を消した。
誰の記憶にも残っておらず、物的証拠もない。なら、何のと同じだ。
そして俺は、バトルヒロインにその活動を全て任せ一切関与していない。アイデアを出し、指示を出し、作業が終わるのを待っていただけだ。
素人で、無関係で、男な俺にできることなど何もない。
これを救いと言い切るつもりはないけれど、明日から彼女たちが日常に戻れるなら、ご都合的なまでに都合が良くてもいいじゃないか。
証拠がなくなったから、これに関する罪で盗賊団を法のもと捌くことは出来ない。
けど、そんなことは分かった上での行動だ。
加害者の断罪よりも、被害者の救済を優先することにした。
「なら俺のターン、ドロー! 俺は■■を召喚!」
(■■がくるってことは、次のターンは▲▲を警戒しとくべきだな)
そして、盗賊団ボスのデッキホルダーから情報を引き出したところ、重大な事実が判明した。
それが、この盗賊団を裏から操っていた“組織”の存在。つまりコイツら、そのバックにいる奴からカードを支給されていたのだ。
で、今回倒してカードを没収したボスは、この“組織”でそこそこの地位にいるらしい。
なのでこの男と連絡が取れなくなれば、当然“組織”はここいらに人員を派遣する、とのこと。
つまりどっちみち、この辺りの村々は詰んでいたということだ。盗賊を排除できても別の奴らが来るだけ。排除できなければ搾取され続ける。
「召喚! 『《バトルヒロイン》ー虹の女神』! 俺のバトルヒロインたち、出て来いやぁ!」
以上のことから、俺とオーガミは再び分かれて行動することにした。
この辺りの村に滞在し、派遣されるであろう“組織”のメンバーを撃退するのがオーガミの役目。
対して俺は、この村を離れ直接“組織”をブチのめすために動く役目だ。
あと“組織”を探さなきゃいけない都合上、盗賊団は俺が全員カードに収容したまま連れて行くので、その辺りの説明を騎士団にするのもオーガミの役目だ。
俺は、俺の好きなカードゲームで暴虐を行っている奴が許せない。正義のヒロインという設定を背負う《バトルヒロイン》デッキ使いとして、ファミリアバトルに青春時代を救われた者として許せない。
こっちに来てるかもしれない旧友が、“組織”の被害にあってる可能性もあるしな。
それに、今は幸いにも春休み中で大学の講義はない。
実家を出て独り暮らしなので家を空けていても大丈夫だ。
「行くぞ! 俺は■■を○○に××して、アーサーのファミリアを行動不能に!」
「あ、コレやばいやつだ」
「一斉攻撃! からのダイレクトアターック‼」
「ちくしょーっ! 負けたーっ! けど楽しーっ!」
オーガミの実力にも不安はない。
今までアイツと戦って、俺の戦績は10戦4勝6敗。
ほぼ互角だが、悔しいことに負けている。
ほぼ互角だが。
一応言っておくと、新しくゲットした《バトルヒロイン》を使いこなせるようになれば、たぶん俺の方が強い。
「じゃあまぁ、この辺りにして俺は出発しようかな」
「そうか」
「素っ気ないなぁ。俺は寂しいぜ親友」
「心配する必要はないだろ。バトルヒロインがいれば大体のことは何とかなる」
「ま、それはその通りだ。で、出発前に1つ提案があるんだが――」
「リクくーん、ちょっといーい?」
「何でしょうサヲリさん」
「……あちゃあ」
尚、オーガミは俺と愛しの恩人との間にガッツリ優先順位をつけている。どうにも、好意を暴露されたことを根に持っているらしい。俺がわざとばらしたんじゃないかと疑い続けているのだ。
……まぁ、わざとばらしたんだけどな!
「アーサーさんに、ヨルルちゃんから言いたいことがあるらしいのよー」
「ん、どうした? 何かあったのか?」
「……アーサーさん、お願いがあります」
「ふむ。俺が初めて会ったのがヨルルだったのも何かの縁だろうし、俺――というか《バトルヒロイン》ができる範囲なら、全然叶えても構わないが――」
「わたしも一緒に連れてってください!」
「……そうきたか」
どうやら、まだひと悶着あるらしい。
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