表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/334

70 竜の調査隊、迷宮に潜る①

①そんなー(´・ω・`)

②世界樹の迷宮

③影が薄いアンコさん


「お待たせー」

「クロカゲ~、遅いよ~」

「こっちもゴタゴタしているんだよ、お客さんなんて初めての事だからね~♪」


 待つこと数分、現れたのは真っ黒な、アンコと名乗った者と同型の虫の魔物、種類はアルトと言ったかしら? 後ろにも何匹か引き連れている。

 ……見た感じは、そこまで強そうでは無いわね。


「すんませんね~、本当は主様が対応できれば良かったんすけど、世界樹様の悪い癖が出ちゃいまして」

「いえ、対応して頂けるだけありがたい事ですので、お気になさらず」

「そう? いや~、まさかこんなに早く、知的生物に対応することになるとは思ってなかったんよ。まだ毒の処理、全部終わってないからね~」

「「毒?」」

「ま~、そこも含めてお話いたしましょ~か。お姉さん方大きいから、ちょっと奥にある広い道まで案内しますね~♪」

「分かりました。全員で行くこともありませんね、テレ、貴方はここに残りなさい」

「はい~」


 私は、テレの頬に自分の頬を擦り付ける。その際、鱗を一枚引っ掻ける。竜族の挨拶の仕方だ、不自然に思われ無いはず。


「ガゥ(後は、お願いしますね)」(ボソ)

「……ガ~(分かりました~)」(ボソ)


 この鱗には、所持している者に、生きている限り私の存在を感知させる術式が込められている。可能な限りの隠蔽術を込めているので、そう簡単に気付かれはしない。

 もし私たちが死んでも、テレの火力なら追っ手を撒ける可能性は十分にあるでしょう。これで、ここまでの経緯は谷にまで届く。


「来るのは二体だけなん? (……、……)了解~♪ アンコ~、何体か置いていくから、後よろしくね~」

「う、うん。えっと、テレさんの事は、ぼくが対応するね…………」

「はい~、よろしくね~」

「もういい? こっちやで~♪」


 クロカゲと呼ばれた魔物の先導に従い、シスタと共に進んでいく。何人か監視のために残されたか、当然ね、予想の範囲内だ。

 しかし、アンコ殿が付いているのが不安ね、あれの対処法も考えないと。気が付いたら死んでいた、なんて状態もありえる。


「いや~ごめんね~、本当はもっとしっかりした所に案内したいんだけど、まだ何にも用意できてないんだよね~。大きめの部屋は有るけど、装飾も何もない部屋でね~。こんな事なら、もっと早く用意して置けば良かったよ。タラントに頼めば、色々作ってくれそうなんだけどね? 中途半端なものを飾りたくないとか言ってさ~。あ、タラントって言うのは、うちに居る魔物の種類の事でね、物作りが好き―――」


 よ、よくしゃべる方ですね。こちらとしては、勝手に情報が流れて来るので、ありがたいですけど。


「―――で、最近は魔道具にも興味あるみたいでさ、色々挑戦しているみたいなんだけど、魔法はできても、魔術はできないみたいでさ~、魔法は魔力を変換するだけだから、感覚で出来るけど、魔術って計算とか式とか色々知識が必要なんでしょ? 行き詰ってるみたいでね~。良かったら、そこら辺も教えてくんないかな? あ、時間がある時で良いからさ」

「えぇ、私たちで良ければ」

「本当? ありがとね~、あ、ここが入り口だよ~♪」


 着いたのは世界樹の根元、左右に巨大な根が伸びた間にできた開けた空間だった。

 クロカゲ殿が二度三度、開けた地面を叩くと、その場所が割れ、地下へと続く下り坂が現れた。仕組みは、先ほど糞虫が落ちて行った穴と同じかしら?


「狭くてごめんね~、うち等のリーダーが居る所まですぐだから、我慢してね~♪」


 おそらく、軍事用の通路か何かなのだろう。狭いと言いながら、私達が並んで通るだけなら十分な広さがあった。クロカゲ殿の後に続いて、穴へと入って行く。入って早々感じたことは、魔力濃度が外よりも高い事だ。外ですら私達が居た谷と同レベルだというのに、ここは我々竜族ですら抵抗を感じるレベルの濃度。淀んでいる気配も無い事から、この状態がここの通常状態なのでしょう。


「お姉さんみたいな優秀な術者に教えてもらえるなんて、こんな機会ないね~♪」

「優秀だなんて、そんなことありませんよ」

「え~、でもさっき使ってた魔術、すっごい綺麗に見えたんだけどな~♪」


 ………………え? ま、待て! 落ち着け! 沈黙は不味い!

 余りに自然に、核心を突くような話を振られたせいで、思考が一瞬止まってしまった。そうだ、ブラフの可能性だってある! ここは自然に返答しなければ。


「何のことでしょうか?」

「え? 表に居るテレって方と繋がってるそれ、魔術だよね? 魔法と違って、凄く安定してるもん♪ 離れた相手と<念話>するためのモノかな? それともシンプルに、自分の居場所を伝えるモノかな? しっかし、分かりにくいね~♪ 魔力が全然漏れてないし、揺れも無いから、最初気が付かなかったよ~♪」


 内容まで殆どバレてるー!? ちょっと!? 私の本気の隠蔽術式なのよ、なんで初心者にバレてるのよ!?

 ……本当に、何でバレたのかしら。割と本気で知りたいわ。


「……お見事です。良くお気付きになりましたね、何時お気付きに?」

「!?」


 シスタが、驚いた眼でこちらを見る。下手に誤魔化すより、正直に言ったほうがまだ相手への心象はいいでしょう。

 そもそも! 完全にバレてるのに、誤魔化すも何も無いわよ、畜生!


「ん? え~と、その魔術? 周りの魔力濃度に合わせて隠す術式みたいの入れてない? ダンジョン内と外で魔力濃度が違うから、その境目で歪みが起きてたんだよね~♪」


 それが無かったら気付かなかったよ~と、先ほどと変わらない軽い感じに答えられた。

 ふむふむ、成る程……そんなん想定できるかー!?

 じっくり観察するなり、探すなりするならまだ分かるわよ? 魔力濃度がハッキリと違う場所自体は少ないけど、そう言った場所は、魔法や魔術の稼働に影響を与えるから。だけど、その境を跨ぐ一瞬で気付く奴なんて、居ると思わねーよ!!??

 そもそもあんた、私らの前歩いてたでしょ!? なに? 見ないで気付いたの!? どんな感覚してるのよ!?


「魔法部隊隊長ともなると、これくらい気付かないとやっていけ無いんだよね~。うち的にはさっさと隊長なんて辞めて、畑仕事に専念したいんだけどね~♪ 下からの突き上げもあるし、一番適任だからって、辞めさせてくれないっんすよ~。お~い、お前ら~、隊長やりたいなら変わるぞ~?」

「いやっす」

「隊長の後とか、なにその拷問」

「隊長がしてる仕事とか、俺らができる訳ねぇじゃん」


 隊長、魔法を使える魔物そのものが珍しいと言うのに、隊を作れるほど居ると言うの?

 冗談だとは思うけど、隊長の座を譲ると言っているのに、部下と思われる者たちが間を置かず否定する。普通は上に立ちたいものでは? と思うが、どうやらクロカゲ殿が強すぎるのが原因の様だ。上の者が自分よりも圧倒的に強いと言うのに、そこに諦めや悲壮感などは見られない。

 あぁ、クソ! 谷の現状と比べて仕舞い、心がざわつく……この精神状態は不味いわね、他の事に集中しましょう。


「……ちなみに、他に今の術式に気付いた方はいらっしゃいますか?」

「わかんないっす」

「隊長じゃ無いから、無理」

「だよね~」

「……い、違和感位なら」

「なに!? よし、今日からお前隊長やれ! 隊長命令!!」

「えぇ!? 無理っす! 言うならクロス様に言って、却下されてきてください」

「却下前提!?」


 流石にこの個体が特殊なだけの様ね。こんなのがゴロゴロいたらやってられないわ……可能性がある個体はいるみたいだけどね!?


ドラゴン(竜族)

太古の時代より存在する種族。

総じて能力が高い為、主として存在することが多く、周りに対する影響力がとても高い。

下級の竜はともかく、知能が高く、会話をすることもできる為、人族の間では身近な伝説的存在。


大まかに分けると

賢竜ケンリュウ

吐竜トリュウ

暴竜ボウリュウ

地竜チリュウ

飛竜ヒリュウ

の5種類に分けられる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 虫の方がドラゴンより強いとか力関係が謎すぎる。そもそもまだ半年も経ってないよね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ