48 モフモフは正義!!
①迷宮レベルアップ
②鑑定パワーアップ(数値化)
③迷宮の能力
~容量250を使用しました。【迷宮】<効率LV1>を習得しました~
あ250なんですね。なら
~容量250を使用しました。【迷宮】<効率LV1>が<効率LV2>になりました~
よしよし…世界樹さん、その目は何でしょうか?
「…貧乏性」
「最初が肝心なんですよ。効率が良く成れば、できる事も増えます!」
「限度があるなの! 沢山あるんだからさっさと使うなの!」
な、なんてことを言うんですか!? 俺がどれだけ節約して、この状態まで持ってきたことか!
「今まで、毒対策しか考えて来なかったんですよ。どんな迷宮にするか、考える位の時間があってもいいじゃないですか」
「むぅ、そ、それを言われると…」
「それに、沢山あるからと無駄遣いしていると、あっと言う間に無くなりますよ?急いで迷宮を造るにも、処理容量があるんですから、速度には限界がありますし」
「む~~~、分かったなの! それで、節約は終わったなの? なら、さっさと造るなの!」
世界樹さんが機嫌を損ねてしまった。プイっとそっぽを向いて拗ねている。
俺もちょっとムキになって答えてしまった、反省反省。後でご機嫌取りしておきましょう。
「とりあえずコアさん、さっきと同じ通路と部屋を、作成お願いします」
~通路900DP、部屋8,000DPを使用します~
「「安ッ(なの)!?」」
え? 二割引き!? そんなに安くなるの!?
ふふ、ふふふふふ! 俺の判断は間違いでは無かった!
「え~っと、なのなの…」
世界樹さんが、ちょっと気まずそうにしている。そこで驚くとは、世界樹さんも豪快に見えて、意外と小市民ですね。
「取り敢えず、他の部屋も作ってしまいますね」
「わ、分かったなの」
~通路900DP×15、部屋8,000DP×15を使用します~
これで、迷宮が完成したら13万3500DP消費、10万越えです。これでまた、レベルが上がりますね。やっぱり先にコスト下げて正解でした、高すぎ。
次は、領域拡張に振るか、また【迷宮】に振るか。むむむ、悩みどころです。
蟻の処理速度は、十分間に合っていますね。殆ど、拡張速度は変わっていない。
人海…蟻海戦術で領域の境界線に張り付き、土を掘り起こしている。
卵がそこまで深くに埋まっていないのもあって、接触と同時に掘り返している。掴んだ時点で、卵の持つ領域は消えるみたいですね。そりゃ、生殺与奪権を握られたら、縄張りも何も無いですよね。
……速度を上げるのではく、侵略時のコストダウンという手もありますね。そうすれば、蟻達を他の仕事に割り振れますし。う~ん、とりあえず、拡張速度で良いかな? 新しい生き物がこの地に来る前に、領域を広げないと意味がないのも事実。その場合、速度上昇を取るべきですね。
今でも、蟻の処理速度より拡張速度の方が遅いですし。卵の処理が間に合わなくなるか、本格的に他者の領域に接触した場合、コストダウンに振りましょう。
「あ、あの、えっとなの…」
世界樹さんが、気まずそうに話しかけてきた。今回、世界樹さんが言った事も、別段間違いでは無い。早く領域と迷宮を整えるのは、俺としても賛成なのだ。ただ、俺の今までの節約思考が、たまたま結果を出しただけ。反対の立場だったら、俺もイラっとしたでしょうし、む~ん。
「世界樹さん、何か欲しい物や施設とかはありますか?」
「な、なの?欲しいものなの?」
「そうそう、領域が広がるまで散布は出来ないですし、【迷宮】の作成が終わった後、新しい何かを造ってレベルを上げないと」
世界樹さんが「な~の、な~の」と考え始めた。
新しい話題を振って、有耶無耶作戦、成功!
今の世界樹さんに、責任とか謝罪とか、重荷を背負わせる訳にもいかないですし、今回はこれでいいしょう。平気そうに見えて、情緒不安定な所が時々見られますからね。依り代は元気に見えでも、実際の世界樹はまだまだボロボロなのだ。
「な~~の、…施設は特に思いつかないなの。任せるなの!好きなものを造ると良いなの!」
「了解しました。“施設は”って事は、他に何かあるので?」
「お友達を直接見てみたいなの! モフモフって、どんなものなの? してみたいなの!」
成る程、【スポナー】による生産は後でするとして、とりあえず一匹【生産】してみますか。設置物の回収も、もうできる様になっていますし、【スポナー(小)】でいいかな? モフモフなら、まずはこの子か。
~100DPを使用して、純獣【スポナー(小)】を生産します。一度の生産コスト100DP、最大生産速度は60分です~
~純獣【スポナー(小)】を設置します。設置場所、生産速度を指定してください~
コアルームに設置し、稼働を停止したまま放置していた【スポナー(小)】を回収し、新しく設置しなおす。
一匹生まれたら回収するので、時間も場所も適当。目の前に地面に。淡く光る池が出現し、一匹の魔物が生まれてきた。
名称:純獣
氏名:
分類:現体
種族:獣族
LV:1/5
HP:23/23
SP:23/23
MP:16/16
筋力:10
耐久:5
体力:10
俊敏:10
器用:10
思考:5
魔力:5
適応率:15(Max100)
変異率:5(Max100)
スキル<無し>
【ピュア】全ての可能性を秘めた存在。同種族であれば全ての上位種へ進化が可能。
小型犬ほどの大きさの、真っ白な毛玉が現れた。ふわっふわな毛から、頭と小さな四足の足を伸ばし、こちらに歩いて来た。見た目は大きいハムスター、ネズミ型の魔物だ。
ご要望通り、モフモフをご用意しましたけどいかかでしょう?
「……」
あれ、無反応? いや、視線は完全に、純獣を捉えて離さない。
そんな純獣は、てくてくと世界樹さんの方へと向かって行く。
「ミ」
「ナフゥ!?」
足にすり寄ってきた所で、ようやく世界樹さんが反応を示した。わなわなと震えだし、手をワキワキと動かしながら純獣へと向ける。そこはかとなく漂う犯罪臭……目がヤバいんですけど、大丈夫か?
「ななんなん、何なのなの!? 可愛いなの! ふわぁ!? 何なんなあなんあ~~~、モフモフ? これがモフモフなの!? ふわふわなの!なふぁ~~~~ん!!」
やべぇ、世界樹さんが壊れた。泣きながら、純獣を抱きしめ、もふりたおしている。
とてもじゃ無いけど、他所様に見せられない。顔は緩みまくり、だらしなく開いた口から、涎が垂れるのもお構いなしだ。チョロインかと思っていたけど、これじゃダメインだ、残念過ぎる。
「デュフフフフフ~~~~~」
……二匹目は、又の機会にしよう。このまま続けたら、世界樹さんが違う意味で壊れかねない。
世界樹の迷宮(仮)
LV:3
特性:植物・水
DP: 2,584,266 DP(133,650DP消費)




