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31 世界樹さんは考える

①元凶登場

②愚王

③黒幕?

「おはようなの!」

「・・・おはようございます」

「なの!」


世界樹さんが目を覚ました。猶予の時間表示も止まっていたし、栄養関係も少しずつ改善していたのが功を奏したかな?

・・・で、あなたはどちら様でしょうか?


クリっとした深い森の様な翡翠色の瞳、

軽いウェーブの掛かった琥珀色の金髪

雪原の様な白い肌


まるで作り物の様な、それでいて全く違和感のない、美“幼女”がそこに居た。


「人間はこういうのが良いんでしょなの。貴方はどう、なの?」

「すごく綺麗だと思いますよ。ただ一つだけ・・・」

「なの?」

「俺はロリコンじゃねぇ! 大人バージョンを要求する!」


もう一度言う。俺はロリコンじゃねぇ!!


「今の状態じゃこれが限界なの・・・。でも! 力が戻ったら、もっと大きい依り代を作れるなの!」

「本体じゃなくて依り代なんですね・・・それ、出ている時って疲れたりしないんですか?」

「ちょっとの間なら平気なの。体が治ったら、幾らでも出ていられるなの」

「そうですか。なら、頑張って治しまし―――」

「その為にも、あいつ等を全部狩りつくすなの」


ん˝?


「人間も、エルフも全部全部全部コロコロコココ!!


アカン・・・。また、まっくろくろすけに成りかけている。


「ていや!」(ペシ)

「なのの!? 」


話しかけても通じそうになかったし、時間も無さそうだった為、頭に軽くチョップを喰らわす。

お陰で、依り代から漏れていた黒い靄が霧散し、暗い虚ろな目も、綺麗な翡翠色の瞳に戻った。

焦点の合った目で恨めしそうにこちらを向く。どうやら正気に戻った様だ。


「何をするなの!」

「何をする、じゃないですよ、まったく。何、物騒な事言っているんですか」

「あいつらが居たんじゃ安心できないなの! 根絶やしにしてやるなの!!」

「根絶やしって・・・、自分が気に食わない奴らは、一括りにして迫害する。まるで“人間”みたいな考え方ですね」


ここで、“人間”の部分を強調する。嫌悪の対象となっている人間と同じ扱いを受ければ―――


「な!? 違うなの! あんな奴らと同じにしないで欲しいなの!」


―――当然反発する。俺も、あんな奴らと同じだなんて、言われたくないですし。

でも、これで極端な考え方は控える様になるかな? ・・・ならなかったらもう一回言ってあげましょう。


「ではどうしますか? どこかで区切りを付けないと限りが無いですよ?」

「・・・それでもやるって言ったらどうするなの?」

「う~ん、そうですね~。可能な限り協力はしますよ? 限度はありますけど」


これは八割方本音です。人間が幾ら死んでも、しょうがない程度にしか思わないですし。

人間なんてどこででも死んでいる、それこそ善人も悪人も関係なく。なのに、目の前で死んだからって騒ぐ気はありません。俺にその矛先が向かわなければね。


「止めないなの?」

「考えた上で出した結論なら。少なくとも、邪魔はしませんよ」


感情に任せて動くと、碌な事に成らないですし、後で後悔することになる。今の俺にできるのは、落ち着かせて、きちんと考えられる環境と、精神状態を整えてやる位だ。


「む~~~~・・・」

「エルフは知らないですけど、人間はいろんなのが居ますからね、中には見ているだけで面白い人とか居ますよ?それでもやるならルールを設けてみては? 例えば、一定のライン以上に近づいた人間は殺すとか。この集団は殺すとか」

「う~~~~ん・・・分かった、考えてみるなの」


渋々といった様子だが、納得はしてくれた様だ。その後、世界樹さんは依り代を解除したのか、霧散して消えていった。

辛い思いをして、ちょっと狂ってしまっているみたいだけど、頭と根はいい子なのだ。説得して道標を示せば、ちゃんと考えて結論を出す。

まぁ、悪いようにはならないでしょう。ダメな時は、協力しながら少しずつ説得(誘導)していきますかね。


~ サブマスター、世界樹の回復を確認。緊急対策機能、生命維持が停止、消滅しました ~


ん? 生命維持? そんなのやっていたんですね・・・タイマーが消えるわけでは無いのか、停止中だけど今も猶予時間が残っている・・・待てよ?


「この生命維持って、コアさんが処理していたんですよね?」


~ 肯定 ~


「停止でなく、機能そのものが消滅って事はつまり、その分容量の余裕も増えたのでは?」


~ 肯定 ~


「まじで!? 映像! 映像機能をお願いします! できるなら音声も!」


~選択・予約機能を追加しました~

~カメラ機能を追加しました~


やったー! これで現場の様子が見られます! 選択機能とか付いたけど気にしない! 機能の追加に必要だったのでしょう。

早速ダンジョン内を見てみる。丁度一緒に居るので、クロスさんとアリスさんの姿でも見てみましょうか。進化してからの姿を、一度も見たことが無かったですからね。領域画面をタップする。


「・・・キ」(プイ)

「キキ! キキ~キ! キキ?」(焦)

「・・・」(無視)

「キキキ」(スリスリ)

「・・・キキ」

「キ?」

「・・・キ」(じ~)

「・・・キ」(じ~)

「「キキ」」(ハート)


ブチ!


速攻で画面を切る。

なに? あの甘ったるい雰囲気。ちょっと拗ねた嫁を、仕事帰りの夫がなだめる、まるで新婚夫婦を彷彿させるやり取りは。この後の展開が容易に予想できてしまった。

君らそんな関係だったんだね。こういう時はなんて言えばいいのだっけ?


・・・リア充爆発しろ!


・・・冗談はこの辺で。そもそも、そんな気はしていましたし・・・、特にアリスさんから。

あの子、無口なのに何気に積極的なんですよね。いつの間にか蟻ノ女王(アルト・クイーン)にもなっていましたし、女の執念ってやつですかね?

スポーンが停止しているのに、アルトの数が増えている気がしたのも、間違いではなかったようだ。卵があったよ、仲が良いようで何よりです。


後は何かないかな? そうだ、耐久とか、容量とかの数値化って可能ですか? スライムボールの耐久値を確認しようとした時にも困りましたし、【倉庫】の容量とか中身の量が分かるとありがたいです。


~ダンジョンLVが不足しています~


・・・予約しておいてください。


~承知いたしました~


世界樹の迷宮(仮)

LV:2

特性:植物・水

DP: 516 DP


4/18修正(琥珀色の瞳→翡翠色の瞳)

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