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150 妖精さんいらっしゃーい

①エレンさん再登場

②【世界樹の迷宮】は、どんなところ?

③竜王様


「そんな危険因子を、放置するのですか!?」

「怯えるで無いわい。別段、敵対している訳でも無かろう?」

「既に奴らは、我らに牙をむいているだろう!」


いや、手を出したのは糞虫の方ですからね? 私、ちゃんと言いましたよ?

そもそも上位竜の方々は、竜王様の決定に異議を申している自覚は有るのかしら?


「俺の息子を! コドヴィンを殺しているんだぞ!!」

「殺してはおらんじゃろう、話を聞いていたのか?」


さらに、感情に任せて喚き散らすのは、この谷の№2.暴竜の進化体である、激竜(げきりゅう)のゴドバルド。そして、あの糞虫の親でもある。

実力では確かに、この谷で竜王様に続いて二番目に強い。だがその力には、天と地ほどの差がある。だと言うのに、元来の性格か、それを嵩に着て威張り散らすのだ。


しかも、少しでも強くなりそうな、自分の立場を脅かす可能性がある奴を見つけては、子供じみた嫌がらせをする……中には、行方が知れなくなる奴すら出ると聞く、正真正銘の糞野郎。あの糞虫が助長したのは、こいつのそんな姿を見て育ったからなんじゃ無いかと、思わずにはいられない。


「危険な事には変わりない! しかもダンジョンに成っているのだろう? 放置などできない!」

「はぁ、少し黙ろうか?」

「誰に盾突いたのか、我等竜を敵に回せばどうなるかを、分からせる必要がある!」


竜王様の制止も聞かず、喚き続ける糞虫の親。周りの竜の中には、それに同意する奴がチラホラ見える……あんた達、それ本気で言っているのかしら? 馬鹿じゃないの?


「付け上がる前に、報復す 「ゴドバルト」」



「私は、“黙れ”と、言ったはずだが?」

「ウゲ!?」

「ッ!」(ギリ)


竜王様の<威圧>が、物理的な重さを伴って降り注ぐ。お、重。

ゴドバルトの方は、抵抗してその場で踏ん張っているみたね。余計な真似を……


「私は言ったぞ、許可なく“領域外の南側に出る事を禁止する”と。それを破ったのは、君の息子だ。(あまつさ)え、攻撃を始めたのも君の愚息。罰すれど、擁護する理由は無いよ」


無駄に足掻いていたゴドバルトの前に、一瞬で移動していた竜王様の依り代は、その鼻先を掴むと…地面へと叩きつけた。


「ウガ!?」

「調子に乗るなよ、小僧」


その顔は、地面に半分ほどめり込み、鼻先に突き立てられた依り代の爪は、容易にその鱗を突き破り、そこから血が流れ出ている。依り代でさえ、本物の存在の力を超えている事が容易に想像できる。


本当に次元が違うわね、こんな実力差を見せられたら、上を目指そうと思わなくなるのも、仕方がない事なのかもしれない。他にも、数百年生きている竜の無気力も大きいでしょうけど。ローバン様曰く、仲間が文字通り命がけで戦ったのに、自分たちは何もできなかったのを、今も引きずっているらしい。

そんな姿を見て育ったもんだから、今の若い世代の竜は、一部を除いて向上心が足りない。周りに、手頃な相手が居ないのも、要因の一つでしょうけどね。


……うん、ヤバイ。どんどん圧力が増す<威圧>を誤魔化すのに、現実逃避していたけど、流石に意識が……


「オモイノデス」

「ツブレルデス」

「ダイチニカエルデス?」

「ん? おぉ?」


そんななか、何処からか場違いな声が聞こえ、竜王様の<威圧>が消える。危なかった、もう少しで私まで地面に埋まる所だった。


「テレ、その子達は妖精族かい?」

「うっぷ、です~」


青い顔をしながら、竜王様の問いに応えるテレ。こんな所で吐かないでよ?

その脇を見ると、地面にめり込む小さな人型の何かが居た。どっかで見覚えが有る様な……あぁ!? 【世界樹の迷宮】に居た、妖精(フェアリー)じゃないの!


「テレ、貴女その子達どうしたの!?」

「引っ付いて来てた~」

「いつからよ!?」

「ダンジョンから~、帰ってくるときから~」


そんな前から!? それって、ダンマスの所から、攫ってきたことにならない? 大丈夫なの、これ? …………あ


― お土産は大切にしてくださいね? クスクス -


ダンマスー!! 貴方気が付いていたわね!? なんてもん寄こしているのよ!! 


「成る程。迷宮主からのお土産の一つって訳か」

「ドラゴンナノデス?」

「ツヨイノデス?」

「カッコイイノデス!」

「はは、ありがとね」


竜王様は、何故か先ほどと打って変わって、ご機嫌な様子。


「妖精族か! 見たことも無い種じゃのう」

「ダンマスだったかな? 中々粋な事をする奴じゃ無いか。君たちは、此処に住み着いてくれるのかい?」

「エイキュウコヨウデス?」

「ドラゴンサント、イッショナノデス!」


どうやら、ここに住みつく気満々の様だ。居て困る様な存在ではないし、竜王様が許可するなら、私が口出すことも無いでしょう。


「迎え入れるのですか!?」

「スパイの可能性は?」

「見られて困る様な事が、無いからのう」


周りの上位竜の方々は懐疑的のようですが、竜王様とローバン様は特に気にしていない様だ。これには私も同意見。ここって、何もないものね。


「そうだね……シスタ、君はどう思う?」

「そうですね……あのダンマスが、こんなにすぐばれる様な仕掛けをするとは思えません。もし行動を起しているとしたら、これを目晦ましに、裏で行動している存在を疑う方が、しっくりきます」

「なら、この子達は問題ないね」


あの、そんなにアッサリ信じられると、間違えていた時が怖いんですが……ま、まぁ、この子自体はほぼ無害でしょうけどね。


「しかし、妖精が生まれるダンジョンとは……これは仲良くする他無いね、うん!」

「じゃな、魔力溜まりを散らしてくれるなら、願ったり叶ったりじゃ」

「悪魔族も居るのかな?」

「イルデスヨ?」

「「おぉ!!」」


竜王様とローバン様が感嘆の声を上げる。相当嬉しいのでしょう、ローバン様に至っては、ちょっと体が動く程だ。首以外が動いたところを、初めて見たわ。凄い揺れたけど、地盤大丈夫かしらね?


「うん…うん……うん! これは行くしかないね」

「むぅ? ダンジョンにか?」

「お隣さんだしね。話を聞くに、今の内に関係を決めておかないと不味いし」


良かった、一番危惧していた所を分かっていてくれていた。時間が経てばたつ程、あのダンジョンは成長する。少しでも早い対応が求められる。


「よし、これからダンジョンへ向かうよ」

「え゛、今からですか?」

「うん、今から。ここにいる全員で」

「「「ふぁ!?」」」


竜王様の突然の発言に、一斉に声を上げる上位竜の方々。

確かに、速いに越したことは無いでしょう。それにあのダンジョンは、直接見ないとちゃんと理解できないでしょうしね。それを、竜王様も分かっていらっしゃるのでしょう。そうなると……


「なんてったって、ここに集まるのに10日も掛かる子達だからね。改めて招集していては、集合に移動にと、時間が掛かって仕様が無いよ」

「「「……」」」


うん、今回の対応を見るに、改めて招集となると、そうなりますよね。

竜王様の言葉と責める様な眼差しに、一斉に視線を逸らす上位竜の方々。だらけているからそうなるのです。自業自得ですね、反省してください。

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