表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/334

127 獣人さん、ご到着

①収支黒字!

②悪い子は食い殺すよ? Byビャクヤ

③お出迎え


 

「ご主人ー、連れて来たー!」

「ご苦労様です、ビャクヤさん」


 迷宮の中から、ビャクヤさんの到着を迎える。流石に外で待つわけにもいかないですからね。またクロスさんに泣かれるのは、勘弁です。あれ、結構精神的にキツイんですよ。


「それでビャクヤさんや、皆さん相当疲弊しているように見えるのですが……」

「うん、周りに面倒なのが沢山居たから、巻きで来た!」


 あぁ、周りでうろちょろしている奴が居ましたね……だからと言って、限界速度ギリギリを狙って走ることは無いでしょうに。


「これからお話に入ろうと思いますけど、ビャクヤさんは如何します?」

「一緒にいる!」

「了解です」


 ビャクヤさんが近くに居れば、変な奴が寄ってきたりはしないでしょう。獣人方は……暫く話せそうにないですから、まずはこっちか。


(こんにちは、森人(エルフ)のお方)

「招待して頂き、感謝致します。ダンジョンマスターよ」

(すいませんね~。危険な目にまで合わせてしまって)

「いやいや、こちらが迎えを断ったのが発端じゃ。寧ろ助けていただき、感謝致しますぞ」


 ふむふむ……掴みは悪くなさそうですね。迎えを出したのは、正解だったようです。

 プルさん達、粘液(スライム)を経由しての<念話>も良好。ゴトーさんの時もそうでしたが、真似るのが本当に上手です。


 さて……世界樹さんが大人しいのが、逆に怖いのですが。


「世界樹さん、この人が本当の森人(エルフ)な訳ですが……同じですか?」

「……」


 じっと画面を見る世界樹さん。あ、これは画面を見ている訳ではなく、感覚の殆ど本体の方に戻していますね、抜け殻ですわ。て、あ。


「……」(ジー)

「ッ、おや、どちら様で…す……」


 おう、消えたかと思ったら、直接会いに行きやがりましたか。

 情報収集や心情面を理由に、刷り込みのように殺さない様には言っておきましたが、どうなる事やら……洗脳ではないですよ?


「な~~~の」

「……」


 ……見た瞬間に殺しに行かなかったですし……大丈夫かな?

 見られて居るエルフ爺さんの方は……あれ、泣いている?


「せ、世界樹の……女神、様?」

「なの、コイツ違うなの」


 それだけ言うと、世界樹さんはエルフ爺さんの元から消え、こっちに戻ってきた。もう眼中に無いらしい。


「違いました?」

「似てるけど……半分くらい? なの」


 半分ね~……つまり、ハーフエルフって事でしょうか? つまり、半分人間?

 ……この世界の人間とつく輩に、碌な奴は居ないのでしょうか。はぁ……。


 いや、そうとも限らない。森人(エルフ)に近い種の人がいるかもしれないし、人間以外とのハーフも有り得る。結論を出すには早すぎますね。

 長生きしてそうですし、ここは交流も兼ねてエルフ爺さんにでも聞いて……どした?


 視線を画面の方に戻すと、エルフ爺さんが(うずくま)って……おぅ、大号泣しているじゃないですか、何があったし。

 ……………………あ、これダメな奴だ、感情が吹っ切れている。


 獣人組も回復したのか、エルフ爺さんの元へ集まりだした。

 話しかけても、無駄だと思いますがね~。あれだけ感極まったの、殺意以外で初めて見たかもしれない。


 ―――


「世界樹様の女神様が見ている御前、大変見苦しい姿をお見せ致しました」

(いえいえ)

「この大陸から世界樹が消えて早1000年! 最早、お目にする事など叶わぬと失意に暮れておりましたが、何たる幸運! 何たる僥倖! 神はまだ、この世界を見捨てていなかった!!」

(ふむ)

「儂如きに、恐れ多くも世界樹に宿る女神様の、その尊いお姿を拝見することができようとは。儂は何と幸福なのでしょうか! あぁ、今も汚れないそのお姿が、瞳の奥に焼き付いて離れませぬ!!」

(へぇ)

「この老骨に沸き上がる激情を表す言葉を持ち合わせておりませぬ! あぁ!! あの麗しき女神様の美しさを後世に伝えなければ! しかし、どうしたらよいのだ、どの様な言葉も尽くしても、伝えることなど叶わぬ!」

(はぁ)


 と、止まらない……これは、放っておくと、何時までも話し続けるやつだ。

 何よりも、隣にいる世界樹さんのドヤ顔がウザイ。しかも、ちらちらこちらを見て来るのが、更にウザさを引き立ている。

 ……何を期待しているか知りませんが、俺は何も言いませんよ?


「エルフ爺さん、話長い!」

「むぐ……」

「そうだぜ、エルフにとって世界樹が特別なもんなのは昨晩散々聞いたけどよ、それは後でも問題ないだろう?」

「むむむ……」


 リリーさんの一声で、正気に戻るエルフ爺さん。

 ここで真っ先に発言するとは、リリーさん図太いと言うよりも、慣れていますね。やっぱり結構重要なポジション?


(……終わりました?)

「すまねぇ、こんな饒舌なエルフ爺さん、初めてでよ。止めるタイミングが掴めなかった、許してくれ」

(こちらは急いでいないので、大丈夫ですよ)


 この方は、豚人ですか。見た目はまんま、二足歩行の豚ですね。

 体は弛んでいる訳ではなく、引き締まった筋肉の鎧と言った感じ。短毛の為、世界樹さんの食指は動かないご様子。長旅による多少の汚れは見られるが、不潔な感じは見られない。


 そのまま、豚人の方が話し続けるのかと思えば、後ろから、子供ほどの大きさの獣人が前に出て来た。これは……鼠かな?


「では改めて、鼠人、ポー族が長、ポー・チェット。獣人を代表し、此度の招待を感謝する、迷宮の主よ」

(これはご丁寧に。大まかな事情は、そちらのリリーさんに聞いております。大変苦労された様ですね)

「どの程度聞き及んでいる…ますか?」

(……無理せずとも、いつも通りの話し方で大丈夫ですよ?)

「いえ、それでは……」

(礼節や建前は大切ですが、俺に対しては不要です。気持ちは受け取っておりますので、どうぞいつも通りの話し方で、お願いします)

「……分かった、感謝する」


 さてさて、擦り合わせときましょうかね~。


 ― クイクイ ―


「ん? どうしました、世界樹さん」

「忘れて無いなの?」

「……あぁ、モフモフ?」

「モフモフなの!!」


 袖を引っ張ってきたから、何事かと思えば。いや、世界樹さんからしたら、大事な事なんでしょうけどね?


「もう少し待ってください。脈絡もなく要求するのは、説明とか色々面倒ですから」

「なの~~~……」

「取り敢えず、今はモフモコフワ三点セットで我慢してください」


 モコモコさんの背中に乗せ、その上にフワフワさんが乗る。そして、手元にモフモフさんを置いて、モフモコフワ豪華三点セットの完成である。フワフワさんが大きくなった為、できる様になった。


「なの~~~」

「僕達じゃダメなの?」

「違うなの! だけど、新規開拓は大事な事なの!」


 ……気持ちは分からんでもない。


(まず、何から話せばよい?)


 さて、代表として鼠人の長、ポー・チェットさんが、話をするようですね。小さくて可愛いのに、渋くてかっこいいって、何このギャップ。


 そうですね~。まずは、何から聞きましょうか。

 3人までなら、無理なく同時に処理できますし、少し離れたところに居る他の獣人さんとも、粘液(スライム)達を通じて、同時並行で話を聞いておきましょうか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ