メールやメッセージ
若干高年齢向けです。
ちょっと都会の普通の街に、ある子どもがいました。
名前をけー子ちゃんと言います。
けー子ちゃんはスマートフォンを買ってもらいました。
「みんな」が持っているので、欲しくなったからです。
でも、お父さんもお母さんも機械に弱くて、ペアレンタル設定が上手く出来ませんでした。
ある時友達とLINEしていると、知らない人からメールが届きました。
差出人:羽入 鶴
件名:美味しかったです!
本文:今日はご馳走様でした。またご一緒できると嬉しいです。
なんと、水の格闘技選手で有名な鶴くんからのメールでした。
けー子ちゃんも大好きで、いつも応援していてとても喜びました。
けー子ちゃんが「私はけー子です。◎◎に住んでて今度中学生になります。いつも応援しています!大好きです!!」と返信すると
鶴くんから、間違いメールを送ったことについてのお詫びと、他の人にはメールが来たことを内緒にして欲しいとのお願いをされました。
「俺とけー子ちゃん、二人だけの秘密だよ?」の一言で、けー子ちゃんは嬉しくて仕方ありませんでした。
次の日から、鶴くんより毎日メールが届くようになりました。
最初は他愛のない会話でしたが、けー子ちゃんとLINE友達になると、どこかで見たような写真も送ってくれるようになりました。
けー子ちゃんも、言われるがままに自撮り写真を送っていました。
次第に鶴くんの送って欲しいと言う写真が、卑猥になってきました。
この頃には、けー子ちゃんは何でも言うことを聞くようになっていたので、下着を脱いだ自撮り写真も送っていました。
ある日教室に入ると、皆がけー子ちゃんを見てヒソヒソと話をしていました。
何だろうと思っていると、二人の男子がニヤニヤとしながら近付いてきました。
「これ、けー子だろ?」と、スマホを見せてきました。
そこに映っていたのは、鶴くんにしか送っていないはずのけー子ちゃんの裸でした。
茫然とするけー子ちゃんの耳に、周りの騒ぎは入ってきませんでした。
けー子ちゃんにその後の記憶はありません。
何日かして、鶴くんを語った犯人が逮捕されたとニュースになりましたが、ネットの海には、けー子ちゃんの卑猥な写真がいっぱい広がっていました。
その後、けー子ちゃんをその街で見た人はいませんでした。
十何年か経ち、とある地方の大都市で、一人の女性が会社に勤めていました。
昼休みに、同僚達が週刊誌に載っていた記事で盛り上がって居ました。
「有った有った、そんな事件。騙されて裸を晒してバカだよなぁ、この中学生」
「ネットに名前や住所も晒されていたよなぁ」
「あの頃中学生なら、もう働いててもおかしくない年齢だよな?」
「そう言えば名前、何だっけ?」
「確か……そう言えば、事務の子と同じ名前じゃなかったか?」
「まさかねえ(笑)」
その時事務所に悲鳴が響き渡り 一人の女性が失神し
呼ばれた救急車で運ばれて行きました。
結局「けー子ちゃん」の名前はネットから消えることはありませんでした。
有名人で合っても、知らない人からのメールやメッセージは、詐欺です。
決して返信してはいけません!
何かあれば必ず大人達に相談しましょう!
あぶない。
情報リテラシー教育は大事です。
大人になってからでは有りますが、某人の流出事故は未だにネットの海に揺蕩っております。
新しくある会社に就職したなどの噂もまことしやかに存在しますし、恐らくもう消えることは無いのではないでしょうか。