くるまにひとり
ふつうのまちに、ある子どもがいました。
なまえをたかしくんといいます。
きょう たかしくんのかぞくは くるまで おでかけしています。
みちもすいていて とーちゃんのうんてんする くるまは
ドンドン なつの うみへ むかいます。
よていよりも はやく ついたので さきに
おひるごはんを たべることになりました。
かーちゃんが おみせのおねえさんに おさしみや
おっきいえびさんや おっきいかにさんを たのみました。
とても おいしそうです。
そういえば とーちゃんは おさいふのなかをみて
かおが すこしだけこわくなりました。
たかしくんは なんでなのか ふしぎでした。
そろそろ ごはんも おわり。
たかしくんは あきてきたので くるまへ
おもちゃを とりにいきます。
とーちゃんから くるまのかぎを もらいました。
くるまの とびらをあけた たかしくんは
ムワァァアっとした くるまのなかへ はいりました。
もくてきの おもちゃをみつけた たかしくんですが
あ! と ひらめいてしまいました。
もうすぐ しゅっぱつするから くるまを ひやしておこう。
すぐに しゅっぱつできるように しよう!
たかしくんは ぼくてんさいだ! と じぶんのことを ほめながら
うんてんせきへ いきました。
いつも とーちゃんが うんてんしているので たかしくんは
なにをしたらいいのか しっています。
ぽちっとな! たかしくんは うんてんせきの
ぼたんを おしました。
……くるまは うごきません。
あれれー?うごかないぞー? と アニメのアーサーくんみたいな
ことをいって たかしくんは かんがえます。
そういえば なにか ふんでたかも? と かんがえた
たかしくんは とーちゃんが したにある ひだりの ブレーキを
いつも ふんでいたことを おもいだします。
もいちど ぽちっとな!
こんどは したのひだりのブレーキを ふみながら
ぼたんを おしました。
ブルルルォオン!
くるまが げんきに なきました。
あたたかい かぜが いっぱいでましたが すこししたら
つめたいかぜが いっぱいでてきました。
やりきった かおの たかしくんでしたが すぐに
しゅっぱつできるように しようと おもいました。
レバーを うごかすんだよな? と かんがえた たかしくんは
ハンドルのとなりにある レバーを レバーについているぼたんを
おしながら さげました。
ブルォン! と 大きく ゆれたくるまが うごきました。
なにかが うしろから ひっぱっているような かんじで
くるまは うごきはじめました。
あ!まずい! と たかしくんは おもいましたが
くるまを どうしたらいいか わかりません。
そのまま くるまは まえにすすみ あるいていた
おばあさんに あたりました。
たかしくんが のった くるまは おばあさんを
おしたおして そのまま おばあさんを のりこえました。
グワン! グワン!と くるまが 2かい 小さくゆれました。
おばあさんを のりこえた くるまは へいに ぶつかって
とまりました。 くるまが へいに ぶつかったとき
しろいなにかが たかしくんを なぐりました。
たかしくんが おぼえているのは ここまでです。
とーちゃんとは 2どとあえなくなりました。
かーちゃんは まいにち まいにち まいにち まいにち
つかれた かおを していました。
あるよる たかしくんが くるしくて おきると
かーちゃんが たかしくんの くびを しめていました。
かーちゃんにも 2どとあえなくなりました。
そのあと 「たかしくん」を まちでみたひとはいませんでした。
いいとおもって したことが わるいことだった。
そんなことは いっぱい あります。
なにか するまえに まわりのおとなに きいてみましょう。
あぶない。