おうちへきたおとな
ふつうのまちに ある子どもがいました。
なまえをたかしくんといいます。
たかしくんが おひるのあとに 1人でおるすばんをしていると
おうちのチャイムがなりました。
ぴーんぽーん ぴーんぽーん
たかしくんは かーちゃんから 1人でおるすばんするときは
だれか おうちへきても でてはいけません といわれています。
ぴーんぽーん ぴーんぽーん
ぴーんぽーん ぴーんぽーん
おうちのチャイムが なんどもなります。
ぴーんぽーん ぴーんぽーん
ぴーんぽーん ぴーんぽーん
ぴーんぽーん ぴーんぽーん
ぴーんぽーん ぴーんぽーん
こんどは だれかが 大きなこえをだしているのが きこえました。
「きすぎさーん いらっしゃらないのー?」
あまりにも 大きいこえだったので びっくりした たかしくんは
いま たかしだけ! かーちゃんいない! とへんじをしてしまいました。
「おかあさんから おうちでまっていて といわれてるのだけれど」
「たかしくん おかあさんから きいていない?」
と おうちのそとから 大きなこえで へんじがありました。
たかしくんは こまりましたが ドアのかぎをあけてしまいました。
ドアのかぎを あけるとすぐに ドアのそとにいたおばさんが
おうちのなかに はいってきました。
「あけてくれて ありがとう たかしくん」
「おかあさん いつごろかえってくるか しってる?」
たかしくんは ゆうがたに かえってくるよ と
おばさんにおしえてあげます。
おばさんの かおが すこし こわくなった きがしました。
「そうなの そうしたら すこしまたせてもらうわね」
おばさんは そういって リビングへ いきました。
たかしくんも おばさんのあとをおって リビングへいきます。
たかしくんがリビングに入ると おばさんは カーテンをしめていました。
たかしくんが どうしてカーテンをしめるの? ときくと
おばさんは ひつようなのよ といい すべてのカーテンを しめました。
「たかしくん そういえば これなんだけど」
そういいながら おばさんは もってきたかばんを ゴソゴソしだしました。
たかしくんが おばさんにちかづくと おばさんは
きゅうに たかしくんの てをしばり くちにぬのを いれてきました。
おばさんは たかしくんの おなかを てで 1かい なぐりました。
「おとなしくしろよ? あばれたら もっとなぐる」
「おとなしくしていたら いいことをしてあげる」
そのあと たかしくんは じっと ぜんぶ がまんしました。
おばさんから いわれたことを ぜんぶしました。
ゆうがたになり かーちゃんが おうちへ かえってきました。
「たかしくーん かえりましたよー」
リビングには たかしくんの すがたは ありませんでした。
「たかしくーん? どこですかー?」
かーちゃんは たかしくんが かくれんぼしてるとおもい
おうちのなかを さがします。
「たかしくーん きょうのおやつは だいすきな プリンですよー」
いつもならとんでくる まほうのことばにも
たかしくんは へんじをしません。
かーちゃんが おふろばにはいり みたのは
おふろに ういている たかしくんでした。
おうちに かーちゃんの さけびが ひろがりました。
あぶない。
性被害にあうのは、何も女児だけではありません。
仕事柄、お宅へ伺いチャイムを鳴らすことが多いのですが子どもが出ることが結構あります。
家の方針もあるとは思いますが、性善説ではいられない世の中が実情だと思います。