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22: 踏んじゃった女神

「ヒャッハー! 人を騙して手に入れた課金装備の切れ味は最高だぜー!」

「人の黒歴史をほじくるのはやめてくださいまし!」


 みなさんおはようございます。

 今日も今日とてパラダイム。ガリアゴブリン狩りのお時間です。


 実況は私アリーシャと、解説は駄女神ユミルとなっております。


「茶番してる暇はありませんわよアリーシャ! あまり私から離れないでくださいまし、寂しいですから!」

「理由がおかしいが離れるのはまずいな確かに。あまり魔術乱発するなよ!」

「わかってますわ!」


 さて、現状。

 諸事情によってガリアゴブリン数十体に囲まれています。


 いやぁ、まさかユミルが転移魔法陣を踏むなんて古典的な罠に引っ掛かるなんて思いもしなかったよ! 

 現在その怒りをガリアゴブリン共にぶつけている最中です。


「逆に考えましょう。狩りが捗ると」

「レベル差あるうちはいいけど、後半ステージでやるなよ?」

「善処しますわ」


 まったくもって信用できない。

 ……とはいえ、やはりそこはレベル差とゲーム時代の経験が生かされている女神様。小さい魔術で敵を混乱させて戦力を削り、ヘイトを俺に集める技はさすがである。


「あぁ、でも私のアリーシャがどんどん緑色に染まっていくのは耐えられませんわ……!」

「おいばか我慢しろ。今やると俺まで巻き込まれる!」


 後衛の暴走を抑えるのも、前衛の仕事……なのだろうか。


 対するゴブリンは、ゲームによって容姿が異なるけどだいたいは「筋肉ムキムキですばしっこい緑色の肌を持った小人」という感じになる。


 そのまま大きくさせるとオークになるわけだが、何が良いたいかというとサイズと生態系以外は人間にそっくりということ。


「オノレ……ニンゲンガ……!」


 あと種類によっては人語を解する。このガリアゴブリンがいい例だ。

 おかげで剣を突き刺したときの罪悪感が半端ない。


「ゲームだと思えば、とは言うが……」


 ガリアゴブリンから吹き出る緑色の血が、身体にべっとりと。そして独特の血の匂いがこびりついてしまう。

 ……風呂入りたい。この際ユミル付きでもいい。


「アリーシャ、お疲れですか?」

「いや、うん。疲れたと言えば疲れたかな」


 精神的に。

 とはいえ、こんなんでひぃひぃ言っていたらあの独裁都市で暮らすことはできないだろう。暫くはお世話になるんだし。ゴブリンでPvP戦闘に慣れないと。


「清純で綺麗で愛らしい私のアリーシャをこんなにも汚すなんて……やはりゴブリンは穢れ多き種族です。私の力で粛清してあげましょう」

「いや、それはやめてあげて」


 かわいそうだし彼らだって生き物として必死なんだ。


 信じてください。ゴブリンにも良い人はいるんです!


「汚らわしい愚かな種族ゴブリンよ、私のアリーシャを汚した罪を償いなさい! さぁ、あなた達の血は何色か教えてくださいまし!」


 注:だいたい緑色です。


 ユミルは、魔術師が本来は持っていないはずのヘイト稼ぎスキルを自力で発動させる。


 なるほど、これがラノベでよく見るシステム外スキルという奴か。

 まぁネトゲプレイヤーにとって煽りスキルと煽り耐性スキルは必須スキルと呼べるものだから驚きはしない。FK N00B。


 ユミルは引きつけたガリアゴブリン数体を、得意の(見た目的な意味で)闇な魔術を発動。


 地面から拷問器具やら鋸やら十字架やらが出てきてゴブリンたちをなぶり殺しする光景は、なんていうかやはり酷いものだ。今日の夕ご飯は肉以外だな。


「うん。無駄に狩ることないし10体片付けたら帰ろう? な?」

「アリーシャがそういうのでしたら……半殺しで我慢しますわ」

「物わかりいい子は好きだよ、うん」

「そ、そんなこと言われたら、本気出しちゃうじゃないですか……!」


 うん、やめようね?


 結局、ユミルは俺の制止を聞くことなくガリアゴブリンを20匹ほど狩りつくしたわけである。

 おお、神よ。これは人間の世界では半殺しではなく皆殺しと言うのだ。


「半殺しって、半数を殺すと言う意味ではなくって?」

「違う」


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