21: どうくつぐらし!
洞窟の中が明るいのはゲームの中か、あるいは観光用に開発された洞窟だけである。
本物の洞窟は暗い、狭い、湿度が高いと不快指数うなぎ上り。
ゲームによっては本当に暗くて、特殊なアイテムや魔術によって光源を確保しなければならない。
で、このユミルの作った【パラダイム】という世界の洞窟は、
「ふぅ、アリーシャ。結構暑いですわね、ここ」
「脱がないぞ」
「まだ何も言ってませんわ! 脱ぎましょうアリーシャ!」
ユミルが洞窟内環境を楽しむために作られたのではないか。
いや、現実と同じく暗い、狭い、湿度が高いなのだが、それを利用してユミルは「暑いですね、脱いじゃおうかしら」などと言うのである。
「脱いだら防御力が落ちる」
「大丈夫ですわ、私が護ってみせますもの」
「自分の身は自分で護る、ついでに仲間を守るのが前衛だ」
「やだ、アリーシャがかっこいい……」
いや、そうしないと死ぬから。
蘇生魔法はあるけどリスポンないんだからこの世界。
「で、肝心のゴブリン様はどちら様で?」
俺はアイテム欄から、洞窟内で視界を確保する便利な道具を出す。
視界を確保する代わりに、光に反応するモンスターが寄ってくるという副効果もある。
例えるなら「田舎のコンビニの明るさに反応して群がり始めるヤンキー共」という感じ。
ガリアゴブリンは光に反応するし、そうでないモンスターが寄ってくる確率が相対的に下がるからこの副効果は便利なのだ。
「ストーリークエストなら奥、そうでないならどこでも、という感じでしょうか」
「んじゃ迷わないように適当に散策するか」
と言っても、PCO時代のUIを受け継いでる俺らにはダンジョン探検の友「ミニマップ」があるから余程の方向音痴でなければ迷うことはないのだが。
「と、そんなこと言ってる間にモンスターが来ましたよ」
「おっと早いな……って言っても、目標とはちがうな」
敵のモンスターはゴブリンではなく、魚に手足が生えたような姿をしている半魚人である。
うん、きもい。
「あのモンスター、倒すと魚肉落とすんだっけ」
「……あんなモンスターの魚肉なんて食べたくありませんわ」
気持ちはわかる。
しかし説明文には「一部地域では生で食される」と書かれているのだ。日本人としては醤油を用意して食べたい。
「醤油はないからここは単純に塩で焼いて……しかし干物にするという手も……」
「食べ物の話をする前に食材を手に入れてからにしてくださいアリーシャ。私が作ってあげ」
「お前は座ってろ。いや座っててくださいお願いします」
「なんという素早い土下座……そこまで必死に言われると傷つきますわ……」
命に係わるからな。そら必死にもなるよ。
ちょっと忙しくなってきたので更新やや遅れます




