20: そうだ、討伐しよう
ガリアゴブリン。
言うまでもなく、それはゴブリンだ。
この世界に来てからまだ一度も出会ってないから手元に詳細なデータはない。
わかっているのは「ガリア地方にのみ生息する亜人族ゴブリン種」であること。
そして上級者レベルの冒険者に依頼がくるほどの強さを持ってると言うことだ。
「ガリア地方ってローレンシア大陸になかったっけ? なんで西方大陸にいるんだ?」
「まぁ、そこはゲームによくある『外来種の異常発生』とでも考えた方がいいと思いますよ」
本来の生息地にいない地域にて異常発生したモンスター。確かにゲームでよくある。
ストーリークエストならほぼ間違いなく嫌な伏線だ。
例えば、研究施設から脱走したゴブリンが繁殖したとか、実は似ていただけで新種でしたとか、謎の物質によって汚染された生物が奇形化した姿だとか。
そして大抵の場合、クエスト依頼主が研究施設関係者というのがオチ。
「まぁ、妄想はたいがいにしましょうか」
「それもそうだな」
そう言う感じで町で装備アイテムを整えて、ガリアゴブリンが出現しているらしい洞窟へ向かうのである。
で、洞窟の入り口に到着。
道中は小物に何度か襲われたけど特に何もなかったのでカット。
「ゲームによくある、高難易度ランクを選ぶと自動的にモンスターも強くなるとか、そういうのはないか」
「あったら低レベルモンスターは駆逐されていると思いますよ。どうやら、この世界の西方大陸西部は概ね20と言ったところでしょうか」
やれやれ、ユミルに目を付けられたばっかりに未実装地域が軒並み低レベル地域になるとは。
「こんなぬるま湯、さっさと後にして次の町に行きたいよ」
「そうは言いましても、どこにどういう都市があるか、私たちは知りませんよ」
「おい女神、そこはなんとかしろ」
「無理です。知ってるでしょうが」
うん知ってる。
この世界の子細はこの世界の人間に任せてるからわからないって。
ブルックハルトとかいうオッサンも、ビギニングポリスは他都市と離れすぎてるって言ってたし。
「必要なのは世界地図と、あとはモンスターの分布とかそういう詳細な情報、後は旅の知恵と根性と物資と……」
あぁだめだ。憧れのファンタジー旅行は考えるべきことが多すぎる。
確かにリアル中世って旅って命がけだったけどさ。
「暫くはあの独裁都市に居座るしかありませんね。まぁお金はあるので、いざというときはそれでどうにかしましょう」
「……そうだな」
いや、今回の場合、ユミルは死ぬまであの町に居座るかもしれない。
アリーシャと一緒にいたい的な意味で。
いずれにせよ、クエスト消化して「俺ら全然怪しくない普通の冒険者ですよ」アピールしておこうか。
「んじゃ、行くぞユミル」
「はい。後方支援はお任せ下さいまし」
普段の態度がアレなもんだから今一信用しにくいが、仮にも彼女は重課金兵だったわけで、腕は信用できる。
……たぶん。




