17: 全裸会議
ユミルがアリーシャと入浴その他を愉しんでいる頃、ギルド「ウルティマ」の本部では細やかな行事が行われていた。
「ギルドリーダー。例の人物たちの勧誘に、失敗いたしました」
彼は、ギルド「ウルティマ」の幹部にしてギルド本部内で女性2人と食事をした人物、つまりブルックハルトである。
ブルックハルトはすりガラスの扉越しに、中にいるギルドリーダーに話しかけている。
扉の向こう側は浴場になっており、その扉の隙間から微かに湯気と熱気が漏れていた。
「……そうか、残念だな」
ギルドリーダーの声は、普段より低いものだとブルックハルトは感じた。
扉越しである以上、その表情を窺い知ることはできないものの、酷く不満を感じているのは明らかだ。
「あの者は、いかなる手を使ってでも、必ずリーダーの下に……」
そのためブルックハルトは「次は成功する」という意思を籠めてそう言ったのだが、それは逆効果だった。
「ならぬ!」
リーダーの怒鳴り声が、部屋の中だけでなく外にまで響く。
「ブルックハルト。貴様、私がなぜあの女性を手に入れたいかわかって、それを言っているのか?」
「も、申し訳ありません!」
他者から見れば「鬼神のような顔を持つブルックハルトが、ここまで怯えている」と驚くに違いない。
それはブルックハルトとギルドリーダーの力量の差が、全てを物語っている。
「わかればいい。あの女性に傷一つつけてはならん。もしつけたら――わかっているな?」
「ハッ。しょ、承知しました」
もしこれが扉越しでなければ、ギルドリーダーは冷や汗で全身を濡らした幹部を見ることができただろう。それほどまでに、ブルックハルトは怯えていた。
ギルドリーダーの声に、その言葉に、威圧に、怯えていたのである。
「まぁ……あの女性以外になら、多少は構わんが」
付け足すように、あるいはフォローするかのようにリーダーが告げる。
多少の寛容さを見せつけることが、組織のトップに立つ者の条件であることを実践するかの如く。
「畏まりました。あの女性に傷一つつけない方法で、必ずリーダーの下に」
「期待しているぞ、ブルックハルト」
「ハッ」
そう返事をして、ブルックハルトは立ちあがって去る寸前に、いつもの口上を述べる。
「全ては、クリス様のために」
ブルックハルトが立ち去った後、ギルド「ウルティマ」のリーダーにして、ブルックハルトからクリスと呼ばれた男が誰に告げることなく呟いた。
「アリーシャ。その全てを我が物に」
急遽番組を変更して男の入浴シーンと相成りました(過去形)




