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16: おふろ

 問題。

 下は大火事、上は洪水。これなーんだ?


「それは勿論、せ」

「スト――――ップ!」


 やはりユミル相手にこのなぞなぞは危険だった。正解は無論、風呂である。


「なぜストップを掛けられましたの? 間違いではないでしょう?」

「女神が出す答えとしては間違っている」


 最近(と言っても事が起きたのは全て今日中の話だけど)、ユミルは女神ではなく淫魔なのではないかと感じるようになってきた。


「しかし、頭文字が『せ』だからといって変な答えとは限りませんわ」

「む。確かにこれは俺が軽率だったな。なんて答えようとしたんだ?」

「性欲を押さえ込もうと苦心している思春期男子という意味ですわ」

「アウトだよ!!」


 想像してたのより酷い答えが返ってきた。

 しかもだいたいあってるのがむかつく。


「それで、お風呂がどうしたんですの?」

「知ってるんかい」


 なんだったんだ今の茶番は。


「うん、まずギルド『ウルティマ』監視付きとはいえいい宿に泊まることができたのは良かった」

「? はぁ、そうですわね」


 あのハゲのギルド幹部は「宿は全部監視してるから」と遠回しに言われた。


 どうやらこの町は、全ての店、全ての宿が「ウルティマ」の所有物ということらしい。

 例外は個人所有の家だが、それでも相互監視社会という構図が出来上がっているためプライバシーなんてものはない。


 さながらどこぞの独裁国家である。


「私としては愛の巣が欲しかったのですが」

「不動産屋もウルティマの手先だから意味ない」


 だから宿にしたのだ。永住するかわからんし。


「で、そういうわけで暫くはこの宿が拠点だ」

「はい」

「それでいくつか問題がある」

「はい? それは――ってまさか」

「うん、そういうことだ」


 恥ずかしい思いはしたくないからね、早めに聞いた方がいい。

 ほら、例のトイレの件もあるし?


「つまり、アリーシャは私とお風呂に入りたいということですわね!」

「だいたい間違ってる」


 俺が教えて欲しいのは、女の子の身体の洗い方とか髪のケアの仕方とか……ってこれはこれで犯罪くさいな。


「ふっふっふ。そういうことでしたら私が隅々まで洗ってあげますわ!」

「いやそういうのいいから」


 貞操と聖域を死守しなければならない。


「コホン。そうは言いましてもアリーシャ、『女の子の場所』はあなたの思っているよりケアが大変なのですわよ?」

「え、そうなの?」

「えぇ。『デリケートゾーン』とよく言うではありませんか」


 確かに。CMとかでそういう表現を聞いたことある。あれって直球な言い方ができないからじゃないの?


「それもありますが、やはり『デリケート』なのですよ」

「そ、そうか」

「はい。ちゃんとケアしないと、臭い・かゆみの原因になりますし、酷いと炎症を起こしてしまいます。それに女性のそれは殿方のそれと違ってコツと丁寧なケアが必要なのですよ!」


 さすが女神様、アレのケアの仕方が詳しい。

 曲がりなりにも女してるだけあるな。神に性別あるのか知らないけど。


「というわけで、私がアリーシャのために手取り足取り隅々まで洗い方をお教えするついでに愛してあげますわよ!」

「おい待て、後半の一文はなんだ!?」

「ふふふ。この世界にないケア用品もちゃんと持ってきましたから、安心してくださいね!」

「安心できねぇ! ていうかなんで持ってる!?」

「こんなこともあろうかと、という奴ですわ!」


 準備が良すぎる!


「ふふふふふ。アリーシャ、さぁイキましょう!」

「いや、待って、まだ心の準備が――!」


 行くの発音が変だし、目が怖いし!


「ふむ? そうですか……」

「そうだよ。だから落ち着いたときに……」

「では貸切にしましょう。確かこの宿は追加料金を払えば貸切に出来るはずですわ。これなら、アリーシャが恥ずかしがることもなくなりますし」


 そういうところは抜け目ないのはもう尊敬の域に達している。ていうかそういう意味ではない。

 原因はあんただよ!


「私としては他人の目線が気になって赤くなっているアリーシャも見たいのですが……」

「もう貸切でいいです……」



 この際、他人にこの危険なユミルを見せびらかしてしまうほうが恥ずかしい。

次回、全裸できゃっきゃうふふ。R15の限界に挑戦?

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