13: みんな目が死んでる
「若いもんは実力差ってのを知らんからな。御嬢さんら、迷惑かけた。私はブルックハルト。ギルドの幹部をしてるもんだ」
恰幅の良い、ハゲあがった男はそう言いながら、俺らを先導して始まりの町だった町を案内してくれている。
俺らを囲んだチンピラ、彼の言う「若いもん」らとは違う風格がある。
『ブルックハルト(Lv.36)
分類:人類
種族:人族
職業:ギルド幹部 』
ていうかレベルが3倍違う。
俺らの半分だが、チンピラ連中の倍はある。
さらにギルド幹部ときたらもう、下っ端には怖い者扱いされるだろうね。
「いえ、気にしてませんよ。〝私たち〟には怪我がありませんので」
「当たり前だ。御嬢さんらに傷ひとつつけられる実力があいつらにあるわけない。群れることで自分が優位だと信じ込むしか能がない連中だからな」
ブルックハルトさんは唾を吐き捨てながら、ビギニングポリスを案内してくれた。
街並みはまさしく始まりの町。
武器屋あり、防具屋あり。アイテムショップに、課金アイテム専門店。
アバターの容姿を変更できる店に、簡易宿屋。
そして種々のギルド所有建築物。
ただし「ゾンビにでも襲われたのか」と言いたくなるほど町が廃墟だらけで、営業していない店が大半だ。
廃墟だらけの始まりの町なんて珍しくないけど、PCOの世界観には合っていないかな。
そして住民たちは、生気がないか、あるいは悪徳な雰囲気を溢れかえさせてるかのどちらか。
海外ドラマや映画でよく見る、犯罪者で溢れかえった町という感じ。
「温暖で過ごしやすい気候に優しい住民に溢れかえった私とアリーシャの町が……どうしてこんな……」
そしてユミルは壊れかけてた。
彼女の口から溢れる言葉は、切なさドンドコドンである。
愛しのアリーシャ云々はどうでもいいとしても、本当にどうしてこうなった。
「そういえば、この町の名前はなんていうんです? 『元ビギニングポリス』だと、あの雑魚エフッエフッ彼ら言ってましたが」
「雑魚でも構わんさ。あんな連中。……だが、ここが『元ビギニングポリス』だという連中の言葉は当たっているな。もう誰もそんな名前で呼んじゃいない」
誰が言い始めたか知らないが――ここは今「ジェイルポリス」と呼ばれているとかなんとか。
監獄都市とは、なるほどユミルの悪趣味にはあっているかもしれない。
「うぅ、私は平和的にアリーシャと暮らしたいだけですのに……。あぁ、でもこの近くに都市もないですし……」
しかし当の彼女は全く心当たりのない様子。
そういえば、この世界の人類が歩む歴史は任せっぱなしなんだっけか。
そこらへん、あとで聞いてみようかしら。
そしてブルックハルトさんに先導されて歩くこと数分。
「ついたぞ。お嬢様方」
俺とユミルは、町を一望できるほどに巨大な建物の正面に到着した。




