第7話 接敵が促す警戒
「うぅ……さむい……」
「無理をされない程度に我慢してください。身を清めるにはこれが手っ取り早い方法なんです」
「でも……いま、二月……くしゅんっ!」
ところどころに雲が浮かんでいるものの、晴天と言っていい空模様。夏場であれば、水浴びに来てもおかしくないような水場で。
あずさは瞳に連れられて、季節外れの水浴びをさせられていた。
無論、行水というれっきとした修行であり、また禊祓に使われるものでもある。
巫覡退魔師になるべく退魔館への所属を申請する書類を受け取ったあとは、昨日の瞳の提案を聞き入れて本職の巫覡退魔師向けの禊を行うことになった。
瞑想と並んで自らの霊力を感じ取ったり、高めたりするための儀式でもあるのだが、同時に妖気を祓うための儀式でもある。そしてそれは瞑想よりも効果があるため、時間さえあれば鍛錬を欠かすことができない巫覡退魔師達はもっぱらこちらの方法を好むきらいがあるという。
どちらにせよ、本来なら瞑想などに不慣れな初心者には浄化を補助するための媒介物が用意され、またそれを使用する退魔師が同席することになっている。
のだが。
「大丈夫ですか……? 本当に、無理をされない程度でいいんですよ?」
「でも、やらないと意味がないし、付きああせている……くしゅっ、あんたに悪い……」
「ろれつが回らなくなってきているじゃないですか! ほら、早く上がりますよ。……まったく、それなりの慣れがある私に合わせてどうするんですか……」
手本としてあずさの横で同じく禊を行っている瞳からは絶え間なく清浄な気が流出している。若干居心地がいいのはおそらく純粋にあずさを気遣おうとしている心の表れもあるかもしれない。
しかし開始からわずか五分少々。さすがにこれ以上は見ていられないとあずさの手を引いて水から上がる。
そして、もう今日はこのくらいで終わりにしましょうと瞳が告げると、ぶるぶると震えながら魔法で熱風を吹かせ、暖を取る。
「……死ぬかと、思った……」
「唇を紫色にしながらそう言わないでください。冗談に聞こえませんよ」
「……うん。あ、鈴森さんも……いる?」
「いるって……その、暖かい風ですか? こっちにも届いてきてますけど……」
「それ、余波だからあまり意味ないと思うんだけど」
「まぁ、確かに心なしか暖かいな、程度にしか感じてませんが……」
遠慮はいらない、と言いながら瞳も魔法の風で包み込めば、ほわ~っと気持ちよさそうな表情でそれを受け入れている。
どうやら平気な顔をしていて、寒いことに違いはなかったようだ。
「便利ですね、魔法というのも。私が知識程度に知ってるそれとは大違いですけど」
満足、といった表情で瞳がそうこぼした言葉を聞いて、そう言えばとあずさが一つ問いかけた。
「出会ったときも言ってたけどさ。魔法って、私が使ってるこれ以外に、存在してるの?」
「まぁ、彼ら彼女らは私たち退魔業界よりもある意味特殊な社会ですからねぇ。きちんとした取り締まり機関があるわけでもなし。名ばかりの取り締まり機関は存在しないことはありませんけど、基本的には自由気ままに思うように行動して、そのすべてが自己責任。というのが私の知る魔道業界ですから」
もっとも、魔を退ける私達が魔の道を行く彼らと交わることはそうそうないのですけれどね、と苦笑しながら瞳はそう言う。
「ふぅん……そうなんだ」
「…………聞いておいてまったく興味なさそうでしたね。ジョークもスルーされましたし」
「あるのかなって気になっただけだし?」
そもそもが話に聞いている限り根本的なところからして原理が違っているらしいことが想像できる。それと出会ったところでナニカが始まるとも確定したわけでもなし、気にする方が負けでしょうとべにもなくあずさは瞳の指摘を突っぱねた。
もっとも、瞳としても今語った以上の情報は本当に皆無に等しいほどしかないのが実情なので、返す言葉もないらしかったが。
身体と衣服を乾かしたあずさたちは、巫女装束を着て保護施設へと戻る。
あずさが巫女装束を着ているのは単純で、着る服がないからだ。
着替えの私服類は持ってきているはずもないし、そもそもがあの火災ですべて燃えてしまっているので言っても取り戻すことはできない。
保護施設にもそう言った備えがあるわけでもなく、あるのは新人退魔師ようにストックされている数種類の衣服だけ。
ならばどうせ巫覡退魔師になれば着ることになるのだからと、巫女装束を選んで着用したといういきさつだ。
瞳は着たことのない衣服で悪戦苦闘するかと予想していたようだったがそこはあずさクオリティ。幾度にもわたる転生の折、似たり寄ったりの衣類を着用する機会も少なからずあったので、あずさ自身には経験がなくとも、まるで体が覚えているかのようにすんなりと着用できてしまう。
『驚きました……。まさかこれほどまでにすんなりと着用なされるとは……』
シャワールームから出てきた巫女装束姿のあずさを見て瞳はそう言ったが、苦笑で答えるしかなかったのは言うまでもないだろう。
ちなみにあずさも瞳も巫女装束を着ているが、その構成は若干異なっている。瞳が着用しているのが行燈袴と呼ばれる、現代では一般的となったスカート型の緋袴なのに対し、あずさが選んだのは古くからある伝統的な緋袴だったからである。
要所に体術も取り入れた我流の剣術を扱う身としては行燈袴よりそちらの方が動きやすそうだったから、というのはあずさ本人の談だ。
「妖気は先ほどと比べれば大分マシでしょう。ただ、鏑木様も行水には慣れていませんし、何度も繰り返しますが無理は禁物ですからね」
「禊に気を取られていたら風邪ひきました、っていうのは御免こうむるしね」
「そうですね。そうなると今度はそちらの治療にも気を配らなくてはなりませんから浄化の効率も低下しますし。いくら想定外に妖気の浄化が進んだからと言って、それでは元も子もないですからね」
時間にしてわずか五分ほど。しかしそれが思いのほか効果をもたらしたとは瞳の談で、少なくとも見込みの五倍程度の効率の良さはあったという。
あずさはその効率の良さに若干――いや、かなり思い当たる節があるのだが。
「ふぅ……もういいかな」
「そう、ですね。十分暖まりましたし」
若干物足りなさそうな目をした瞳からそう言われれば、あずさはいったん止めかけた魔法を再び発動する。
心を読まれたかのような行動ぶりに瞳は一瞬驚いたものの、クスリとほほ笑むとすぐに先を歩き始めたあずさに並んだ。
「目的を達成すること以外に興味がないのかと思えば、そう言った心遣いができるあたり、似ていてもやはり私とは違いますねぇ」
「……まぁ、あんな目で見られれば……」
「…………そんなに表に出ていましたか」
「ん。すぐにわかった」
短くそう返されて、恥じらいから少しだけ頬を紅潮させる瞳だったが、すぐに元に戻る。
そして、何もなかったかのように話題を変えようと口を開き――。
「……? 今、誰かに見られていたような……」
「え? …………気のせい、ではありませんか? 私達と、行水に来ているほかの退魔師の方たちを除いて、このあたり一帯には特に人はいないように見受けられますが……」
「……そう……」
そう言われれば気のせいだったのかもしれない、と思い直し、再び瞳とともに退魔館へと戻り始めるあずさだったが、その心の内には不安を秘めていた。
なにせ、つい一昨日起こった事件のときだって、その数日前から不審な気配は断続的ではあるが感じ続けていたのだから。それに、一瞬だが、呪いの痣があるあたり、右手の甲もずきりと痛んだのも気にかかっている。
どうかそれが杞憂でありますように。あずさは都合のいい神にそう願いながら、帰路を歩み続けた。
しかし、そこで再び、あずさの右手の甲にずきり、と痛みが走る。
――これは気のせいじゃない。絶対に、なにかよくないことが起こる前兆!
経験則から、思い直したことを撤回して周囲に魔力を放って気配を探ってみる。
すると思った通り。
あずさ基準では危機的状況とは言えないものの、明らかにいいとは言えない状況に自分たちが直面していることに気付かされてしまう。
「…………待って。本当に気づいない?」
「え……? これは……はぁ、なんでこんな支部近くなんかに……」
あまり詳しく説明している暇はなさそうだと判断し、瞳に短く、しかし確実に言いたいことが伝わるような口調と言葉で周囲への再警戒を呼び掛ける。
切羽詰まったようなそれに含まれる意味を正しく受け取った瞳は、即座に臨戦態勢となり周囲の気配を再び探り始める。
厳密にはあずさが先日感じたものと波長こそ違うが、そのエネルギーの種類自体は同じもの――紛れもなく、妖気だ。それも、かなり接近されている。
ここまで近づかれるまで気づかなかったことや、熟練であるはずの自分より先に、スタート地点にすら立っていないあずさに感知されたことに驚きつつも、周囲の気配をさらに探る。
(……油断しましたか。退魔館の近くだからと気を抜きすぎましたか……。気配は弱小妖怪のものばかり……ですが、感じるのは敵意ばかり。しかも囲まれている……!)
普段ならそうそう犯さないミスをした自分に舌打ちしながらもそう判断した瞳は、聖剣を構えたあずさの背後を守るように護身のために持ってきていた武器――刀を抜き、構えた。
背中越しにその様子を察知したあずさは、背後を流し見るだけで、周囲に視線を走らせ続ける。
同じく、背中越しにその行動を目視で察知した瞳は、西洋剣たる聖剣には合致しているのだろうが、巫女装束にはまったく似合わない西洋剣術の構え――より正確には剣を持つ右手を下に下げる構え方――を取っていることを確認し、そのシュールさに一瞬だけ微妙な顔をした。
無論、そう思ったのは一瞬で、すぐに戦闘に意識を傾けながら彼女の構えを改めて見たその総評に移り始めた。
一昨日森で見た彼女の構えには隙がなく、妖気に意識を浸食されているというハンデがなければ負ける要素自体が存在していなかったように見受けられた。
二度目に目の当たりにする今回。その予想は果たして、間違ってなどいなかったと瞳は素直に再評価する。
これが妖気に意識を浸食され、ただ復讐という名の殺戮にひた走る鬼と化してしまった暁には、誰にこの少女を止められるだろうかと恐れいななくほどに、その力は計り知れなかった。
その一方で、あずさの方は冷静に相手を分析していた。
己が放った魔力波の反応からして、相手は鳥系の妖怪であると認識できる。
ただしその詳細は奇妙奇天烈で、体中に紙らしきものを纏っている、もしくは体そのものが紙だ。
そして先日とはどこか違ったような気配を放つそれらにひそかに眉をひそめた。
どこか、妖気とはまた毛色が違う別のなにかも纏っているような感じがするのだ。
ただし、その理由がいかなるものであれ、相手が紙だというのならこちらは火で攻めてやるのが定石だろう。そうでなくとも、獣類に火というのは有効なケースが多い。
だが、懸念事項もある。ここは木々が多く生えている。下手を討てば山火事になってしまいかねない。
やるなら慎重にやらねばならないだろう。
それに、先日の森の中でやったような、聖剣に魔力を纏わせての遠隔斬撃もやめておいた方がいいだろう。こうした邪悪な相手に対しては全般的に有用だが、機動力に優れているであろう今回の相手に対しては、一点を狙った遠隔攻撃自体が不向きなのだ。下手をすれば剣を振り回しているうちに同士討ちをしかねないという懸念もある。
あれこれと思考を重ねること数秒、いや数十秒か。背中合わせに武器を構える二人の前に、彼女たちを包囲する陣形で妖怪たちの集団がついにその姿を現した。
あずさはその奇抜な風体を見て、内心本当になんなのだろうかこの妖怪は、と思案顔になったが、その背後で瞳は想像以上の戦況に顔をひきつらせていた。
――経凛々、という妖怪をご存じだろうか。
この妖怪は古い経典が意思を持ち、鳥のような体を持つようになり自由に動き回るようになったという、付喪神の一種である。
この妖怪の特徴は、経典という『書物』から生まれた付喪神、というところに尽きるだろう。つまるところ、経凛々の『経』とは名ばかりで、必要条件さえそろえば経典以外からでも経凛々に変化する可能性があるということを示唆している。
「それが、こいつら?」
「はい。彼らの本質は『書物』であることに間違いはありません。が、その本質の部分が問題で、元となった書物の内容により、その経凛々が持ちうる妖怪としての能力は千差万別です。幸い今回は蓄えた妖気がさほど強くない経凛々がほとんどのようですが……」
「なにをしてくるかわからないという意味では、厄介極まりない相手なわけね……わかった」
前振りを置いたために察することもできたかもしれないが、彼女らの前に立ちふさがったのは、経凛々だった。
瞳が語った通り、経凛々は例え妖気が弱くとも油断できない相手だ。
その上、経凛々はその姿からも分かる通り、鳥類の妖怪にも属する。中空を自由に飛び回る相手、それも少数対多数で立ち回らなければならないのは厳しい。
「……どちらにせよ、紙がすべてだというなら燃やすのが一番でしょう?」
「それができる状況と相手ならば、ですが」
燃やすなら火が必要になってくるではないか。意外と一般教養に疎い瞳の考えに、あずさは『ま、普通ならそう考えるよね』としか答えない。
普通に考えて、物を燃やすという行為には火というものがセットで付きまとってくる。最も効率よく発火させる行為というのがそれだから固定概念がついているだけで、実際にはモノを燃やす方法は探せばまだいくらかあるのだ。
だが、魔法という言葉を借りながら、どこか現代科学の知識を多分に蓄えておかなければならない類のそれも扱うあずさにとっては、そう言った『固定概念』やら『先入観』やらが通用しない。
――だからたとえば、こういうことも真っ先に思い付ける。
「…………は? なんです、あれ……?」
恐らく背後で、瞳は訳が分からないという顔を浮かべていることだろう。
弱いと言え厄介な妖怪が現れた、と思っていた矢先、相手が突然の発火現象を引き起こしてあっという間に火だるまになってしまったのだから。
これを文章に起こそうものなら、戦闘描写のせの字すら出てこないほどのあっけなさだった。
瞳が驚いている間にも、あずさの視界に入った経凛々が次々と同じように燃え上がってゆく。そして、一分もしないうちに、すべての経凛々は炎上した。
警戒した割にあっけない終わり方を見せた戦いに、文字通り呆然とした瞳だった。
そんな瞳にあずさが何をしたのか説明をしだす。
「ここは森の中。火を使うという行為自体避けるべき。違う?」
「は? え? ……えぇ、まぁ……」
そう。だからこそ瞳は厄介な相手が現れた、と思ったのだ。
相手は紙が本質とはいえ、種族的には鳥類の妖怪にも属する。故にその機動力は半端ではなく、平面ではなく立体で描かれる軌道はその行き先を読みづらくしてくるし、速力も弱小であっても油断できない場合が多い。
熟練の退魔師であっても、気が付いたら格下の鳥型妖怪の群れに致命傷を負わされていた、というケースは多々あるのだ。
その上相手は何をしてくるかわからない、経凛々である。
いかなその身に蓄えられた妖気がごく僅かと言えど、油断していれば一気に命を持っていかれかねない相手なのだ。すぐに切り抜けられるような状況ではなかったはずだ。
だが、あずさにとってしてみれば、それでもまだ御しやすい相手と状況だったのだ。
瞳の視線の先にいるのは、つい今しがたまで対峙していた付喪神。
もはやその妖怪は全身に火が回り、飛ぶことができず地に伏している状態だ。どうしてそうなったのかと、彼女が思考が追い付いてきていないことを感じ取っているのかいないのか。
あずさは特に気にした様子もなく、その詳細を説明し始めた。
「火という『現象』は、物質が『熱』と『光』を放出するというもの。火をつけるのに火そのものは必ずしも必要じゃない。私がやったのは、その『現象』が引きこるきっかけを作っただけ」
「はぁ…………それで、どうしたというんですか?」
「物が燃えるには燃料と熱量、そして酸素が必要。つまりね。わざわざ火を放って相手に着火させなくても、その要因たりえる要素を魔法で補ってしまえば、相手は自分から発火してくれるってこと」
簡単に言ってしまえば、あずさがやったことと言えばそれだけだった。火そのものを使って対象を燃やす『着火魔法』と、発火現象の促進と燃焼の継続補助を行う『発火魔法』の使い分け。今回使ったのは後者の方だ。
より具体的には、目視魔法と呼ばれる魔法により相手を『視る』だけで魔力をもって包み込み、その魔力には任意の金属の性質を魔力に持たせることができる、金属性の魔法理力を使ってナトリウムの性質いう方向性をそれに持たせた。
その上であずさは周囲に結界も張っていた。
それは水属性の魔力で構成された結界だ。ナトリウムと同等の性質を持たせていた金属性の魔力は水属性のそれと接触して激しく反応し、実際の化学反応が起きたわけではないもののそれと同等の魔法現象は発生してしまった。つまり、高熱の発生である。それに包まれていた経凛々達は紙の発火点を超えてしまい、自然発火した、という理屈だ。
山火事などの被害が出ないようにするためにも、そうした方がいいという配慮からこのような面倒臭い魔法を使ったのである。
魔法と言いつつもその実科学らしい要素を十全に盛り込んだその内容に、瞳は早かける言葉も見当たらない、と言った感じだ。
「ま、私が使ってる魔法理力はこんな感じで、魔力に属性と、それに沿った法則性を持たせることで発動してるからね。現実的な属性と法則性を持たせれば、今みたいに簡単に連鎖反応を起こせるの」
瞳は何となくでしかわかっていないようである。
まぁ、真新しい異能力の類だし、それはそれで仕方ないかと肩を竦め、残心の状態から構えを解くあずさだったが、次の瞬間、その眼に若干緊張が走った。
――今、何か違和感が……。
なにか、視線の先でどこかで既視感のある何かを認識したような気がして、よく目を凝らして燃えカスとなりつつある経凛々を見続ける。
だが、いくら見続けてもその経凛々だったものからは何も感じ取ることはできなかった。
もはや妖怪ですらなくなってしまったのだろう。ただのモノと化したソレは、あとは完全に燃え尽きてから、風に吹き飛ばされてどこかへ飛ばされてゆくだけだった。
あとに残った中空に浮く青い灯も、我に返った瞳がなにやら呟いてその手に持った符を放ったかと思えばその灯に命中。途端、一瞬だけ光を放ち、消滅したが、妖気以外の何も感じ取ることはできなかった。
ただ、一つ。
その違和感が、気のせいではないことを裏付けるかのように、また呪いの痣が、うずきだした。
「…………ふぅ……なにはともあれ、一応はもう大丈夫そうですね。報告しないといけないことができましたし、そろそろまた暖を取りたくなりました。戻りましょう、鏑木様」
「…………ん、わかった」
それは新たな事件の前兆だろうと警戒心を強め、あずさは先に歩き出した瞳に続いて、その場を後にした。




