表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈央の不思議な事件簿  作者: 黒蜘蛛
新!超常現象科学部
1/11

始まりの夜

 突然ですが、まず最初に自己紹介をする事にします。私の名前は菅谷 奈央。近所の高校に通う普通の高校一年生です。そして今、私は親友の佳奈に連れられ、夜の学校に肝試しに訪れています。えぇ、断りました。断っても聞かないんです。あの人。

「ねぇ、佳奈…。やっぱりやめよう?」

「いつまでビビってんの? もう覚悟決めなさい!」

「だって……。」

 私と佳奈は校門を越えて、廃校舎に差し掛かる。夜に見る廃校舎はそれはそれは不気味だった。今すぐ帰りたい。だが佳奈を置いては帰れない。私は不気味な廃校舎の前でただ口をパクパクする。

「何やってんの…、奈央?」

「こ、怖い…。」

「よし! じゃあ入るよ。」

 なんですって!?入る?えっ、どこに?入るところなんてありませんけど…?私は周りを見回す。

「ほら、行くよ!」

「待って待って! 本当に無理! お願い! 帰ろう!?」

 そして結局、私は佳奈に強引に引っ張られ、今、廃校舎の廊下を恐る恐る歩いています。

「いや~、やっぱ雰囲気あるね~。」

「…。」

 話しかけないで!私は今とても話せる状態じゃないの…。

「…奈央?」

 佳奈が喋らない私を心配して振り向く。その時だった。ガサガサ…と不気味な音がすぐ近くから聞こえてきた。音は次第に大きく、激しくなる。

「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー! お化けだー! 怖いぃぃぃぃぃぃ!」

 私の叫びが廃校舎に響く。

「奈央の方が100倍怖いよ。私から見たら。」

 尻餅をつく私と対照的に、佳奈は音のする方向に臆する事なく進んで行く。

「佳奈! 待って! 殺されちゃうよ!」

「何言ってんのよ! 誰もいないよ!」

 佳奈は私の方に振り向く。その瞬間、私だけが見てしまった。私を呆れたように見る佳奈の右にある部屋の扉。そこから伸びた一本の手が佳奈の左腕を掴む。

「え…?」

 佳奈は最後にそう漏らすと、静かに部屋に引きずられていった。一瞬の沈黙の後、部屋から佳奈の悲鳴が聞こえてきた。

「きゃぁぁっ!」

「佳奈!」

 怖かった。でも佳奈は親友だ。私の体は、自然と親友が引きずられていった部屋へと向かう。しかし、そこにはお化けどころか佳奈もいない。

「佳奈!? 佳奈!?」

 返事はない。私は恐怖に負けた。親友を置いて、その場から逃げ出してしまった。

「いやぁぁぁぁ!」

 私は夢中で走る。そして、気がつくと家の前に着いていた。翌日、警察による佳奈の捜索が行われ、学校は休みになった。しかし、佳奈は見つからなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ